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死に戻り魔王の「強くてニューゲーム」 ~未来の知識と圧倒的戦力で、人類ごと世界を救います~  作者: Chris Tartan


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第78話:その魔王は忘却の螺旋をねじ伏せる。~魂に刻まれた『0周目』の記憶~

【前回までのあらすじ】

 深海へ潜るための潜水艇建造に向け、ガスピ湖で耐圧素材の採掘を進めるマクマリスたち。その裏で、マクマリスは白竜シャヴォンヌと密かな念話を交わしていた。


 未来の敗北を知る同志かと思いきや、ことわりの外にいる白竜には死の概念すらなく、ただロイの魂の輝きに惹かれて契約しただけだという。さらにシャヴォンヌは、人類が敵を追い詰めた際、機械生命体が予測不能な『進化(強制アップデート)』を起こすことを示唆する。


 着々と進む反攻準備の先で待つ、未知なる脅威の底知れなさにマクマリスは密かに戦慄するのだった――。

「私が聞けば、現時点での結果を教えてくれるのか?」

 マクマリスが問うと、シャヴォンヌが逆に問い返してきた。

『前もって、絶望の結果を知りたいと?』


「いや、興味ない」

 マクマリスは不敵に笑った。

「再び絶望の未来が待っていたとしても、この魔王がすべて書き換えるだけのこと。結末など聞くまでもない」


『素晴らしい心がけです』

 シャヴォンヌの思念に、微かな称賛の色が混じる。

「フン。だが、何かアドバイスをもらうことは可能か?」


『アドバイスですか……いいでしょう。我が(ロイ)を大切にしなさい。貴方もご存知の通り、主は不確定要素が極めて強いのです。未来の結果は、主次第と言っても過言ではありません』


「フハハハ、やはりな」

 マクマリスは喉の奥で笑った。

「私はなぜか、ロイの成長が勝敗を分ける気がしていた。私の直感は間違っていなかったか」


『直感? 今、直感と言いましたか?』

 シャヴォンヌの思念が、にわかに波立った。

「言ったが、どうした?」


『……主に何が起きたか、覚えていないのですか?』

「覚えていないだと? いったい何を言ってる?」

『「前回の一周目」という言葉に、違和感はあったのですが……』


「……まさか」

 マクマリスの脳細胞が、恐るべき速度で一つの仮説を弾き出した。背筋に冷たい汗が流れる。

「今回が、二周目ではないということか?」


『はい。今回が二周目とするなら、その前に「0周目」の世界がありました。貴方は今、三度目の戦いに身を投じています』


(なんだと!? だとしたら、なぜ、最初の敗北の記憶がない?)

 マクマリスの心が大きく揺らぐ。

「その話が真実だとして……なぜ私は覚えていない? 私は一周目の記憶はしっかりと残っている。0周目の記憶もあってしかるべきだ」


『それは、私にも分かりません。時の濁流に飲み込まれたのか、あるいは……』


(同じ相手に二度も負けていたとは……。さすがにプライドが傷つくな)

 マクマリスはギリッと奥歯を噛み締めた。

(しかし、ロイは何かを秘めている存在であることは確定した! これだけでも収穫だ)


「まぁ、いい。0周目の記憶などなくとも、今回で終わらせる」

『その意気です。お手並み、拝見させていただきましょう』


 マクマリスは、隣にいるロイに目を向けた。ロイは白竜の美しい鱗を珍しそうに眺めているだけで、シャヴォンヌとの深刻なやり取りを何も聞いていないように見えた。


『私は貴方にだけ語りかけました。主の脳内には届いていません』

 シャヴォンヌが補足する。


「聞かれて困る話ではないが、無駄な混乱は避けるべきだ。一応、気遣いに礼を言っておく」

 マクマリスは表情をいつもの冷静なものに戻し、ロイに向き直ってその肩に手を置いた。

「ロイ。我々は積み込みが終わり次第、島へ戻る。君は説明した通り、オウカの源流のところへ向かえ」


「分かりました。源流さんに剣術を教わるんですよね」

 ロイが力強く頷く。


「そうだ。源流の教育が終わったら、次は四天王からドラゴンライダーとしての心得を学びなさい」

 マクマリスの目は真剣だった。

「私の見立てでは、ガエサルを除く四天王は、ドラゴンに乗っていない時の方が真価を発揮する。……ロイ、君がシャヴォンヌと共に、他の三頭のドラゴンをも使いこなすことができれば、これ以上心強いことはない」


「えっ!? 僕に四頭も扱えと……」

 ロイが戸惑う。


「シャヴォンヌと契約した君なら大丈夫だ」

 言い切った直後、マクマリスは心の中で自問した。

(晩餐会の時のウルスヌスの生態への理解といい、なぜ私は、四天王のことがこうも正確に分かる? これが0周目の経験に基づくものだとすれば……)


 一つの顔が思い浮かぶ。オウカの姫、暁月。

(まさか、暁月との間にも、0周目で何かあったのではないか? そうであれば、今回、不自然なほど彼女を気にかけてしまうことも合点が行く)


「……マクマリスさん、大丈夫ですか?」

 考え込んで黙り込んだマクマリスを、ロイが心配そうに覗き込む。


「ああ、すまない」

 マクマリスは我に返り、ロイの肩を叩いた。

「前回……いや、私の『予知』では、君の成長が戦局を左右する鍵となる。中途半端な実力では、守れるものも守れんぞ。しっかり頼む」


 ロイは、魔王の期待に応えるように、はっきりと答えた。

「……はい! 必ず、強くなってみせます!」


 その力強い声を、白竜シャヴォンヌは静かに見守っていた。

【次回の予告】

「魔王が『先代魔王』を復活させる!? 恐るべき戦力増強と、敵の『強制進化』の脅威!」


 耐圧素材の積み込みが終わり、エスペル島への帰還準備が進む『アルゴス』。

 魔導鎧パワードスーツの開発協力を求め、ドワーフのヘギルと連邦のララノアも同乗することに!


 しかし、死霊術師アルフィリオンの合流を待つマクマリスの目的は……なんと、三百年前にエスペル島を恐怖に陥れた『先代魔王ガングダード』をコアの技術で復活させることだった!


 魔界の反乱分子を黙らせるための、劇薬とも言える圧倒的な暴力の象徴。


 その裏で、天才職人ヘギルとマクマリスは、解体した機械生命体のデータから「敵はリアルタイムで装甲すら変化させる『強制進化』を行う」という絶望的な事実を確認し合う。


 人類の科学力と魔王の執念は、進化する絶望に追いつけるのか――!?


 先代魔王の復活計画と、進化する絶望。

 第79話は、明日の21時40分更新です!


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