表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死に戻り魔王の「強くてニューゲーム」 ~未来の知識と圧倒的戦力で、人類ごと世界を救います~  作者: Chris Tartan


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/89

第81話:その魔王は勝利の暁に紫煙を誓う。~交わる機工の叡智と、夜の空に香る追憶の苦味~

【前回までのあらすじ】

 人類を絶望に突き落とす機械生命体の『強制進化』システム。しかしマクマリスたちは、敵が情報を共有する深海の「中央処理システム(頭脳)」さえ破壊すれば、その進化を止められるという一筋の光明を見出す!


 対抗策となるパワードスーツ開発のため、エスペル島へ向かう飛行艇『アルゴス』には天才ドワーフのヘギルと連邦のララノアが同乗。さらに、先代魔王復活の鍵を握る死霊術師アルフィリオンも合流する。


 人類の希望を乗せ、鋼の船がいよいよ夜空へと飛び立つ――!

 エスペル島へ向けて夜の空を飛ぶ、魔導飛行艇『アルゴス』。


 その船内に割り当てられたララノアの客室では、ドワーフのヘギルが大きな羊皮紙(ようひし)の設計図をテーブルいっぱいに広げ、ララノアと熱を帯びた議論に花を咲かせていた。


「見てくれ。これが未来の俺が作ったという『魔力吸収斧』の設計図だ」

 ヘギルが太い指で図面のコア部分を叩く。


 ララノアは眼鏡のブリッジを押し上げ、ランプの灯りの下で緻密な回路図に目を凝らした。

「なるほど……。刃の表面に刻まれた微細な魔力線が、こうやって空気中に漂うマナを絶えず吸い取っているのね」


「未来の俺は大したもんだろ?」

 ヘギルが誇らしげに鼻を鳴らす。

「で、この技術を魔導鎧(パワードスーツ)の全身に応用するわけよ。装甲全体で吸収した魔力を、中央のコンバーターでエネルギーに変換して駆動させるんだ。これで重量問題はクリアできる」


「全身にこの回路を組み込めば、確かに吸収量は飛躍的に上がるわ」

 ララノアは腕を組み、技術者の厳しい目で指摘した。

「けれど、空気中の微量な魔力だけでは、大した駆動時間にはならないわ。装着者自身の魔力や、敵から受けた魔法攻撃もエネルギーに変換して吸収できるようにした方が、圧倒的に効率的よ」


 ヘギルが「うーん」と低く唸って葉巻を噛む。

「なるほどな……。だが、今回の敵さん(機械生命体)は機械だ。魔法は使ってこないだろ? 装着者の魔力を吸い上げるのは利用するとして……魔導砲みたく『カートリッジ・システム』を補助的に導入するのはどうだ?」


「予め魔力を限界まで満たした魔力カートリッジ……。いい案ね」

 ララノアの瞳に、知的な光が灯る。

「それを腰や背中にマウントして、魔力が切れかけたらワンタッチで交換する。それなら、長時間の高出力稼働が可能になるわ。神経接続とのタイムラグも抑えられるはずよ」


 トントン。


 二人の議論が白熱し始めたその時、静かにドアをノックする音が聞こえた。

「おう、開いてるぜ」

 ヘギルが応じると、ドアが開き、マントを揺らしてマクマリスが入ってきた。


「魔王殿か、入ってくれ。狭いがな」

「貴様がいるということは、早速始めているようだな」

 マクマリスはテーブルに広げられた図面を一瞥した。


「おうよ。俺がハードウェアの設計と装甲の鍛造を担当して、ララノアが――」

「ソフトウェアの構築と、装着者との神経接続を担当するわ」

 ララノアがヘギルの言葉を引き継いで答える。二人の息は早くもぴったりと合っていた。


「自室で一人で設計図を引いてたんだけどよ、いい案が閃いたから、こいつに話を聞いてもらってたんだ」

 ヘギルがニヤリと笑う。

「なんだ? 俺たちがサボらずにちゃんとやってるのか、監視に来たのか?」


「そうじゃない」

 マクマリスは静かに首を振った。

「ララノアが、コーヒーを淹れてくれるというのでな。飲みに来ただけだ」


「あら、覚えていたのね。座って待っていなさい」

 ララノアが立ち上がり、部屋の隅にある小さな魔導コンロの準備を始める。

「すぐに淹れるわ。……ヘギルもどう?」


「いいね、いただくとしよう。頭を使ったら糖分とカフェインが欲しくなる」

 ヘギルは椅子に深く腰掛け、マクマリスを見た。

「しかし、魔王殿がコーヒーを嗜むとはな。魔界にそんな洒落た飲み物があるのか?」


「魔界にはない。……前の世界で、一度飲んだことがあるだけだ」

「へえ。美味かったんだな?」


「……悪くない味だった」

 マクマリスは、前の世界でララノアが死の直前に淹れてくれた「泥水のようなコーヒー」の強烈な苦味を思い出し、微かに目を細めた。

「貴様こそ、コーヒーは飲むのか?」


「ああ。コーヒーを飲んでると、頭が冴える気がするんだ。……この葉巻と一緒だな」

 ヘギルは、くわえている太い葉巻を指で弾いた。


「確かに、いつもくわえているな」

 マクマリスが興味深そうに尋ねる。

「本当にその葉巻には、頭を冴えさせるような効果があるのか?」


「いや? そんな魔法みたいな効果はないさ」

 ヘギルは肩をすくめて笑った。

「まあ、気の持ちようってやつよ。焦りや恐怖を煙と一緒に吐き出すのさ。……どうだ、あんたもやってみるか?」


「そうだな……」

 マクマリスは少し考え、言った。

「この戦いに完全に勝利したら、試してみるのも悪くない」

【次回の予告】

「前世で散った二人の天才へ。魔王が紡ぐ、新たな『生存フラグ』!」


 夜の飛行艇『アルゴス』の船室。勝利の暁に葉巻の吸い方を教わるというヘギルとの「前借り」の約束を交わしたマクマリスは、非戦闘員としての不安を漏らす天才ドワーフを「お前こそが戦争の中心だ」と力強く励ます。


 さらにマクマリスは、ディネルースにすら隠していたララノアの極秘事項「義体の自爆機能」を言い当て、前世で命を散らした二人に対し「今度は絶対に自爆などさせるものか」と静かな決意を告げるのだった。


 憧れの超高級コーヒー『ミッドナイトブレンド』の至福の香りに包まれながら、種族の壁を越えて芽生える奇妙で温かい連帯感。


 「大切な未来の秘書」と「最高の職人」と共に、星空の下で人類反攻への夜が更けていく――!


 未来の秘書、最高の職人と飲むミッドナイトブレンド。

 第82話は、明日の21時40分更新です!


◾️面白かったら下の☆☆☆☆☆で応援をお願いします! 次話執筆の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ