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200. vs技将の複製体

「ライザー俺たちは、シーさんの補助だ。ヒットアンドアウェイで交互に攻撃を仕掛ける。俺の後に続け、早々に戦線離脱するんじゃないぞ。」


「分かってる。」


ホムラはベーゼルの損傷が激しい右側から攻撃するために、大きく膨らんでベーゼルとの距離をちぢめていく。


ガイザーはホムラの後ろに続いて走る。


ホムラが攻撃しベーゼルから離れた直後にライザーが攻撃する二段構えの攻撃だ。


今のホムラとベーゼルにはシキの強化魔法がかかっているとはいえ、自身の魔法は一切使えない状況だ。


まともにベーゼルと立ち合えば一分と持たないだろう。


俺が、ベーゼルを引き付けて二人を気遣いながら戦わないといけないな。


俺のオーラ武装は、腕のみ冷気による効果は先ほどの4分の1も期待できないだろう。


シキの強化魔法で身体能力は底上げされているが、全身をオーラ武装で纏った時に届くかというほど、アスタロート単体で考えたら先程よりも弱い。


だが、ベーゼルも左の手足が2本残っているだけで、先ほどの4本あるベーゼルより弱いはず、この3人が協力すれば足止めなら何とかなるかもしれない。


時間を稼げば、シキ、ガイモン、レロンチョがありったけのオーラを抱えて帰ってきてくれるはずだ。


ベーゼルが、逃げる3人を追おうとするしぐさを見せるがアスタロートがその進路を防ぐ。


「お前の相手は、俺達だぜ。」


進路を塞がれたベーゼルは3人の後を追うことからアスタロートへの攻撃にシフトした。


「シュー――。」


残っている左の手足を2本同時に振りかざした単調な攻撃を簡単に避ける。


大ぶりの攻撃の後には隙が生まれる。


「うらぁっ!だぁっ!」


ボクシングのワンツーの要領でベーゼルのボディと顔面に強烈なパンチをお見舞いする。


舐められたもんだな。


さっきのベーゼルの動きはもっと良かった。


冷気で動きを鈍らせなければとてもまともに戦えなかったが、今の攻撃はそれほどじゃなかった。


舐めてかかっていないとしたら、こいつは純粋に怪我で体力を消耗しているんだろう。


どちらにしても、こっちには余裕がない。


アスタロートの攻撃が入ったベーゼルはその場に踏みとどまり体勢こそ崩していないが、追撃を恐れ防御態勢に入っている。


「ホムラ、ライザーたたみかけろ!こいつに反撃の隙を与えるな。」


翼や腕で防ぐベーゼルにアスタロートは防御の上から強引に殴りつける。


アスタロートの攻撃の防御に集中しているベーゼルの右からホムラ、ライザーが攻撃を仕掛ける。


カン。


カン。


ホムラ、ライザーがベーゼルの胴体に剣と槍を振るうが、乾いた音が響く。


「クソ。オーラ武装が硬すぎる。ホムラ、俺達じゃ。」


シキの強化魔法を受けているとはいえ、自身のオーラで強化されていない自身の肉体だけの攻撃では、オーラ武装をしたベーゼルにダメージが入らないのだ。


「構うな。関節を狙え。奴の注意を引け。シーさんの負担を和らげろ。」


ダメージが入らなくても、迫りくる刃に反応しない生物はいない。


アスタロートは、防御に徹したベーゼルに反撃の隙を与えないように、ラッシュをかけている。


一撃。


二撃。


三撃。


ベーゼルの体勢を崩しより優位に立つために拳を叩きつけるが、一向に体制が崩れる気配がない。


流石技将と言うべきか、そもそもこいつが本当に技将なのかすら、みんなには分からないが、実力だけは間違いなくある。


この攻撃のラッシュを防ぎきられたら、次また優位に立つのは難しい。


四撃。


五撃。


六撃。


アスタロートのラッシュに合わせて、ホムラ、ライザーの攻撃も繰り返される。


彼らの反撃もあって、ベーゼルは腕と翼で身体を守ることだけに徹している。


反撃に転じきれないベーゼルを見て完全に優位に立っていると思っている3人。


ベーゼルに“拳”で反撃する機会を与えていないこの状況を良しとしていた、その認識が間違っていた。


灰の大地でオーラに限りがあるから、さっきのベーゼルが拳メインで魔法攻撃を使わなかったから。


その偏見が、3人に魔法攻撃に対する警戒を薄れさせていた。


「おらぁ。」


アスタロートがベーゼルの体勢を崩すために放ったその時、形勢が覆された。


「シャァァァ!!!」


ベーゼルの咆哮と共に衝撃波に風の刃を乗せた攻撃は、オーラ武装をしていない、魔法攻撃を予期していない3人に直撃する。


全身を刃物で切り付けられ吹き飛ばされ、3人は吹き飛ばされる。


最も多く攻撃を受けたのはアスタロートだったが、亜人であるアスタロートは2人と比べて身体が丈夫ですぐに動くことが出来た。


はぁ、はぁ。


しまった。


攻撃を受けてしまった。


ホムラとライザーも負傷している。


まだ、3人とも戦えるがこれからの戦闘はより過酷なものになる。


脇腹から流れる血が白いモコモッコ羊の綿を赤く染める。


出血個所に手を当てて止血をしたいがベーゼルは待ってくれない。


最初に立ち上がったアスタロートに向けて肉薄してくる。


「シャァァァ!!」


初撃はうまくかわすが、続く攻撃をよけきれず腕で受ける。


「クッツ。」


傷ついた攻撃では、攻撃を受け止めきれないと瞬時に判断したアスタロートは、ベーゼルの力に逆らわず吹き飛ばされることを選択する。


ズサァァァァ。


「シーさん!避けろ。ライザー。」


吹き飛ばされたアスタロートがベーゼルの追撃に気づいたのは、ホムラの声を聞いた直後だった。


目前に迫る空間を切り裂く風の刃が大地を切り裂きながら迫ってくる。


しまった。避けれ・・・。


ドン!


横から誰かに突き飛ばされる。


ライザーだ。


突き飛ばされることで、アスタロートとライザーの間をベーゼルの攻撃が通り過ぎる。


「ありがとう。助かった。」


「気にするな。俺たちは何度も助けられている。まだ、いけるか?」


「あぁ。もちろん。」







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