炎上と敗北
11年振りの連載再開
雲で覆われた空がオレンジに染まる
気流が黒い煙を渦巻かせる
風に乗って熱気がまるで壁に押されるようにぶつかる…
ルビアは今にも吹き飛びそうになっているのを細い足で無理をしているのが見てわかるくらい力いっぱい踏ん張っていた
「私のせいだ…私がもっと思慮深く考えれていたなら…」
瞳から溢れる悔しさで溢れる涙が熱気とともに空へと消える
「ダインドとオニキスが1枚上手だっただけさ。」と慰めにもならない言葉をエメラードが少しずつ前進しながら伝えた
熱気が突風で吹き荒れてるため彼らは脚を進められていなかった
正しくは進めてはいるが思うように進められていない
普段通りならあと5分も馬に乗ればつける距離なのに燃えがる帝国の炎が作り出す熱風は凄まじく人力だと前に進むことを許して貰えなかった
進むのを拒まれ続け1時間経つ頃には燃料を失ったかのように熱風の威力が下がってきた
そう燃えつくしてしまったのだ
やっとの思いで辿り着いた帝国は文字通り跡形もなった
「っクソ!」と大剣を地面に叩きつけるエメラードをみてトパーズが「やられたな」と落胆し膝から地面に崩れた
燃えた人の臭いが…幾度となく嗅いだことのある火薬の臭いが…木や石の燃えた臭いが鼻に刺さる
「どうして…どうして…こんなことができるの!?」とルビアはいつもより声が大きくなり、それは悔しさと怒りが混じった感情だった
3人が帝国が着いたから5時間後出兵していた軍が帰って…帰る場所を失っているので帰ってきたは語弊があるが…。
「わ…私たちの国が」
「お…王は無事なのですか!?」
「私の家族は!?」
「これはゆ…め…?」
悔しさ・悲しみ・怒り・戸惑い色んな感情が声となって溢れ出していた
言葉に出来ない感情を音にならない声を上げてる者もいる
それはそのはず、全てが燃え、家族を失い、帰る場所を失い、未来を失い、幸せが突如として奪われた
責任を感じルビアは胸を右手で抑えながらおしりが地面に着く形で座り込んでしまった
ポタポタ落ちる雫の量が悔しさの強さを表しているかのようだった
専門学校で負け知らずの3人は自分たちの能力に驕り、過信し、判断を誤った
誤って許されることでは無いし、謝って許されたいとも思っている
次のない本番…専門学校で散々本番を仮定した模擬戦を勝ち抜いてきた3人だったが…死人が出るような演習を乗り越えてきた3人だったが…学校中が天才と崇めダントツで首席卒業をし有終の美を飾る3人だったが
初陣は敗北を飾ってしまった
敗北の味を血が滲むほどに噛み締めた3人……。
つづく