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死に戻り魔王の「強くてニューゲーム」 ~未来の知識と圧倒的戦力で、人類ごと世界を救います~  作者: Chris Tartan


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第49話:その父は空を見上げる。~老王の遺言と崩壊の連鎖~

【前回までのあらすじ】

 激化する機械生命体との総力戦。

 

 その最中、ララノアはマクマリスに「最期のコーヒー」を振る舞い、自爆して彼に魔力を回復する時間を稼いだ。


「来世では、秘書にしてくださいね」


 その切ない約束と、託された想いを胸に、マクマリスは再び戦場へと戻る。

 白亜の巨塔、南側。

 その絶望的な光景を、エルフの兵士たちは呆然と見上げていた。


「長老……! ガエサル様のティアマトが……墜ちました!」

 若いエルフ兵が、腕の中に抱えているスーリンディアに報告する。

 しかし、返事はない。


「長老!?」

 エルフ兵は視線を落とし、狼狽(ろうばい)した。


 先ほど敵の不意打ちを受けて胸を貫かれたスーリンディアは、蒼白な顔でぐったりとしていた。

「長老!? しっかりしてください!! 長老!?」


 体を揺さぶるが、その瞳は虚空を見つめたまま動かない。「魔法の詠唱を続けろ」と言ったその唇は、もう二度と動くことはなかった。


 指揮官の死。そして最強の竜の撃墜。

 二つの絶望が同時に襲いかかった。


「我々は……どうすれば……」

 スーリンディアの亡骸を抱きかかえ、嘆くエルフ兵。


 その背後に、無慈悲な機械の駆動音が迫る。

 容赦なく振り下ろされたブレードが、悲しみごと彼らを断ち切った。


 指揮系統を失った南エリアは統制が乱れ、瞬く間に銀色の波に飲み込まれていった。


    ◇


「ガエサルゥゥッ!!」

 盟友の死に、残る四天王たちが理性を失った。


「よくもガエサルを! 許さんぞ!」

 ウルスヌスが吠える。


「助けるのよ! まだ間に合うはず!」

 カーラが叫ぶ。


 ウルスヌス、ザルティム、カーラ。三人の四天王は、アンドレアの待機命令を待たずに、反射的に降下してしまった。


 それが、致命的な隙となった。

「馬鹿者! 高度を下げるな!」


 アンドレアの叫びも虚しく、低空に降りた三頭の竜を待っていたのは、地上を埋め尽くす機械生命体のジャンプ攻撃と、死角からの水流カッターだった。


「しまっ……!?」

 カーラのワイバーンの足に、鋭利なブレードが突き刺さる。

 ウルスヌスのリントヴルムが、足元から這い上がってきた敵に喉元を食い破られる。

 ザルティムのブリトラが、高圧水流で片翼を千切られる。


 空の王者が、地を這う鉄屑どもに引きずり下ろされる。

「ギャアアアアッ!」

 断末魔と共に、帝国最強を誇った四天王とドラゴンたちが、次々と黒煙を上げて墜落していく。


    ◇


 その光景は、白亜の巨塔、東側で戦う帝国兵たちの心をへし折るのに十分だった。


「し、四天王が……全滅だと……?」

 絶望が伝染する。武器を取り落とす者が現れ始めた。


 アレフドリア十五世が兵たちの動揺を察知し、老体に鞭打って声を張り上げた。

狼狽うろたえるでない! まだ覇王と魔王が健在だ! 勝機は我らにあり! 陣形を立て直せ!」


 しかし、恐怖は王の威厳をも凌駕していた。

「ドラゴンが負けるなんて……終わりだ、もう終わりだぁッ!」

 一人が背を向けると、雪崩を打つように帝国兵たちが持ち場を離れ始めた。


 アレフドリア十五世を護衛するアレフ騎士長が、必死の形相で進言する。

「王! ここはもう持ちません! 一度、魔王様のいる後方へ退避を!」


 だが、アレフドリア十五世は静かに首を横に振った。

「ならん。私が退けば、ここは崩壊する。そうすればマクマリス殿の負担が増える」


「もう崩壊しています! 今すぐ退……ッ!?」

 なおも説得しようとした騎士長の言葉が途切れた。

 シュッ、という音と共に、彼の胸から高圧の水流カッターが突き出していたのだ。


「……王、よ……」

 騎士長はその場で崩れ落ち、絶命した。


「騎士長!!」

 長年連れ添った上官の死を間近で見たアレフ兵たちは、完全にパニックに陥り、浮き足立った。


 防衛ラインは決壊した。


 アレフドリア十五世は、一人踏み止まり、剣の柄をきつく握りしめた。

 彼は乱戦の空を見上げた。そこには、白い一点の輝き――息子ロイとシャヴォンヌが、孤軍奮闘している姿があった。


「……魔王殿。貴殿のおかげで、息子が飛ぶ姿を見られた。……安心して死ねる」


 老王は、迫りくる機械生命体の波に向かって剣を構えた。

 その顔に、恐怖はなかった。


「ロイよ。……先に逝くぞ。生きろ」

 銀色の津波が、老王の姿を飲み込んだ。


 南側に続き、東側も統制は完全に乱れ、軍は総崩れとなった。

【次回の予告】

 「あばよ、相棒。そして最強の竜、墜つ。」


 悲劇の連鎖は止まらない。

 

 白亜の巨塔を守るヘギルは、迫りくる敵の群れに対し、不敵な笑みと共に最期の引き金を引く。

 轟音と共に崩れ落ちる塔。


 さらに、ガイアスの科学の結晶、アルゴス級戦艦も黒煙を上げて墜落。

 空に残されたのは、覇王とロイのみ。


 しかし、その覇王アンドレアさえも、圧倒的な数の暴力の前に翼を折られる。

 虚空に響くロイの絶叫。人類最後の希望が、銀色の地獄へと沈んでいく――。


 燃える巨塔、砕ける翼。

 第50話は、明日の21時40分更新です!


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