表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/48

その10


あたしは田沼誠司の隣の席の広瀬あかり、最初の田沼の印象は「うわぁ…」だった。




隣だし試しに話し掛けてみたものの「俺なんかに話し掛けるなんて誰の差し金?」と言われた。 




誰に言われるまでもなくあたしが話し掛けようと思ったんだけど? そう思ったけど彼のこの反応は拒絶だってのがすぐわかった、話し掛けるなと。




ビクッとして周りをキョロキョロと見ていた。 きっとあたしに話し掛けられると何か不都合があるんだろうなぁと、まぁそれならそれでいいや。 1番話し掛けやすい右隣に居るのにつれないなぁとは思ったけど。




いない者として扱っていたけど隣だからイヤでも視界に入る、どうやら彼はいじめられてるのか結構生傷が絶えなかった。




まぁこれだもんね、ターゲットになるんだろうなぁと。




そしてたまたまテストの点数も目に入った時田沼の悲惨な点数に思わず「おぉッ…」と驚いた顔をしてしまうと目が合った、ジロリと睨まれる。



いけないいけない、変に思われたかな? 別に田沼に何思われてもどうってことないけどさ。



それからしばらくしてある日のこと、田沼がチラッと視界に入ると少し変だった。 何故か心なしかソワソワしているような気がしたけど何考えてるかよくわかんかんないとこあるからスルー。 




けど授業中先生から指名されてスラスラと問題を解いっていった彼を見てそんな頭良くないでしょ!! と疑問に思ったついでに気分でまた田沼に話し掛けてみた、そしたら意外と喋れた。




所々痛々しい設定をしてるんだなぁと思ったけど田沼だしね、でもちょっと面白かった。 田沼ってこういう奴だったんだと一度強く拒絶されてたような気がしたかかだんだんと最初の印象と変わっていく田沼を観察して話していくのが日課になっていった。




またある日、田沼が部活中に体育館に顔を出しているのに気付いた。 田沼が他の部を見てなんだか羨ましそうな顔をしていたのが印象に残ってまた話し掛けていた。




百合も来たので思い付いた、田沼を友達認定したらどうなるだろと思ったけどやんわり否定された、別にそう言うだろうと思ってたからなんともないけど。




あたしの絡みがウザかったのか田沼は体育館から出て行った。




田沼が出て行ってからすぐにあたしも体育館から出て行った、自販機でジュース買うついでに田沼の跡をつけて行って脅かしてあげようかなと考えていた時田沼の歩みが止まってバレたかと思ってあたしも立ち止まるけどそうじゃなかったみたい。




西澤といつも西澤と一緒に居るゆいが話しているのを田沼が見ていた。 なんとなく出て行き辛そうなシチュエーションで田沼も止まってるんだとあたしもその光景を見ていた。




最近の西澤って良い噂聞かない、ほんのちょっと前は見た目はかっこいいな、ちょっとタイプとは思ってたけどね。




西澤が去ると意外にもゆいから田沼に話し掛けたんだけどいきなり「クソ田沼」って八つ当たり?




「お前のせいだ」とか言って西澤がおかしくなったのは田沼のせいにするとか田沼もいい迷惑だろうなぁと思っているとビンタまで食らわせられた。 




そこまで田沼に八つ当たりしなくてもと少し同情したからかまた声を掛けてしまう。 






「俺、あかりのことが好きだ」

「先輩…… こ、光栄ですけど、あたし誰かとお付き合いするとか全然考えたことなくて」




男子バスケ部の先輩に告白されていた、そんな風に見ていなかったし困る……




「あかり見てるとわかるよ、だから返事は急がないから」

「あッ!」




即座に断れなかったし困ったのを見て先輩はそう言って部活に戻った。




「えー! 付き合わないの?」

「うーん。 あたし誰かと付き合わなくても困ったことないし寧ろ付き合ってって言われて困るくらいだしそんなんだったらどっちにしろ両方得しないでしょ?」

「うわぁー、せっかくの甘酸っぱい青春なのに冷めてるなぁ。 じゃあ断るの?」

「だね、あたしみたいなのよりちゃんと先輩好きになってくれる人居るよ」




ところが……




「そっか… でも俺諦める気ないから」

「え?」

「だってあかりはまだそういうの自分自身では意識したことないんだろ?」

「まぁ…」

「だったら可能性あるってことだよな?」

「ええッ… 」




本当に困る、先輩は先輩としてしか見てないし。




「カレ居るとかで切り抜けるとかは?」




百合に言われた一言、頭の中に稲妻が走った。 




そうだよ誰か付き合うことなんて考えたこともないけど誰かを気になってるって理由なら納得してもらえるよね? 




勿論こんなことするのはイヤだし嘘つくとか最低だけど切り抜けるにはこれしかない! 田沼ごめん、目の前に居たし聞いてたと思うし話が早いから……




「えへへ、良さそうなの居たかも」




ゆいみたいに美人じゃないけど大丈夫だよね? と思いながらあたしは田沼にそう言っていた。 






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ