モラトリアム
僕が長年抱えてきた悩み、痛み、苦しみ、
向き合ってきた憎しみ、悲しみ、妬み、
それらが倫理の教科書に載っていた時から
僕は生きるのを止めたくてしかたありません。
みんな一緒だよ、おんなじだよ、君一人じゃないよ、と半笑いで言われるくらいなら、
まだこの世に一人のほうが良かった。
そのくらいの僕です
木の緑と空の青を並べて穏やかな日差しで包むこと、
美しき青春の声が聞こえる校舎でお弁当を食べること、
そういう国定教科書的生活が意外と悪くないこと、
知ってまたひとつ大人になる。
知らないことばかりだと思う、胸が苦しい、周りに勝たなくてはいけないと思うこと、東大に行くことが正義だと信じること、なれ合わない、苦しい、その苦しみが、教科書に太字で強調されていること。
また誰かのためにご飯を食べている、
誰かのために手を挙げて、誰かのために黒板を消して、誰かのために生きているわけではない、不思議
知ると知らないは反対じゃない
居なくなると居ないは同じじゃない
誰かのために泣いているのよ、
誰かはゲームのキャラだけど。
大人になる前に死んでしまえ、と馬鹿なあの子も言っていて、
凡庸さと向き合うことも大切なのですねとちっぽけな自尊心を叱っている、
あの子と同じは嫌だ、嫌だ。
思いますけど、それはきっとあの子も同じだから、
ああでも嫌だな、な。
早く大人になりたいな。