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死に戻り魔王の「強くてニューゲーム」 ~未来の知識と圧倒的戦力で、人類ごと世界を救います~  作者: Chris Tartan


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第69話:その魔王は希望(ロイ)の成長を待つ。~胃袋で繋がる平和と、大人たちの不器用な夜~

【前回までのあらすじ】

 ついに締結された歴史的な休戦条約『マクマリスの円卓協定』。


 その夜に開かれた祝賀パーティは、昨日までの敵同士が笑顔の下で牽制し合う、胃の痛くなるような空間だった。


 そんな喧騒から離れたテラスで、マクマリスは最強の剣豪・源流に頭を下げ、これから白竜の試練に挑む若き王子ロイの「剣術指南」を密かに依頼する。


 魔王自身にも説明のつかない「ロイの成長への確信」が、頑ななサムライの心を動かした――。

 そこへ、テラスから戻ってきたマクマリスが四天王たちに近づいてきた。

「貴様ら、ロイのことで頼みがある」


 突然の魔王の接近に、四天王が身構える。

「……頼みって何ですか?」カーラが問う。

「白竜との契約が終わったら、ロイは源流に剣術の指南をしてもらうことになった」


「ほー、それは楽しみじゃ。剣聖の異名を持つ源流殿が稽古をつけてくれるとは、またとない機会じゃて」

 ザルティムが感心する。


「稽古が終わった後なんだが、次は貴様らにドラゴンライダーとしての心得や戦い方を教育してもらいたい」

 ガエサルが頷いた。

「問題ありません。我らとしても、新たな竜騎士の戦力化は急務。やらせていただきましょう」


 だが、ウルスヌスが不満げに割り込んだ。

「おいおいおい、ちょっと待てよガエサル。俺は納得いかねーぞ」


 彼は巨躯でマクマリスを見下ろした。

「魔王様よぉ。それが人に物を頼むときの言い方かよ? ああん? まずは、お前を教育してやろうか?」


「ウルスヌス、よせ。そう突っかかるな」

 ガエサルが制止するが、ウルスヌスは止まらない。


 マクマリスの目がすぅっと細まり、両手にどす黒い魔力が集束する。

「ほう……。会議でディネルースに殺されかけた貴様が、私に指導する気か? 面白い……果たして何秒持つかな?」


「なんだとっ!」

 ウルスヌスが拳を構える。会場の空気が一気に凍りつく。


 その時。

 バーン! と大扉が開かれた。


「お待ち遠さん! しけた祝宴は終わりだ! こっからは本当のパーティーだぜ!」

 大声を上げて入ってきたのは、コック帽を被ったヘギルだった。


 彼が押す巨大な配膳カートには、山盛りの料理が積まれている。後ろからはシルフやガイアス兵たちも、皿を持って続いている。


「『暴君竜の骨付きマグマステーキ』、『俺(じるし)のニトロ・エール』、それと『熟成歯車チーズ』だ! みんな並んでくれ!」


 強烈に食欲をそそる匂いが会場に充満した。

 ウルスヌスの鼻がヒクヒクと動く。

「う、うっひょー! あの肉、すげえ美味そうだな!」


 彼はマクマリスのことなど瞬時に忘れ、ヘギルの元へ駆け寄っていった。

「おっさん! その一番でかいやつくれ!」


 続いてシルフがトレイを掲げる。

「こっちは『水晶魚のカルパッチョ』よ! 美容にいいんだから!」


「本当に!? 食べたーい!」

 カーラやララノアなど、女性陣が一斉にシルフの元へ集まる。


 張り詰めていた空気が、食欲と笑顔によって一瞬で霧散した。


 その光景を見ていたザルティムが、安堵の息をついてマクマリスに話しかけた。

「フォフォフォ。ヘギル殿に救われましたな」


「……命拾いしたのは、ウルスヌスの方だ」

 マクマリスは魔力を散らした。

「あいつは後先考えずに行動する直情型じゃが、悪気はないんじゃ。今回は多めに見てやってくれんかの」


「フン。口の減らない熊だが……使い道はある」

 マクマリスは肉にかぶりつくウルスヌスを観察した。

「奴の肉体強度は、私の『障壁魔法』に匹敵する。機械生命体の物理攻撃に対して極めて有用だ。それに、脳みそまで筋肉でできている分、洗脳や精神攻撃が効かないのもメリットだな」


「戦ってもいないのに、そこまで分かっているか……。魔王の観察眼は大したものだ」

 いつの間にか背後に立っていたアンドレアが感心したように言った。

 そして、テラスの方へ歩き出した。

「源流と一杯やってくる」


 マクマリスは止めた。

「やめておけ。源流は貴様を憎んでいる。一緒に飲む気はないと言っていたぞ」


 アンドレアは立ち止まり、背中で笑った。

「これから共に戦う仲だ。一杯くらい付き合わせるさ。……俺は、あいつとは飲んでみたかったんだ」

 覇王は躊躇なく、孤高の侍が待つテラスへと消えていった。


 マクマリスは会場を見渡した。

 緊張感の漂っていた晩餐会が、ヘギルやシルフのおかげで一気に和やかになっている。敵味方の垣根なく、美味いものを囲んで笑い合っている。


(この雰囲気なら……やれるはずだ)


 マクマリスの視線が、ガガンやカーラと笑顔で談笑するロイに向いた。

 彼は心の中で、若き未来の英雄に語りかけた。


(機械生命体に勝つためには、貴様の成長が欠かせない。……私の考えが間違いでないことを、証明してみせろ。ロイ!)


 月明かりの下、人類反攻作戦の夜は、束の間の温もりと共に更けていった。

【次回の予告】

「泥沼の戦争の裏に隠された、覇王の過去と女狐の陰謀。」


 いよいよ白竜シャヴォンヌが眠るガスピ湖へ出立するロイ。

 

 出発の直前、覇王アンドレアの口から重々しく語られたのは、亡き妹エレノアへの想いと、現連邦議長ディネルースが引き起こした恐るべき「戦争の真実」だった。


 なぜ覇王は世界を敵に回してまで進軍したのか。

 なぜ白竜は人を拒み、孤独に眠り続けるのか。


 覇王の無念と願いを背負い、ロイは命がけの「竜の試練」へと挑む。

 しかし、案内役のカーラが上空で不穏な言葉を囁き――!?


 覇王の真実と、白竜の待つ湖。 

 第70話は、明日の21時40分更新です!


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