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第5話 人間程度、何人居ようが敵じゃない

 現在教室は異様な雰囲気に包まれていた。

 原因は勿論この俺だ。

 更に言えば、俺がクラスカーストトップで喧嘩の強い野橋のパンチをあっさりと止めたせいである。


「お、お前……サンドバッグのくせに俺のパンチを止めるんじゃねぇ!!」

「なら止めないよ」


 俺は野橋の連打を止めずに全て避ける(・・・・・)

 うたた寝してしまいそうな程に攻撃が遅いので、マジで目を閉じて両手両足縛っていても避けれそうだ。

 こんなの異世界の8歳児の平均速度くらいだぞ。


 俺は改めてこの世界の人間がどれだけ弱いかを理解した。

 同時に自分がどれ位の力を出せば大丈夫かも。

 これでもうコイツを相手にする意味もないな。


 俺は最後に皆が視認出来ないほどの速度で野橋の後ろに回ると、耳元でボソッと囁く。


「———もうやめたらどうだ? お前じゃ俺に絶対に勝てない。次、俺と妹に何かしたらただじゃおかないからな?」


 俺はそれだけ言うと、野橋も他の生徒の視線も無視して自分の席に座った。


 ずっと野橋が俺に敵意の視線を向けているのに気付きながら。


「……放課後は姫花とは別に帰るか」


 絶対に後で面倒な事が起こると思うし、それに姫花を巻き込みたくはないからな。






▽▲▽






 朝の一件からは特に何事もなく、平和な時間が続いていた。


 野橋も相変わらずずっと敵意を向けているが、今は何もしそうにない。

 クラスメイトの視線もウザいがこれは無視すればいいだけだ。

 暗殺者であった俺は異世界でもよく忌諱の視線を浴びていたから、こう言うのは得意である。

 

 しかし授業は必死に頑張ってついていくのがやっとだった。

 幾ら知力が高かろうと、基礎が出来ていなければ話にならない。 

 やはり毎日1教科の教科書を全部覚えなければいけなそうだ。

 記憶力には自信があるので問題ない。


 さて、遂に波乱のありそうな放課後がやってきた。


 俺は誰とも話す人がいないので帰路に直行。

 俺の予想ではそろそろ野橋が絡んで来ると踏んであるのだが……


「———おい闇夜! お前ちょっと面貸せや」


 ビンゴ!

 やはり絡んできたか、プライドの塊め。


「……分かった」


 もう断るのも面倒なので素直に後をついていく。

 

 俺が連れて行かれたのは、まぁテンプレもテンプレの校舎裏。

 此処は後ろが森で人が滅多に通らない事もあり、正に誰かに知られたくない事をするには丁度いい場所だ。

 此処なら暗殺もし易そうだな……。


 俺は異世界での癖でついこう言った人気の無い所に行くと、暗殺の事を考えてしまう。

 3年間でだいぶ犯されたもんだな俺も。

 まぁ今はそんな事どうでも良いとして———


「———で、俺を此処に呼んで何する気だ? それに沢山人呼んで。皆この学校の人達じゃないでしょ? 明らかに体付きが違うし」


 俺は野橋の後ろに控えている10人ほどのムキムキな大学生位の男達に話しかける。

 しかし答えたのは野橋だった。


「そんなのお前をボコボコにする為に決まってんだろ! お前は1度ちゃんと立場を分からせてやらないといけないまたいだからなぁ!! やれ、お前ら!」

「はぁ……野橋の坊ちゃん、次からは1人でやってくれよ? 俺らも暇じゃないんだ……すまんな君。アイツには逆らえなくてよ」


 そう言うものの、楽しそうに笑みを浮かべる男達。

 ああ、コイツらも満更じゃないんだろうなぁ……リンチするのを。

 まぁ無駄に良い奴相手だと逆にやりにくかったから良かったけど。


 じゃあ———


「やるか」


 俺は男達の中に飛び込む。

 相手が多い時は先手必勝!


「チッ、速いな———死ねッッ!!」


 俺は1番前に居た、タンクトップ姿の坊主頭のパンチを避けて懐に入ると、アッパーで相手の顎を掠めて脳震盪を起こさせる。

 崩れ落ちる男を無視して次のターゲットへと接近。


「馬鹿だなお前ッ! ボクシング経験者の俺に接近するなんてなッッ!!」

「ボクシングをやっていようがいまいが俺には関係ない。全て等しく雑魚だからな」


 俺はボクシング経験者を名乗る男の鳩尾に軽めのパンチを入れて動きを封じ、そのままド◯ゴンボ◯ルの首トンで気絶させる。


 首トンって意外と技術がいるんだよな。

 正直気絶させるなら首締めが1番速い。

 でもこっちの方が強そうだから———謂わば魅せプである。


 しかしその効果は絶大で、その後も3人くらい同じ様に首トンで気絶させていれば、男達が怯んで一歩後ろに下がり出した。


「な、何だよコイツ……ホントに高校生か……? 健なんてボクシングの大会で優勝した事もあるのに……」


 うーむ、何てテンプレ。

 此処まで来ると逆に楽しくなってくるな。

 と言うかあの自称ボクシング経験者は意外と凄い奴だったんだな。

 全く違いが分からなかったぜ。


「まぁいい。さて……次は誰がやる?」

「「「「「ひっ———!?」」」」」


 俺がそう言うと、大学生位の男達は気絶した仲間を連れ全員悲鳴を上げて逃げ出していった。

 残ったのは野橋のみ。


「野橋……」

「お、お前……どう言う事だ!? 何故そんなに強い!? お前は俺のサンドバッグだろ!?」

「違う。誰もお前のサンドバッグではない。そんなに人を殴りたいならボクシングでも本気で始めるんだな。そしたら同じくらいの実力の相手が沢山見つかるし、不良と思われる事も無くなる」

「や、闇夜のくせに……俺に指図するなッ! もし俺に何かしたら俺の親父が必ずお前の家族諸共地獄に落とすからなッッ!!」


 ……コイツ家族を巻き込むのか?

 自分から仕掛けておいて? 

 其方がそう来るなら俺もそれ相応の対応をさせてもらうぞ。


「よし、なら今から俺をお前の親父の所に連れて行け」

「は?」


 根本から引き抜かないと雑草は消えないからな。

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