表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/48

その30


次の日学校に行って教室に入ると俺を見てクラスの連中はヒソヒソと陰口を言っていた。 




「あ、怪我してる。 ホントに加藤と喧嘩したんだ」

「なんか鍛えてるっぽいけど結局暴力振るう為に鍛えてんじゃない?」

「ああ〜ありえる、陰キャが考えそうなもんだ」




最近は少し減ったと思ったらまたこれか。 ま、別に何とも思わないけど露骨だな。




「おはよ田沼ッ!」

「この疫病神! あんたのせいで言い訳大変だったんだからね田沼!」

「え、なんのことだ?」

「こッ、このクソカス、昨日のこと忘れたとは言わせないわよ」

「ふん、冗談だよ柳原。 助かったよ」

「ほらほら、田沼もお礼言ってるしこれで丸く収まったね」

「言うほど礼を感じないんだけど?」




こいつらはいつも通りだな。




「にしても加藤も今日は休みでゆいも一緒に休んで西澤も休みなんて本当に仲良いわねあいつら」




そうか、加藤も五木も休みか。 面倒にならなくて済みそうだ。 この時はそう思っていた。




「ん?」




机の中におかしな感触があったのでそれを取り出してみると……




「あ、あんたそれ…」




柳原が驚いて広瀬も「どれどれ」と覗き見ると目を丸くさせていた。




「えッ?! な、なに? 田沼が女物のパンツ持ってる!!」

「マジで?! キモーッ!」




どこのどいつだか知らんがこういう形で来たか。




「ちょっとちょっと、田沼がそんなことするわけないじゃん! そんな度胸田沼にないって」




すかさず広瀬が俺を庇いだてするが……




「でも…… 田沼ってそれだけじゃなくて西澤の友達のゆいにもセクハラしてそれがキッカケで休ませたって」




それを聞いた広瀬は俺に近付いて「そうなの?」と確認する。




「キッカケは俺かもしれないけどデタラメだ」

「だよね、でもまぁ一応確認」




にしてもこういうせこい手で追い詰めようなんてな。 まー田沼ならやりそうって思われるんだろうがいくら田沼でも盗んだパンツをそのまま机に置きっぱとかありえないだろ。




「やっぱり田沼はやってない!」

「やってないって言われてもねぇ…… あかりって前から田沼のこと贔屓してんじゃん。 聞いたよ、あかりが田沼に色目使ってるって」

「は?」

「あー、それね。 他にもそういうの居るんじゃないかってさ、ほらこの前のなんとか先輩とかも」

「ちょ、ちょっと! あかりがそんなことするわけないでしょ?!」




なんだこれは? 基本的に広瀬はクラスカースト的に上位に居て広瀬の性格上みんなから好かれていたのにまるで手のひらを返したようなこの反応。




広瀬の味方してるのは柳原含め他片手にも満たない、思ったより友達と呼べるような人は居ないって前にあいつが言ってたな。 なるほどな、こんなデマに踊らされてるような奴らじゃ確かに友達なんて呼べないな。




「ねえ、ところでそれって誰のパンツなの? 学校中に訊いてみて回ってみる〜?」

「そういうことやめなって、田沼が犯人って決まったわけじゃないのに」

「田沼の机の中から出て来たのに田沼じゃないわけないじゃん」




こうなると好感度高い広瀬も形無しだな。 俺を貶めるついでに広瀬も貶めたいみたいだな。 




男子は俺の時は女子に肩入れするように罵るが広瀬の時は控えめだ、広瀬がこのクラスでも容姿が良いしどちらかと言えば男子陣営はこういう窮地の時に広瀬に良い印象を与えておきたいまでも考えると…… 犯人は女子かもな。




「おい田沼ッ! あかりが庇ってんのにあんたはムッツリ黙りこきやがって。 もとあと言えばあんたに原因があるんだからね!!」

「いや、それは広瀬にも気に食わない点があるからだろうが」

「田沼!」

「広瀬だって完璧人間じゃないし広瀬がどっからかやっかみ受けるくらい普通にありえることだろ、容姿とコミュ力が備わってたら尚のこと気に食わない奴はいるはずだ」

「あんたがコミュ力語り出すとは……」

「もし相手が慎重だったら長期戦になるだろうな、そんでもってその長期の間に広瀬の株はどんどん下降していって気付いたらいつの間にか俺のところへようこそのパターンだな」

「やめてよそれ! 考えたくもない。 つーかあかり以前にあんたはどうなのよ?」

「田沼の時点でその辺の耐性カンストしてるから」

「何その不名誉な耐性。 もう堕ちてるもんねあんたは」




初日から数日は陰口程度、だがこういうことはどんどんエスカレートしていく。 




「あ、あれ? 教科書ない、ごめん田沼見せてくれる?」

「別にいいけど」




机をくっつけると周りからまたヒソヒソと「あー、なんかお似合いって感じだよねあの2人」「田沼しか頼る人居ないなんて人望ないよねあかりって」「この前のパンツってもしかしてあかりのだったりして? 隣だからありえる」など聴こえてくる。




広瀬も聴こえてないわけない。




「ん? どうかした? あたしはなんともないから」




いつものようにニッコリと笑う広瀬だがこいつのメンタルがいつまで続くかな。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ