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159. vsマートル

ブシュゥゥゥ。


遠距離からマグマを飛ばし牽制する。


何度かの攻防を重ねて、マートルはアスタロートのこと魔法属性を冷気かそれに準ずるものだと見ている。


遠距離からマグマを飛ばして様子を見るもアスタロートは冷気の衝撃波を飛ばして相殺するだけだ。


化け物め。


いや。モコモッコ羊だから化け物ではないか。


この、くそったれに強い家畜め。


冗談じゃない。


家畜は家畜らしく草でも食べていれば良いものを。


オーラ量だけで強さを判断するなら、このモコモッコ羊はほとんどの亜人や魔人を超越している。


オーラ量が多いとは思っていたが、俺のマグマを冷気だけで冷まされるとは思わなかった。


まさに、力業だ。


マグマは、冷たい冷気を当てられただけで冷え切るものではない。


避けるだけならわざわざ冷気で冷やしきる必要もない。


ふざけやがって。


同じオーラを込めた冷気と熱気だと相殺するが、冷気とマグマではマグマの熱は冷え切ることはない。


だが、先ほど放ったマグマだまりは完全に冷まされて溶岩になっている。


それだけ、一撃に込めたオーラ量が違うのだ。


馬鹿げている。


いったいどれだけオーラを無駄遣いしているんだ。


こいつほどの実力があれば、わざわざ冷気でマグマを消さなくてもただ単純に魔法を避ければ良い。


その方が簡単だ。


何を考えている。


所詮は家畜と言うことか?


それとも、オーラ量の差を見せつけているのか?


だが、そんなことはどうでも良い。


油断しているなら油断すれば良い。


その分だけ俺の勝機が増すだけだ。


実力が近い者同士の1対1の戦いは、オーラの管理が重要になる。


オーラを枯渇させると敗北すると言われるほどだ。


普通ふんだんにオーラを消費しての戦闘は、短期決戦を視野に入れた戦い方だ。


だが、今回は違う。


強力な魔法で攻撃してくるのではなく、ただ単純に魔法を打ち消すことに使用している。


まったく、信じられないし、信じたくもない。


オーラ量だけならこのモコモッコ羊は、技将のベーゼル様に近いものを感じる。


今対等に戦えているのは、こいつの技術力のなさと使用している魔法属性の相性、後は戦闘経験だ。


何度か攻撃を受け止めて分かったが、こいつ戦闘経験はほとんど無い。


動きに無駄が多い。


今、この戦闘経験が、技術が磨かれていないうちにこいつを仕留めなければいけない。


このオーラ量を纏える奴がこのまま強くなればどうなるか考えると恐ろしい。


間違いなく3将レベルに食い込む強さだ。


この機会を逃すと次はもう二度とこいつに勝つ機会はないだろう。


認めたくないが、それ程こいつは強くなる素質がある。


「マグマ連弾」


マグマの魔力弾を3つ飛ばすが、大量の冷気でアスタロートに到達する前にかき消される。


だが、それでいい。


相手のオーラが多いのであれば、自分より多くのオーラを消費させれば良い。


それを続ければ、きっと隙が生じる。


そろそろ、良い感じにオーラ量を減ってきた。


マグマが急激に冷やされ蒸気が立ちこめる。


その視界が悪くなった瞬間にマグマ弾をもう一つ撃つ。


当然、アスタロートに冷気の暴力でかき消されるが、それでいい。


その隙に十分接近したマートルは、アスタロートの背後から攻撃を仕掛ける。


「マグマの鉤爪」


毛刈りの時間だ。


このクソ羊が。






「うわ。」


マートルから飛ばされてきた魔法を大量の冷気で消滅させている間に、相手を見失ったアスタロートは辛うじて攻撃を避ける。


あぶねぇ。


マジで危ねぇ。


かっこ良く出て来るところまでは良かったが、このマートルとか言う魔人、思っていた以上に戦いづらい。


ってか、熱すぎる。


マグマの攻撃もオーラ自体はそれ程込められた魔法ではないが、冷気だけでは防ぎき用と思うと大量のオーラを消費する。


間一髪でマートルのマグマで強化された鉤爪の攻撃を避けるが、一部引っかかったのか体に巻き付けている毛が黒くちぢれている。


戦っていて分かったが、マートルに接近されると体感温度が極端に上昇する。


今の背後からの攻撃も背中の体感温度が急激に上がったから避けられたようなものだ。


いかに視界が悪くてもここにいると教えてくれているようなものだ。


マートルが更に踏み込んで追撃してくるが、それから逃れるようにバックステップで距離を取る。


今の接近でオーラ武装から水が大量に滴り落ちる。


クソ。


オーラを無駄に消費しすぎてしまった。


アスタロートは心の中で悪態をつきながら、渋々オーラ武装を纏い直す。


熱から逃れるためにマートルから距離を取ろうとするが、すぐに後を追い追撃してくる。


逃れられない。


マートルの攻撃は非常にやっかいだ。


アスタロートは氷属性のため冷気耐性は極端に高いが、熱気耐性はあまりない。


マートルの攻撃は辺りさえしなければ問題無いと高をくくっていたが、実際には違った。


マートルの攻撃が怖くてオーラ武装を維持しているわけではない。


このままでは、このままでは、モコモッコ羊の毛が焼けて無くなってしまう。


アスタロートは、マートルの熱でモコモッコ羊の毛が燃えて無くなるのが怖いのだ。


それを防ぐために、毛がチリチリになってその下にあるカラスの翼が見え、勇者パーティーにアスタロートであることがバレてしまわないために、アスタロートはオーラ武装を維持し続けるのであった。


これ以上の長時間の接近は危険だと判断したアスタロートは残りのオーラすべてを魔法にしてマートルにぶつけ距離を取ることにした。


「吹き飛べぇぇぇ!!」


両手を前に突きだして







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