第2試験
第一試験が終わった直後、実力不足のものは試験官たちに誘導され失格になった。そして受かったら受験生たちは別々の通路へと誘導された。
勝った者も、派手な魔法を見せた者も、皆同じ顔をしている。
疲労と、不安。
レンは、自分の手を見つめていた。想像体は倒していない。それでも試験官は、何も言わなかった。
「第一試験、終了」
高台から声が響く。
「続いて、第二試験を行う」
ざわめきが広がる。
「まだあるのかよ……」「聞いてないぞ」
試験官は淡々と続けた。
「第二試験は、想像適応試験」
その言葉に、一部の受験生が顔をこわばらせた。
案内されたのは、巨大な円形の石室。
床には複雑な魔法陣。壁には、何もない。
「この試験では、敵は用意されていない」
試験官は言う。
「代わりに、状況が与えられる」
魔法陣が光る。
次の瞬間、空間が歪んだ。
レンの視界が、一気に切り替わる。
そこは、壊れかけた街だった。
崩れた建物。煙。逃げ惑う人影。
(……幻覚?)
だが、空気の重さも、地面の感触も、あまりにリアルだ。
試験官の声が、頭の中に直接響く。
《この空間では、受験生一人一人に異なる状況が与えられる》
《正解はない》
《ただし――想像を止めた者から脱落する》
レンは息をのんだ。
(想像を……止める?)
普通は逆だ。戦う想像を、勝つ想像を、強く描き続ける試験。
でもこれは違う。
目の前で、瓦礫の下敷きになっている人がいる。
助けを求めている。
しかし、遠くからは別の叫び声。
火が迫っている。
(どっちを……)
レンの頭が、一気に回り始める。
助ければ、もう一方が危ない。
魔法で瓦礫をどかす?火を消す?時間が足りない。
――どれも、正しくない。
そのとき、レンは気づいた。
(この人たち……助けられることを想像してない)
恐怖で、未来を描けなくなっている。
「……大丈夫」
レンは、小さく声を出した。
魔法陣が、足元に浮かぶ。
レンは攻撃も、防御も想像しない。
ただ――「助かる過程」を想像した。
誰かが来る。瓦礫は少しずつ崩れる。火は道を避ける。
すると、空間がゆっくりと書き換わっていく。
瓦礫が、自然に転がり落ちる。火の勢いが弱まる。
人々が、自分の足で立ち上がる。
レン自身は、ほとんど何もしていない。




