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死に戻り魔王の「強くてニューゲーム」 ~未来の知識と圧倒的戦力で、人類ごと世界を救います~  作者: Chris Tartan


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第77話:その白竜は運命を傍観する。~静謐なるガスピ湖の問答~

【前回までのあらすじ】

 深海に潜む機械生命体を討つべく、海竜ティアマトの雷撃テストが行われたが、海面からの攻撃では威力が分散してしまい効果が薄いことが判明。敵を確実に仕留めるためには、直接深海へ潜る「潜水艇」と「新兵器」が不可欠であることが決定的となった。


 一方、無事に試練を終えて帰還したロイたちを迎えたマクマリスは、四天王カーラの報告に戦慄する。なんと白竜シャヴォンヌは「別世界線の記憶」を共有しており、マクマリスと同じく『人類が敗北する未来』を知っていたのだ!


 未来を変える最強のピースが揃ったと確信し、マクマリスとヘギルは潜水艇の耐圧素材を求めてガスピ湖へと向かう――!


挿絵(By みてみん)

 鏡のように静まり返ったガスピ湖の湖畔では、ドワーフたちがヘギルの荒々しい指示のもと、湖底から採掘された青白く光る鉱石――深海の水圧に耐えうるという特殊素材を、飛空艇『アルゴス』へと次々に積み込んでいた。


 その騒がしい作業風景を少し離れた場所で見つめるマクマリスの隣には、契約を終えたばかりのロイと、巨大な白竜シャヴォンヌが静かに佇んでいた。


 マクマリスは、神話の生物に対し、マントを翻して短く頭を下げた。

「……すまないな、シャヴォンヌ殿。静謐(せいひつ)な住処を、我々の都合で騒がしくしてしまった」


 シャヴォンヌの透き通るような声が、直接マクマリスの脳内に響いた。

『気にすることはありません』

 白竜はサファイアのような瞳を細め、湖面を見つめた。

『人類軍が負ければ、いずれこの美しい湖も、機械の油と鉄屑で無惨に汚されることになります。今は、耐える時です』


 そして、その瞳がゆっくりとマクマリスをじっと見据えた。

『しかし……魔界の王が、人間と共闘するとは驚きました』


「合理的な判断によるものだ」

 マクマリスは表情一つ変えずに答えた。


『とはいえ、魔族のすべてが良しとするわけではないでしょう? ……貴方の立場、相当風当たりが強いのでは?』

 シャヴォンヌの鋭い指摘に、マクマリスは自嘲気味に口角を上げた。


「……ああ。明日にも首が飛びかねない、薄氷の上を歩くような状況だ」

 かつて、自分の派閥の弱さゆえにアズモたちに裏切られ、暗殺されかけた前世の記憶が脳裏をよぎる。

「だが、私は自分の判断を間違っているとは思っていない。あの化け物どもに勝つためには、種族の壁を越えたこの方法が最善だ」


『……過去の経験が、貴方を変えたようですね』


「前回の一周目も帝国と共闘はしたが、帝国だけでは不完全だった。だが今度は、連邦も味方につけた。対抗できるだけの新たな武器もある。死角はないはずだ」


『……そうであることを願いましょう』


 マクマリスは眉をひそめた。

「棘のある言い方だな。……そういえば、他の世界線の自分自身と記憶を共有していると耳にしたが」


『その通りです。だから、貴方の変化が分かるのです。貴方は随分と……人間らしくなった』


「人間らしく、か……。魔王に対する言葉としては、褒められている気はしないな」

 マクマリスは鼻を鳴らし、核心を突いた。

「記憶を共有しているということは、つまり、機械生命体に滅ぼされた未来を知っているということだな?」


『そうです』

 シャヴォンヌが静かに頷く。


「未来の記憶を持っているのが、私だけではないというのは心強い。我々は同じ志を持った同志ということか」

『同じ志を持った……同志?』

「貴殿も、滅ぼされる運命に抗いたくなったのだろう? だから、あの時と同じように再びロイと契約をした」


『そういうことですか。……それは違います。私は抗うつもりはありません』

 シャヴォンヌの思念は、ひどく冷たく、静かだった。


「何!?」

 マクマリスは思わず声を荒げそうになり、ロイに気づかれないよう声を潜めた。

「世界がどうなってもいいと言うのか?」


『それが運命であるならば、致し方ないでしょう』

「滅びる未来を受け入れた貴殿が、なぜロイと再び契約した?」


『彼が契約を望み、私が彼の魂の色を見たまでのこと。そこに世界が滅びる、滅びないは関係ないのです』

「死ぬことに抵抗はないのか? 同族のドラゴンたちも死ぬのだぞ?」


『私には、貴方たちのような死の概念はありません』

「……死の概念が、ない?」

 マクマリスは、理解が追いつかずに目を見開いた。


『私は、この世界の(ことわり)の外に存在しているもの……といえば、分かっていただけますか?』


(ことわり)の外、か。神話の生物そのものだな。……まさかとは思うが、念のため聞いておく」

 マクマリスは、冗談半分に探りを入れた。

「この先の結果も、把握しているなんてことはないだろうな?」


『把握しています』


「チッ……なんて存在だ」

 マクマリスは舌打ちをした。自分の『時間逆行』というアドバンテージが、この白竜の前では児戯に等しい気がしてきたからだ。


『でも、それは現時点での話。確定した未来ではありません』

「我々次第で、結果は変わるというのだな?」


『ええ。特に人間は不確定要素が強い生き物ですからね。……でもそれは、相手にも言えること』

「……進化、か」


『そうです。人間の持つ不確定要素により戦況が好転した場合……つまり相手が追い詰められた時、どのような進化を持って対抗してくるのかは、私にも読めません』


「なるほどな……」

(ヘギルが危惧した通りとはな……。奴らは確実に、強制アップデートしてくる)

【次回の予告】

「明かされる衝撃の真実! 今回は『二周目』ではなく『三周目』だった!?」


 白竜シャヴォンヌとの密かな念話の中で、マクマリスに突きつけられた信じがたい事実。


 なんと、彼が経験した敗北の歴史のさらに前――彼自身も記憶を失っている『0周目』の世界が存在したのだ!


 記憶がないはずなのに、なぜか四天王の特性を熟知し、源流の娘・暁月を過剰に気にかけてしまうマクマリス。そのすべての点と点が繋がり始める……!


 そして、シャヴォンヌが断言する「未来を分ける最大の鍵」は、やはりロイの成長だった。


 期待を込めてマクマリスがロイに下した指示は、剣聖・源流への弟子入り、そして……「四頭のドラゴンをすべて使いこなせ」という前代未聞の無茶振り!?


 失われた『0周目』の記憶と、託された希望。

 第78話は、明日の21時40分更新です!


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