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死に戻り魔王の「強くてニューゲーム」 ~未来の知識と圧倒的戦力で、人類ごと世界を救います~  作者: Chris Tartan


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第36話:その魔王は闇を暴く。~地下最深部の遺産~

【前回までのあらすじ】

 故郷エスペル島を追われ、アンドレア帝国へと集結した人類と魔族。

 

 覇王の正義を信じきれずにいた紅葉の森の長・スーリンディアは、暁月の口から真実を知らされ、長きにわたる苦悩から解放される。


 そして、覇王アンドレアの演説が大陸全土に響き渡り、過去の遺恨を捨てた最強の「人類連合軍」がここに結成。


 迫りくる機械生命体との決戦に向け、心と戦力の準備が行われていく。

 水の都、白亜の巨塔。


 先の大戦で上層部が崩壊したこの塔は、現在、ドワーフと人間の混成部隊によって急ピッチで修復作業が進められていた。

 カンカン、という槌音(つちおと)が響き渡り、魔力クレーンが資材を吊り上げる。活気に満ちた復興の象徴。


 その様子を仮設の事務所から見守っていた覇王アンドレアの元へ、黒いマントを翻してマクマリスが歩み寄った。


「……魔王じゃないか。視察か?」

 アンドレアが振り返る。


「いや。オウカに眠る源流の(むくろ)を取りに行くついでに、寄ってみただけだ」

 マクマリスの言葉に、アンドレアの表情が曇った。


「源流、か……」

「貴様と互角に渡り合ったと聞いている。アンデッドとして使役すれば、相当な戦力になる」


 アンドレアは手すりを握りしめ、遠い空を見た。

「確かに、あいつは強かった。戦っていて、心の底から楽しいと思えたのは久しぶりだった……」

 覇王の声には、好敵手を失った寂しさが滲んでいた。


「アンデッド化するのは、反対か?」

 マクマリスが問うと、アンドレアは苦笑した。


「……あいつは、敵である俺にも敬意を払える、誇り高い男だった。俺もあいつに敬意を払い、安らかに眠らせてやりたいところだが……今回ばかりは、そうも言ってられまい」


 アンドレアはマクマリスを真っ直ぐに見つめた。

「世界を守るためだ。……頼んだぞ」

「その通りだ。分かっているなら、いい」


 マクマリスは視線を塔へと移した。

「ところで、白亜の巨塔の内部は全て調べ済みか?」


「いや。結界が解けたのはついこの間の話だ。今はテラスを修復して、魔導砲を設置することが最優先だ。内部の精査は、全てが終わってからだな」


「今、見てきても構わないか?」

「もちろん構わないが……この塔に何があるんだ? 接収した報告書には、特に気になるような記録はなかったが」


 マクマリスは目を細めた。

「分からん。しかし、ディネルースは研究者として、いろいろと黒い噂が絶えない女だった。表に出ていない『何か』面白いものが見つかるかと思ってな」


「あいつは死霊術以外にも、いかがわしいことをしていたというのか……」

「断言はできん。あくまで可能性の話だ」


    ◇


 マクマリスは喧騒を離れ、塔の内部へと足を踏み入れた。

 メインのリフトは上層階へ続いているが、彼の目的はそこではない。


(ディネルースの性格だ。人目のつかない場所に、自分だけの聖域(ラボ)を作っているはず)


 マクマリスは魔力探知を全開にし、塔の基部、壁の一枚一枚を精査して回った。

 そして――埃っぽい倉庫の奥、何の変哲もない壁の前で足を止めた。


「……ここか」


 指先から魔力を流し込むと、精巧に隠蔽されていた術式が反応した。

 ズズズ……と低い音を立てて壁がスライドし、隠しリフトの扉が現れる。


(ディネルースは私が殺したのに、なぜ扉の魔力が維持されている? ……独立したエネルギー源があるのか、あるいは……)


 一抹の不安を抱えつつ、マクマリスはリフトに乗り込んだ。

 リフトは音もなく、深淵(しんえん)へと沈んでいく。

 湖底よりも深く。光の届かない闇の底へ。


 扉が開いた瞬間、鼻をついたのは、鼻孔を刺す消毒液の臭いと、微かな鉄錆――いや、血の臭いだった。

「……趣味が悪いな」


 そこは、無機質な白いタイルで覆われた極秘の研究施設のように見える。

 壁にはいくつもの白いカプセルが並び、中には得体の知れない液体が満たされている。


 机の上に放置されたファイルを手に取る。

 『記憶洗浄』『恐怖心の除去』『忠誠回路の書き込み』……。

 おおかた、死を恐れない兵士や、絶対服従の奴隷を作るための研究だろう。


(ネクロゴンドの死体兵と発想は同じだが、こちらは『生きている』人間を(いじ)る分、タチが悪いな。……だが、実用化できているとすれば、有用な技術だ)


 その時。


 施設の最奥から、ガチャン、という硬質な物音が響いた。

 マクマリスは気配を消し、音のする方へ忍び寄った。

【次回の予告】

 「その体、四十%が機械か。」


 地下実験室の闇に潜んでいたのは、ディネルースの懐刀ふところがたな・ララノア。

 彼女が整備していたのは、自身の肉体を置き換えた「魔導義体」だった。


「ディネルースは私が殺した」


 主の死を告げ、非人道的な実験データを「有用だ」と回収するマクマリス。

 そして、震える彼女に残されたのは、慈悲ではなく死の宣告。


「一週間後、全てを喰らう敵が来る。……逃げろ」


 機械仕掛けの秘書官。

 第37話は、明日の21時40分更新です!


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