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ユメ見るセカイでキミは微笑む  作者: 桜城カズマ
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第2話「おはよう。今日は早いのね」

「ああ……本当に、『夢であり現実である』なんだな……」


夢から覚めた僕は、ベッドから起き上がり頭に右手をやって思い出す。夢の内容を。

夢から覚めたあと、その夢の内容を一部、一時的に覚えているということはたまにあるが、さっきの記憶は、まるで現実での体験のように頭の中に残り続けるだろうと確信した。

そのことにほんの少しびっくりして怖くなったが、別に悪いことばかりじゃなかったな、と思い直して僕はベッドから降りて、学校へ行く準備を済ませる。

朝食を食べようとリビングへ出ると、すでにお母さんが僕の文の弁当と朝食をテーブルの上に並べているところだった。


「おはよう」

「おはよう。今日は早いのね」


いつもより1時間早い起床に、お母さんは少し驚いてみせる。


「なんか勝手に目が冷めちゃった」


僕は苦笑いしながら返した。


「そう、そういうのって往々にしてあるわよね」

「そうだねー」


ちなみにお父さんはまだ起きてきていない。いつも帰りが遅くなるまで働いていて、今日は久しぶりの休みらしい。しっかり休んでほしいと切に思う。

家を出るまでの時間は結構ある。僕は朝食とは別で、自分でホットミルクを作りながらテレビに目をやる。


『おはようございます。おはようニュース、5時の放送です。今日から10月の始まりですね!』


テレビでは男性のアナウンサーが女性アナウンサーに話題を振り、軽い雑談が始まる。

おはようニュースは、このアットホームな感じがするから僕は好きだ。……まあ、これ以外の朝のニュースなんて見たこと無いんだが。

とにかく、僕は出来上がったホットミルクを飲みながらニュースを見る。


『では、ニュースに入ります。まず、昨日のニュースです。昨日、あの伊藤監督が童話である、『眠れる森の美女』の映画を新たに監修し作成することを発表しました』

『伊藤監督といえば、昨年話題になったオリジナル映画『君の夢を教えて』で有名になった監督ですね。興行収入で歴代トップ10位入りを果たしています』

『いやあ、本当にすごいですよね。伊藤監督といえば、その作品ですがそれ以外にも――』


男性アナの紹介に合わせて女性アナが補足をし、更に男性アナは伊藤監督のファンだったのか、少しばかり熱く語っている。尺とか大丈夫なんだろうか。

そんなこんなで朝食を食べ終える。洗い物を洗い場に置いて水につけてから、僕はお母さんが作ってくれた弁当をかばんの中に詰め込み、家から出る。

気づけばもう時計の針は6時を回っている。まだ急ぐような時間ではないが、今日はせっかく早く起きたので、早めに学校に行くことにする。早くていいに越したことはない。早起きは三文の徳、ともいうし。

玄関で靴を履き、「いってきます」と家を出るときには僕はニュースの内容なんて忘れていた。

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