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204. ドワーフの町へ

シキが、後ろを振り返るとレロンチョとアスタロート2人横に並んで歩いてはいるが、何も喋らず黙ってついてきている。


「ねぇ。ガイモン。2人のことどう思う?」


ガイモンは、前を歩く2人を見てから答える。


「悔しいが、俺達よりも強いだろうな。少し強くなったと思っていたが、世界は広いな。まだまだだと思い知らされたよ。」


「ち・が・う・わ・よ。後ろの2人のことよ。」


シキが先程から何も話さないレロンチョとアスタロートを指さす。


「そういえば、さっきから静かだが、どうしたんだ?」


「なんか。もめてたのよ。たぶん、レロンチョはシーちゃんがあたしたちの仲間になることに反対みたい。」


「あーな。そりゃそうだろうな。シープートさん話してなかったのか。」


「そりゃそうだなって、呑気な。たぶん、シーちゃんの出身ってたぶん、ねぇ。」


「あぁ。まず、シープートさんは東国出身とみて間違いないだろう。」


「うん。それは、私もそう思うけど・・・。」


「なら、レロンチョが反対するのは当たり前だろう。東国からすれば勇者の仲間に入るってことは魔王に反旗を翻すことになるからな。シープートさんの実力から地元ではかなりの実力者だろうし、話がついていないならもめるのもしかたないだろう。」


「どうにかならないの?」


「どうもこうも、シープートさんの問題だからな。あんまりもめるようなら、一度故郷へ帰って話をつけてきたほうがいいかもしれないな。」


「話付けるったって、勇者の仲間になるって言って送り出されるとは思えないけど?」


「まぁ、それはそうなんだが。話をつけてもらわないと困る。少し様子を見守るしかないだろう。」


「そうね。」






「イーバル達は、ベーゼルの複製体についてどこまで知っているんだ?」


集団の先頭を歩くホムラが隣を歩くイーバルに質問する。


「さぁな。俺たちは、あの蠅の魔人がベーゼルと同じ容姿をしていることと、複数体いることしか分からない。一体捕獲したことがあるが、会話もままならなかった。なんであいつらがすでに負傷しているのか、どうして現れたのか、その目的も分からない。町の騎士団は、技領の進行に備えて準備している。お前たちは何か知っているか?技将の領から来たんだろ。何か変わったことはなかったか?」


「そうか。なら、良い情報があるな。ホムラ。」


「あぁ。おそらくだが、進行は考えていないと思う。」


「なぜそう思う?」


ホムラの話に、ザガリスが訝し気に聞き返す。


「技領の魔人たちは、俺たちが出会ったスケリトルドラゴンスライムの討伐に向かったんだ。仲間が封印の祠に向かう集団を目撃している。まず間違いない。」


「仲間とは、誰のことだ?まさか、カメレオンの魔人だけじゃないだろうな?」


「安心してくれ、シーさんとガイモンも確認している。」


「そうか、ならいい。魔人は信用ならんからな。」


今のホムラ達ならレロンチョの話も素直に信じるだろうが、その反応は西国の基準からすると特殊で、魔人の話には懐疑的にはるザガリスの反応が一般的である。


「その話が事実なら、負傷したベーゼルの複製体はそのドラゴン種と戦っていた際にはぐれた個体か何かだろう。問題は、そのドラゴン種をどうしたかだな。」


「ただ倒したのであればいいが、倒せていなかったらドラゴン種の動向を確認しておく必要がある。村に来られたらひとたまりもないからな。調査する必要がある。」


「あの化け物を倒してくれていたら楽なんだけどな。まず、間違いなく生きているだろうな。」


「あぁ。ホムラのいう通り。スケリトルドラゴンスライムを一瞬見たが、それだけでも十分異常な強さが伝わってきた。俺にはあいつを討伐するビジョンが湧かないな。ドラゴン種は生きているだろう。」


「はっはっは。若いな。二人とも。固定概念に縛られちゃいけねぇ。ドラゴン種だって生き物だ。攻撃すれば死にもするさ。」


ホムラとライザーはスケリトルドラゴンスライムを見たためその強さを生物としての格の違いを身に染みて分かっているが、2人には伝わっていないようだ。


「イーバルさん。流石に、ドラゴン種2体相手では、いくら技将の複製体がいようとアリの群れが象に戦いを挑むようなものですよ。」


「センリが、ドラゴンセンリと呼ばれるようになったのは、ドラゴン種を倒したからだ。必ずしも人族がドラゴンを倒せないわけではない。」


ホムラが食い下がるが、ザガリスはベーゼル達がドラゴン種を討伐する可能性を捨てきれずにいる。


「ホムラよ。お前たちの気持ちは分かる。だが、ドラゴン種の死体を確認するまでは、誰にも結果は分からない。少なくとも、誰かが確認しにいかないといけないな。」


「そうだな。ところで、灰の大地にはよく来るのか?こんな、魔道具まであるみたいだし、ベーゼルを発見するくらいには頻繁に出入りしているんだろう?」


不確定な話をこれ以上しても無駄だと感じたホムラは、絶対にドラゴン種は生きていると確信しながらも次の話題に移ることにする。


灰の大地は、食料や鉱石が豊富にとれる大地でもなければ、危険な生物が多くいるわけではない。


だから資源を採取や魔物を討伐のために出入りする必要はないのだ。


誰も出入りしていなければ、灰の大地でベーゼルの複製体と出くわすこともない。


それが、なぜか灰の大地で出くわした。


となると、ホムラが知らない何かがあるはずなのだ。


「そうだよな。不思議に思うよな。実はベーゼルの複製体の早期発見につながったのは爺さんのバカげた習慣なんだ。それが無ければ、灰の大地を抜けた複製体にドワーフの町が襲われて大変なことになっていただろうな。」


「バカげた習慣?」


「あぁ。前勇者の仲間だから町の人は表立って言わないが、変人だと思っているぞ。」


「俺は変人じゃないし、バカげてなどいない。いたって真面目だ。」


イーバルは、バカげた習慣と小ばかにしているが、本人はいたって真面目な習慣のようだ。


「あぁん。十分バカげているだろう。なんせ預言とはいえ、知らない相手を待っているんだからな。ごくまれに人と出会うそうだが、そいつが待ち人かどうか判断が付かない。笑えるだろ。だから爺さんは、魔王討伐から今までの数十年毎日灰の大地で人を待っているんだ。もしかしたら、お前らかもしれないし、もうすでに出会っているかもしれない。」


「予言ってもしかして。」


「あぁ。預言ばぁの預言だ。魔王討伐後に占われたんだ。俺は灰の大地で世界を救うものに出会うらしい。その世界を救うもの容姿は知らないが、俺が出会わないと世界を救うものの存在自体が消えてしまいそうな気がしてな。毎日とは言わないが良く灰の大地を散策しているんだ。」


預言ばぁの預言は有名だ。


たった一つの予言を除いてすべて的中しており、外した予言の内容は有名で“前勇者は、4人の仲間と出会い魔王を倒す”というものだ。


前勇者の仲間は、3人で予言を外しているというのが俗説だが、研究者の中には、過去に前勇者パーティと共に一時期旅をして死別した相手が4目の仲間だとする説もあり、少数だが預言ばぁの預言はすべて当たると主張する者もいるほどだ。


「なら、その相手は俺たちかもな。」


「だな、なんたって勇者だからな。」


「はっはっは、それは、難しいかもしれんぞ。」


以外にもザガリスがその可能性を否定する。


「どうしてだよ。」


「お前たち、封印の祠から持ち出した武器を勝手に使用しただろ?」


ぎろりとザガリスの眼光が光る。







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