勇者、運命への邂逅
「新しく魔王が現れた、そしてその討伐は其方に任せたい」
「了解しました、必ずや魔王を討ち取って見せましょう」
◇
私はレニン、王国から呼ばれた勇者という扱いだ
そもそも魔王の討伐を私一人に任せる時点でおかしい話だが理由は単純、戦争だ、度重なる戦争により戦力を浪費し切ったタイミングで魔王が現れて大変なことになっているのだ
◇
私は魔王のいる魔界の扉があったのだがその扉が余りにも強固で突破出来ず侵入を断念しその扉を開ける方法を探し辺りを放浪している所だった
見ない魔物がいた
シルエットは人に見える、だが極端に肥大化した腕を持っている、明らかに人ではない、さらにはこの森を単独で闊歩できる時点で自身と同じ、かそれ以上の魔物だ…近くに村もあるから倒した方が良い、真っ向から仕掛けては五分か不利、なら
私は魔物の背後に忍び寄る…魔物の姿を捉えると肥大化した腕は以外は普通の人間、しかし全身は紫色に変色している
私は気を伺った…よく観察した…そしてピクリと他の所に注意が向いた!今!
私は魔物の背中に剣を向け飛び掛かる
「!」
間一髪で交わされ魔物は距離を取る
早い…!鈍重そうな腕を持ちながらこの素早さ…間違えなく強敵…!ここは撤退するしか…!
私はすぐさま踵を返して撤退する
「待って危ない!前見て!」
…!しまった…!
私が逃げた方向には壁のように立ちはだかる巨大な熊の魔物…!
「エントロピックスナイプ!」
人の魔物は腕を細長い筒状に変形させる、画面の前の皆がわかる表現をするとスナイパーライフルのような形へと変える
ドムンッ!
重たい発砲音と共に紫色の魔力弾が発射され、それは熊の頭を貫通し木へ着弾した
そして被弾した木はドロドロと紫色に変色し溶けていく…
凄まじい威力に極めて強い有毒性の魔法…やはりまともにやるのは無理…だけど私には敵意が無いし言葉も通じる…なら…
「その…ありがとね…てっきり悪い魔物と思って…」
ここは懐柔を選ぼう
「あぁ、いいの、こういうのは慣れてるので、それにしてもおれの姿を見て逃げないのは珍しいですね…助けても礼すら言わず一目散に逃げられるのに…」
普通に人の言葉も喋れるし知能も人間並みには有りそうね…
「私だって今すぐ逃げてしまいたいわ、だけどあなたは悪い魔物では無いし余りにも強い、だから一つ提案したいの」
「私の仲間にならない?」
この提案はただ戦力が欲しいだけじゃ無い、あの力と極度に高い有毒性のある魔法を放置すれば生態系の破壊に繋がる、さらに人々の討伐対象になれば間違えなく大量の棺桶が必要になるわ…
「その…良いんですか?!俺はアゼルです!」
…取引とか考えてたけど何故か嬉しそう…
「はい!俺は誰かの役に立ちたいと思ってたのですがこの姿のせいで路頭に迷っていたのです…だから是非!」
「分かったわ…私はレニン、その…よろしくね」
「はい!よろしくお願いします!」
…思ったよりも簡単に行ったわ…
登場人物
レニン
勇者
体力A
魔力A
攻撃力A
魔法攻撃力E
物防御C
魔防御C
機動性S
まさかの機動力特化型の勇者様、魔法攻撃力に至ってはアゼル任せると言わんばかりのステータス。
姿は金髪碧眼のセミロングを下ろした髪型、体格は鎧で隠れて分からない、まあなんだかんだで美少女年齢は20前半の設定
将来的には可哀想な役回りにさせようとしているが筆者の気まぐれでいくらでも運命が変わる。