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9. 会議開始

会議の部屋は広く、中央の丸いテーブルに魔王と領主の3人が座っている。


その後ろに、各々側近がいるが、力将だけ何人もの女の側近を連れてきている。


力将は、鬼の魔人だ。


角が生えており、肌が緑だが、それ以外はかなり人族に近い、細マッチョのイケメンだ。


案内してくれた、愛想の悪い兎メイドも、力将に熱い視線を向けている。


あの力将、モテモテだな。


力将の視界の外にいるときは、熱心に力将を観察しているが、力将の視界に入った途端、キリッとした姿に戻る。


アハハハハ。


見ていて楽しいなぁ。


俺が、テレビ番組に出演したときもそんなタイプの人いたなぁ。


テレビに映っているときは、シャキッとしているのだけど、カメラの外では、だらしない人が。


あーあ。どうして俺、魔王を倒しに異世界転生したのに、魔王軍の会議に参加しているんだろう。


どこで、間違えたのだろうか?


答えは簡単、勇者と敵対したから。


でも、ひどくない。


俺の行動は間違っていない。


セオリー通りに行動しただけだ。


どう考えても1対多数で戦闘していて、助太刀に入るのは負けそうな1人の方だろう。


くそ、この異世界。


セオリーが通用しないのか。


フルーレティーには悪いが、ここは穏便に過ごして、フルーレティーの領に帰ってから東国から西国に脱走しよう。


冷静に考えてみると、魔王や3将といった主要メンバーの顔が分かったことはいいことだし、もしかしたら弱点などが分かるかもしれない。


ポジティブに考えろ、そう悪い話ばかりではない。


まだ、詰みではいない。


「他に、話し合いたいことはないか?」


魔王が、話す話題がなくなったのか3将に話を振る。


「はい!はい!はい!はーい!!あの、ベーゼル様が話したいって言ってたいる。言っていた!」


技将ベーゼルの後ろに立っているバッタの魔人が、勢いよく手をあげる。


その様子に、知性は感じられない。


「では、私から、食料が足りていない。食料確保のため西国へ略奪しに行きたいがいいか?」


穏やかじゃない議題だな。


「はぁ。あんたたち、ふざけてるの。毎回私がどれだけの食料を送ってると思ってるのよ。」


フルーレティーが机に両手を突いて身を乗り出して抗議をする。


「うるさいなぁ。たくさん届いたら、たくさん食べるに決まってるだろ。」


さも当然のように言ってのけるベーゼル。


「はぁ。この間、貯蓄のしかた教えたじゃない。あれはもうやってないの?」


「思い出しましたぞ。よくもあんな、でたらめな方法教えてくれたな。とっととやめたぜ。あれを実践すると不思議と貯蓄が減るんだからな。」


「そんな分けないでしょうが!食料庫の管理は伝えたように人間か亜人種にさせているんでしょうね!?」


「いや、魔族でやっている。不思議と普段働きたがらない奴らが、食料庫の管理だけはやりたがるんだ。あいつらが、誰かのために働きくなんて俺は嬉しいよ。」


「ばーーーか。管理をしている奴らが食い潰しているから減ってるんじゃない。魔族が誰かのために働くわけないでしょうが!自分が食料をちょろまかすためにやっているのよ!そんな、ことぐらい自分で気付けよ。」


「な、なにーーー! おい、爆裂バッタ!お前も食料庫の管理をやっていたな。」


食料庫の食料が減る原因が今分かったようだ。


6本ある蝿の細い脚がせわしなく上下に動いている。


誰かが、食べているなんてすぐに思いつきそうな理由だけど、それに気づかないのは小学生以下の知能だな。


ベーゼルは、後ろに立っていた側近に詰め寄る。


「えぇ。ベーゼル様。」


「貴様。食料庫の管理をしている時、食料を食べたりしたか?」


「もちろん食べている。食べていますとも。そこに食料があるのですから!」


あぁ。側近もバカだ。


今の話を聞いていたら、とても食べたなどいえるはずもない。


「バカもんがー。」


ベーゼルの怒りの鉄拳が側近に振るわれる。


といっても、ベーゼルの腕は、蝿と同じように細く、腕も6本あり、鉄拳と言うよりは怒りの鞭になっていた。


「食糧問題は解決しそうだな。では、食料確保のための西国進出は、見送ることとする。」


魔王がそう言うと、フルーレティーは、頭を押さえて椅子に深く腰掛ける。


ベーゼルの側近の、バッタ顔の魔人は、壁際でピクピクしているが、誰も助け起こそうとしない。


その後も、いくつかの議題が上がったが、そのすべてをフルーレティーが解決、または改善の提案を行って、話が進んでいく。


実質、この東国を支配しているのは、フルーレティーなのではないだろうか。






「では、最後に俺から。フルーレティー、道中勇者と出会ったと言っていたな。その実力は、どれほどだ?」


「はい。魔王様からすると、赤子も同然。直接出るまでもありません。」


「なるほど、これから強くなるのだろう?楽しみだ。」


魔王は、勇者と戦うのが楽しみなのか少しにやけている。


「魔王様。くれぐれも約束を忘れられぬように・・・。」


「あぁ。覚えているとも。それで、お前は、戦闘が苦手だがどうやって勝ったのだ?」


「はい。後ろにいる側近が蹴散らしました。新たな側近を紹介します。名はアスタロート。今後、私の側近として、次期知将としてそばに置く所存です。」


え!?


次期知将は聞いていない。


「ほうほうほう。それは、頼もしいな。して、アスタロートとやらは、どれほどの強さなのだね。」


「私では、測りかねます。」


「ガハハハハ。ならば、直接見てみよう。おい、あれを準備しろ。」


「はっ。」


兎耳メイドが、返事をするとすぐさま部屋から出て行った。


「アスタロートとやら、お主の実力を見せてくれ。」


えっ何?


あれって何?


「まずいことに、なるかも知れないわね。」


ぽつりとフルーレティーが呟く。


「えっ何?俺、何をされるんですか?」


「戦闘能力を測る試験をするのよ。」







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