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その34


「うっわ…… エグッ」

「流石に引くわこれ」

「げッ…… バカじゃないのあんた?」




俺の動画を観たあかり達3人はドン引きしている。 




「え? 何映ってんの?」




他の奴らも興味津々になって俺の方に来ようとするが……




「ちょ、ちょっと待ったぁ〜ッ!!」




慌てて弥生レイカはみんなを遮った。 そりゃそうだろう、噂や聞いた話が白日の下に晒されるのだから。




「ん? あんたはなんでこんなの持ってるの?」




広瀬の疑問もご尤も。 俺も見つけた時には「おいおい、田沼何やってんだ?」と呆れてしまった。 




不審者扱いされてたのは田沼が如何にもやりそうな奴だったからだと思っていたが本当にやっていたとは俺も少し驚いた。




こいつは学校に数ヶ所隠しカメラを仕掛けていたんだからな、何の用途に使うか想像も付かないがやっぱとんでもない奴だな、回収しようか悩んだが何かの役に立つかもしれないと俺もそのままにしてたんだ。 




流石に女子トイレとかヤバすぎる場所は三馬鹿から逃げるついでの時に早々回収させて貰ったがこいつのいじめはそこでも映っていた。




「…… こいつが最近ウザいから仕掛けさせてもらった」





「あ…… なるほど」と広瀬は割とあっさり納得して柳原は「こいつならやりそう……」と呆れ顔で納得した。 




「違うでしょ! これって隠し撮りよ?! あんたなんてことやってんのよ!!」




弥生レイカは話を俺の隠し撮りに持っていこうとするがそうは行くか。




「なあ、そんなことよりこの動画はもっとヤバいんじゃないか? もし拡散したらお前どうなると思う?」

「ぐッ……」




周りも俺がいじめ動画を録画して弥生レイカにつきつけたとわかってきたようで……




「終わりじゃんレイカ」「こんなことしてたらいつかヘマすると思ってたけどやっぱり」などの声が聴こえてきた。




「そ、それ…… 拡散したりしないよね? あ、あんただってそこまで酷いことしないよね? なんでも言うこと聞くから」

「これは炎上するだろうな少なくとも」

「あ、あ…… 他の子はどうなってもいいから私だけは許して」




ひっそりと弥生レイカは自分勝手なことを懇願してきた。 その自分だけ助かろうなんて潔い物言いにはクズな俺は感心する。 俺も広瀬や五木なんてどうでもいいはずだ、少し似ているところはあるかもしれない。 そうだ、これは自分のためであってお前らのためじゃない。




「もうこいつらに手を出すな、俺の周りでつまらないこともするな」

「は、はひッ……」

「破ったら動画拡散は勿論だが…… 女でもぶちのめすからな」




…… はずなのに俺の口は何を言ってるんだ。




最近では朝の恒例になりつつあった吊し上げは

終了しあれだけいじめに参加してた奴らも「あかりごめん」や「本当はやりたくなかったんだ」などの軽薄な謝罪であっさりと終わる。




そういえば五木の時もそうだったなと。 人間不信に陥りそうなもんだが広瀬に関しては友達と思ってる奴から裏切られたわけじゃないしな。




「ん?」




何か言いたげに広瀬が俺を見ていた。




「結局助けられたなぁ」

「は? 言ったろ、周りがうるさすぎて不快なだけだって」

「うん、そうだね」




何か含みがあるような広瀬のニヤニヤ顔にムカついた。




「それとゆいにもお礼言わなきゃ」

「あ、そう」

「てかあんた隠しカメラ仕込んどいたって…… どこに仕込んでたの? ヤバすぎじゃん田沼ド変態じゃん、まだ隠してるんじゃない?」

「あたしもビックリしたけど田沼のお陰じゃん」

「あかりはまったく…… 絶対もう隠し撮りとかやめてよね、今回のことなかったらあんたはマジもんの変態なんだから!」





柳原がそう言うがヤバいのは田沼だ。 カメラはもう撤去してあるし弥生レイカが悪目立ちしてくれたお陰で問題にならずに済んだ。




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