番外編ショートストーリー:最強たちの放課後
本日は第22話を公開予定でしたが、予定を変更して……
四天王にフォーカスした短編をご用意しました。
このシリーズでは本編では語られないキャラクターの意外な一面をお見せできればと思っています。
今回はあの大掛かりな「レヴィアタン討伐」を成し遂げた直後の、四天王たちの意外な素顔が垣間見えるショートストーリーです。
本編のシリアスな展開の合間に、ほっと一息つけるようなエピソードをお楽しみください。
白亜の巨塔が崩落し、湖の水面がようやく穏やかさを取り戻した頃。
湖畔の岩場では、帝国最強と謳われる四天王たちが、泥のように座り込んでいた。
「……腹減ったァァァッ!!」
第一声を上げたのは、猪突猛進のウルスヌスだった。
彼は兜を放り出し、愛竜リントヴルムの首をガシガシと撫でながら叫んだ。
「おいザルティム! 爺さんの魔法でなんか焼いてくれよ! 魚とか浮いてんだろ!」
「馬鹿を言うでない、この若造が」
老魔導師ザルティムは、自身の愛竜ブリトラの背に寄りかかりながら、よっこらしょと腰を叩いた。
「わしの魔力は空っけつじゃ。あの硬い鱗を解析するのにどれだけ神経をすり減らしたと思うておる。……ああ、腰が痛い」
「だらしないわねえ、おじいちゃん」
紅一点のカーラが、携帯食料の干し肉を齧りながら笑う。
「でも、さっきの『一点突破』の指示、痺れたわよ。伊達に長生きしてないわね」
「ふん、口の減らない娘じゃ。……ほれ」
ザルティムは懐から出した小瓶をカーラに投げた。
「なんだこれ?」
「高級な傷薬じゃ。お主のワイバーン、翼を掠められたじゃろう。跡に残ると嫁に行けなくなるぞ」
「……ふふ、余計なお世話よ。ありがと」
カーラは少し顔を赤らめ、ワイバーンの手当てに向かった。
そんな三人の様子を、リーダー格のガエサルが腕を組んで眺めていた。
「……おい、ガエサル。なにニヤけてやがる」
ウルスヌスがジロリと見る。
「ニヤけてなどいない。……ただ、悪くないと思っただけだ」
ガエサルは、自身の相棒ティアマトの三つの首に、それぞれ水を飲ませながら呟いた。
「ディネルースは強かった。個の力としては、俺たち一人一人じゃ逆立ちしても勝てなかっただろう」
「認めるのかよ。癪だなあ」
「事実だ。だが、奴は負けた。なぜか分かるか?」
「そりゃ俺たちが強かったからだろ!」
「違うな」
ガエサルは、仲間たちの顔を見回して、不敵に笑った。
「奴には、背中を任せる相手がいなかった。ただそれだけだ」
一瞬の沈黙。
照れくさい空気が流れる。
「……ケッ! キザな野郎だぜ!」
ウルスヌスが顔を背ける。
「フォフォフォ。まあ、間違ってはおらんの」
ザルティムが髭を撫でる。
「はいはい、お説教は終わり! さあ、覇王様のところに行くよ! 早く帰って祝杯しなきゃ! 覇王様が一番高い酒を開けてくれるはずだから!」
カーラが立ち上がる。
四人は顔を見合わせ、そして空に向かって豪快に笑った。
最強の四天王。彼らの強さは、個の武勇にあらず。
凸凹ながらも噛み合った、その「絆」にあった。
いかがでしたでしょうか?
「あの強面の四天王たちが、実はこんなに仲良しだった」というギャップを楽しんでもらえていたら幸いです。
次は激戦の地、オウカ。ふと訪れる静寂の中で、覇王アンドレアが源流を偲ぶショートストーリーを公開予定です。
明日の21時40分更新です!
◾️面白かったら下の☆☆☆☆☆で応援をお願いします! 次話執筆の励みになります!




