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XY meets XX

これで最後です。

「暑い…………」

 倉松高校に入学して鬱陶しい梅雨が過ぎ、これまたうざったいほどの灼熱と表現してもいいくらいの熱を孕んだ夏がやってきた。

 が、夏休みまではまだほど遠く(そんなこと言っても、あと二週間くらいの辛抱だが)(みのる)はこの学校に三台ある内の校門に近い方、購買前にある自販機の前で友人の総次郎と共に一時間目の保体をさぼっていた。

 因みに豊は生まれつき体が弱く、手の指は溶け欠けているようにほとんどない。左手なんて手首すらないのだ。

 それに比べて、総次郎は入学当初、お決まりのようにある保体の五十メートルのタイムで陸上やっている奴のよりも一秒早いタイムを叩き出したらしく、昼休みに陸上部の勧誘がクラスに来たりしていたのだが、文化部に入りやがった。しかも紫という、幼なじみ、兼、彼女までいやがる。うらやましい。

 二人は何でこんな所でだべっているのかというと、豊は保体は見学なのでつまらないから、総次郎は悪目立ちしたくないという意味不明な理由だった。本当は豊が一人でいるのは可哀想だからという理由なのだが。

「今年も暑くなるらしいねぇ」

「勘弁してくれよ……、去年の夏は一回死にかけたんだから……」

「ははは」

 笑い事じゃないと豊は言った。

 総次郎の携帯電話が鳴る。因みに豊は指がないから使えない。IPhoneが出た時、これならいける!! と思ったが、そもそも片手で持てない事に気づき、落ち込んだ記憶がある。

「あ、ムーからだ」

「――――――けっ」

 ちなみにムーとは彼女のあだ名である。総次郎はソンと呼ばれているらしい。どこの中国人だよ、っと突っ込んだが、愛されているんだよと返されて、豊はどん引きした。

「早く戻ってきなさい。先生にちくりますよ。ハートマーク」

「爆発しろ」

 豊はつい本音が出てしまった。ていうか、三人とも同じクラスなんだから、この時間は保体なわけで、紫もグラウンドで運動しているはずなのだが。

 総次郎はじゃあねといって、校舎の方に向かって中に入っていった。紫もさぼっていることが判明した。それなのに何であいつ等は勉強できるんだよ? 嗚呼、そうか、実技だから関係ないのか…………。豊は違う理由で成績が悪いが、本人は気にしていない。

「彼女…………か」

 豊は両手で挟んで缶ジュースの口を起用に口に合わせて飲む。

 豊は彼女ができないとかそんなことはない。ぶっちゃけ、告白されたのは何回もある。それはただ、豊が女の子と話すときドギマギとかせず気楽に話せるだけで、それが女の子からみれば、それが好意をもたれる理由になっているのだろう。豊は実際、性別関係なく手伝ってもらわないと、死んでしまう場合があるので恥じらいというものはないからなのだが。

 それは置いといて、告白された時、豊はなぜか断っている。別にほかに好きな人がいる訳でもなく、その人が嫌いなわけでもないのだが、まだ僕には早いと思うと言って断ってしまうのだ。どうしてだが自分でも分からない。そのくせ、彼女ほしいなと思っている。

 前に紫が、豊の女性の好みについて聞いてきた。たぶん他の女の子に聞いてきてと頼まれたんだろう。そして、一連のことを話したら、

「豊さん…………その断り方…………どこぞの令嬢ですか? ああ、そうですか。豊さんは受けなんですね? だから女子では無理だと。それからボクの彼氏は絶対に貸しませんよ」

 何で総次郎はこんな奴とつき合っているのだろう?

 そんな他愛もない事を思い出しながら、校門の方を何気なく見た。そこには一台の白い軽自動車が止まっている。その後部座席から、この学校の制服を着た女の子が降りていた。

 その女の子は、発進する白い軽自動車を手を振って見送って、校門から入いってきた。豊の視線に気づいたようで、購買の前の自動販売機に駆け寄ってくる。

「青春みたいな事している、そこのあなたに訊きたい」

「…………何ですか」

 豊はその女の子の胸ポケットのバッジで同じ学年だということに気づく。それから、手の平が、痣なのだろうか、他の皮膚とは違う色をしていた。まるで、何かに溶かされたような――――――

 そして、視線を上げ、まじまじとその顔を見た。

 だがその顔は明らかにおかしかった。散らかっているとか、不細工とかそんな失礼なことではなく、それを除けば、可愛らしい顔であって、でも初対面の人で、こうなるのはおかしいと――――――、

「あなた、どうして泣いているの?」

 豊は自分が泣いている事に言われて気づいた。よく分からないがどうしてだがあふれてくるのだ。豊は隠すように言い返す。

「君だって」

「えっ」

 その女の子は自分の頬に触れ、大粒の涙が濡らしていると気づいた。

「二人同時なんておかしいね。ゴミでも入ったのかな」

「さあ、分からない」

 豊は自分の涙の処理で忙しかった。悲しくはないし、ゴミが入っているわけではない。ただ、あふれてくるのだ。

 それは、この女の子に出会えたこと喜ぶかのように。

「あっ、そうだ、自己紹介してない」

 その女の子が話題を変えようと言ったのだが、まだ涙があふれてくるようだった。

「私は一年三組、鈴木蘭です。ニックネームはスズラン。本当は四月に来る予定だったんだけど、病気で入院して、昨日やっと退院したんだ」

「僕は関浦豊。同じクラスだね」

「じゃあ、ミノル。職員室の場所を教えて?」

「いきなりだね。スズラン?」

 

 すべてを忘れたとしても、きっと、どこか心の奥に残っている。


 そんな忘れられた始まりの物語と、


 これから始まった終わりの物語。


 これから始まる愛おしい二人の物語。


「ミノル、早く早く!! 置いてくよ!!」

「いや、スズラン、職員室まで知らないんでしょ?」


 物語はまだ、


 始まったばかり――――――

最初から長文で読みづらく、しかも拙い文章で本当にすみません。(最後まで謝ってばかりだったな……)

おかげさまで、目標にしていたPV100以上を超えたので個人的には大満足しています。(志は低い方です)

少しでも面白いと思ってくれたら、もう作者は昇天してしまいそうです。(意味不明)

ご感想はいつでもお待ちしておりますから、気軽に書いてください。


次回作は、ラブコメにしようかな~と目論んでいます。

…………他のも書きたいけど、資料を読む、調べる時間がないからできない…………。


そんな悔しさをバネにして頑張って次回作も書いていきたいと思っていますので、もしよければ、再び読んで頂けたら幸いです。


最後になりましたが、この作品を飽きずに最後まで読んでいただきありがとうございました。

ご感想はいつでもお待ちしております。


では、次回作をお楽しみに。


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