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24. 三日目の朝

朝起きたら、そこは、ソファの上だった。


一日徹夜していたこともあり、ソファの上でぐっすりと寝てしまっていたようだ。


起きて分かったことがあるが、この翼が生えた体では仰向けではなく俯せで寝た方がいい。仰向けに寝ると、羽根が体と敷き布団の間に挟まり寝づらい。俯せで寝ると、羽根に違和感を感じることもなく、さらに羽根が布団の代わりになる。

この羽根が結構気持ちいいのだ。


今は、ソファの上で羽根で体を包み込むようにして寝ている。

この羽根があれば、外でも普通に寝れるかもしれない、と思えるほどだ。


そろそろ、起きようかと思ったとき、部屋の中に人の気配を感じた。


バサッと飛び起きると、そこにはバクの魔人がいた。


「もごもごもご。およおよおよ~。おはよう~。随分急に起きるんだねぇ~。」


バクの魔人は、部屋に備え付けられていた木製の椅子に座ってこちらをのぞき込んでいた。


「いや、何で部屋にいるんですか?」


しかも、なんか食べてるし。

そういえばこいつはバクの魔人で、バクは夢を喰う魔物だったっけ?

夢の内容は思い出せないが、もし、食べられていたのであればあまりいい気はしない。


「いやぁ~ねぇ。朝ごはん食べるか聞いてなかったら。ほらぁ、人間は朝も料理を食べるけど、あなたは亜人さんだからねぇ~。聞こうと思ってきたんだけど・・・。もう寝てしまってたんだよねぇ。それで、帰ろうと思ったんだけど、羽の生えた亜人さんがどんな風に寝てるのか気になったから部屋に入って、ず~っと観察してたんだぁ。その羽、随分暖かそうだねぇ。」


「いや、気になったからって、部屋に入らないでよ。」


「おぉ。そういえば、店主からも部屋に入るなって言われたなぁ。ごめんねぇ。あぁ、それで、朝ご飯どうする~。食べてくの?」


謝り方、軽。

この魔人は、随分おっとりと話をする子で、それにマイペースな子なのだろう。

気になった、職業で遊んで、気になったことはどんどん手を出しているんだろうな。


「いや、ご飯はいいよ。」


寝起きで、食欲がわいていなかったこともあるが、あまりお金を無駄にしたくなかったこともある。


「そっかぁ。食べないのかぁ。食べないんだねぇ。まぁ、亜人さんだもんねぇ。」


目に見えてがっかりするバクの魔物。


「で、あなたは、何食べてるの?」


「あぁ、もちろん夢は食べてないからねぇ。安心してねぇ~。この部屋にあった花だよ。ほぉら、あなたも食べる?」


「食べないよ。てかそれ、絶対食用じゃないと思うよ。」


なんだか、悪いことをしてしまったような気持ちになる。


「そんなことないよぉ。ほぉら、部屋のいろんなところにおいて、つまみ食いできるようになってる。」


「いや、人は花食べないし。観賞用の花だと思うんだけど。」


部屋を見渡して、観賞用の花や観葉植物を見ると、ことごとくすべて花がなくなっていた。


「あぁ。そっかぁ。食用の花じゃないんだぁ。そういえば、人間は花食べないもんねぇ。これぇ、見て楽しむためにあったんだぁ。」


食べるように摘んだのであろう、花を見てから、もとの場所に戻そうとするも、付くはずもなくポロリとまた落ちる。


「もとに戻るはずもないかぁ。また、店長さんに叱られるねぇ。」


大丈夫なのだろうか、このバクさん。

昨日から、出会ってきた魔人全員そおだが、個性が強すぎる。

いや、個性が強いというか、全員小学生みたいな奴らだ。

行動がハチャメチャすぎだろ。


ホテルでゆっくりしても何も進展しない。

とりあえず、西国に行かなければ何も始まらない。


「今からここを出ようと思うのだけれど、本当にタダで良かったの?」


「全然いいよぉ~。気にしないでいいからねぇ~。それで、今日は何をするんのぉ~。」


「今から、ギルドに行って今日の給料をもらいに行くよ。」


「おぉ、そうなんだぁ。お金がないと、花も買えないもんねぇ。じゃぁ、気を付けてねぇ~。」


花を買う必要があるのはお前だよと、心の中でつぶやきながら部屋を出て行くと、バクの魔人は、部屋からニコニコした表情で手を振ってきていた。


そのまま、ホテルを出てギルドへ向かう。

飛ぶのも随分となれたものだ。

移動手段として、飛ぶことを知ってしまうと、もう歩きでの移動には戻れなさそうだ。

目的地まで最短距離でいけるし、景色はいいし、風を感じるのも気持ちがいい。

夜は、町を出歩いている魔人が多かったが、今は、魔人は少なく人の方が多い印象だ。


昨日のギルドに降り立つと、やはり、昨日より人影は少ない。

人がちらほらいるが、魔人や亜人はあまりいないようだ。


ギルドが何時からやっているのか知らないが、少し早いかもしれない。

正確に時間が分かるわけではないが、大体、7時とかだろう。


空を飛び昨日のギルドまでやってくる。

ドアはしまっている。

昨日と全く同じ状況だ。


特に看板もなく、ドア開けてみないと、やっているかどうか分からない。


昨日は、ドアを開けるとクリームケーキが飛んできたんだ。

いつ食べ物が飛んできても避けれる体勢で、ドアを開け、中の様子を見る。


どうやら、リサリンはいないようだ。

部屋の中名は、昨日と変わらず明るい。

まだ、天井からぶら下げられている石が発光しているのだ。


ギルドの中には、数人人がいる。

どうやら、もうギルドは営業開始しているようだ。






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