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第6話 この世界は案外ファンタジー

 俺は野橋の親父に会うために野橋の案内でとある場所に来ていた。

 

「……あの男達が逆らえないって言った意味がよく分かるな」


 俺は目の前の馬鹿でかい高層ビルを見上げながら声を漏らす。


 コイツの家ってこんなに大きかったのかよ。

 だからあんなに学校で好き勝手しても教師には注意されないし生徒からも人気だったのか。

 要は金か。


 異世界に居た時の俺は莫大な財産を持っていたが、そんな物はこの世界では無用の長物である。

 世界違うから通貨も違うし、換金も出来ない……そもそも今手元にないし。


「ど、どうだ闇夜……! これで俺の凄さが分かったか!? 分かったらさっさと離して土下座でも———ペキャッ!?」

「五月蝿い。いつ俺がお前に話して良いと言った? お前は案内するだけで良い。余計な口は開くな。べろを引っこ抜くぞ」


 俺がそう言うと、一瞬にして借りてきた猫の様に静かになる野橋。

 この程度でダンマリするとは情けない。

 まぁこの世界は安全だししょうがないとは思うが、敵なのでどうでも良いが。


「早く案内しろ」

「わ、分かったから……おい、響也だ。親父に用事がある。会わせたい奴が居るんだ」


 野橋が高層ビルのインターホンでそう言うと、向こうから慌てた様な声が聞こえた。


『響也様!? し、少々お待ち下さい! 直ぐに社長に連絡してみます!』

「出来る限り早くしろよ!!」

『は、はいっ!!』


 哀れな……偶々インターホンに出たら社長の子息で、社長が仕事中なのに直ぐに呼び出せとか。

 流石に関係ない人を巻き込むのは……聞いた感じ女だったし、今度良い店のスイーツでも買って渡してあげようかな?


 俺が多少罪悪感を感じていると、再び女の人の声が聞こえる。


『げ、現在お取り込み中らしく……』

「こっちの方が大切だ! 俺の命が掛かってるんだぞ!?」

『命!?』

「あ、いや、家の会社の命運を左右すると言う意味だ!」


 野橋が命が掛かっているとかふざけた事を抜かすので、軽く睨むと、直ぐに言い訳をし出した。

 

 危ねぇ……命の危機とか普通に警察呼ばれるだろうが。

 住所バレたら姫花いるし確定逃げられない。

 それに恐喝とかで捕まったらどうすんだよ。


 俺が内心ヒヤヒヤしながら待っていると、ビルの中から1人の女性が出て来た。

 見た感じ20代で、まだ新入社員だと思われる。

 美人なのになんか少しおどおどしてるし、目も泳ぎっぱなしだし。


「あ、あのっ、響也様! 野橋社長が時間を取ってくださる様ですっ! それで……お会いになる方は其方の方ですか……?」


 女性が俺の方に目を向ける。

 うん、罪悪感で気まずいし軽く頭だけ下げておこう。

 

 俺が女性に軽く頭を下げていると、野橋が代わりに言う。


「そうだ。だからさっさと連れて行け!」

「は、はいっ!」


 慌ただしい女性に連れられて俺は高層ビルに入った。





▽▲▽





「そ、それでは私は此処までですので!」


 そう言って幸薄そうな女性は逃げる様に姿を消した。

 今度会ったら絶対に何かしよう。


 俺はそう心に決め、目の前の社長室と書かれた扉を無造作に開ける。

 別に俺が下手に出る必要はない……と言うか俺が上だと言うのを思い知らせてやらないといけないからな。


 中には1人の男が居た。

 顔は野橋に似ているが、息子と違ってきっちりとした硬派な感じだ。

 正直何故こんな父からあの馬鹿が生まれたのか分からない。


「……貴様が鈴木闇夜という輩か?」

「ああ。今回はこの男が色々とやらかしたから俺が連れて来させた」

「お、親父! コイツを退学にしてくれ!! 身の程を知らずにオレに恥をかかせたんだ!」

「———少し黙ってろ響也」


 野橋が野橋父に泣き付くが、野橋父は奴に目もくれず、俺を見ていた。

 そして俺も野橋父に視線を固定させている。

 

 ……コイツ、魔力を使えるな。


 そう、奴———野橋父は体にまあまあの魔力を宿し纏っていた。

 魔法使いは基本的に体の周りに魔力を纏っていつでも魔法が使える様にしている。

 野橋はただの一般人だが。


「……響也、お前は少し部屋を出ていろ」

「ど、どうし———」

「さっさと出て行けこの馬鹿者がッッ!! これ以上言うならお前との縁を切る!!」


 野橋父が怒鳴ると、響也は何も言う事が出来なくなり、顔を青くしてすごすごと下がっていった。

 邪魔者が居なくなり、2人———いや4人となった。


「ガッ!?」

「な、何故っバレて———!?」


 俺は警戒心剥き出しの野橋父の方に一歩進む———と同時に部屋に居た2人の魔力持ちを即刻気絶させて、野橋父の前に縛って置く。


「さて、これでやっと2人だな?」

「……お前———いや貴方は何者ですか?」


 どうやら俺の実力を何となく感じ取ったらしく、敬語に変わった。

 

 ふむ……どうやって答えようか。

 流石に異世界帰りの暗殺者とは言えんし。

 まぁ適当に魔法使いとでも名乗っておくか。


「俺の名前は鈴木闇夜。一応魔法使いだ」


 俺がそう言うとほど同時に野橋父が大声で叫ぶ。


「———鈴木闇夜だと!? あの『災厄の魔女』の兄か!?」


 …………?


「災厄の魔女……?」


 え、姫花って魔女だったの?


 俺は驚きの余り空いた口が塞がらなくなった。


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