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―ホルン村・帰郷―

 ローランドのクリスタルへと着き、久々の守衛と挨拶を交わす。


「オトナシ様、お久しぶりでございます」


「久しぶりです。お二人共お元気そうで」


 ローランドのクリスタルの守衛は兄弟らしく、二人で仲良くここを見張っている。


「そう言えばこの間、珍しくエルフの方が転移陣の方から出て来られましたが、あの方はオトナシ様のお知り合いの方ですよね?」


 エルフの知り合いと言えばアリアかハーシーかサイレント城に来たキャロル位だが、そのなかで転移陣を知っていてそれが使えるのはキャロルしかいない。


 恐らくコルグのクリスタルを解放したキャロルがそのまま転送装置を使用しローランドのクリスタルを解放しに来たのだろう。サイレント城から旅立つ時に転送装置の許可は出していた。彼女はコルグまでは旅を楽しみたいと転移陣は使わずに旅立っていった。


「それは恐らく城に来たキャロルさんですね。コルグのクリスタルを解放するついでにこちらへ寄ったのだと思います」


「然様で御座いましたか。なにやらトロン村の祠を巡礼に行くと申されておりましたが、エルフの方がサンシーカー様の祠を巡礼するのは珍しいですね」


 どうやらキャロルは数日前にトロン村へと発ったらしい。もしかしたら帰りの道中か村で会うかもしれない。城ではあまりおもてなしも出来なかったから、村で一緒になったら何か考えよう。


「もし入れ違いで彼女が戻って来たら宜しく言っていたと伝言を頼めますか?」


「はい! もちろんでございます!」


「それでは宜しくお願いします」


「あ、あとこれあげます。ここだけの内緒で」


 そう言って作り置きの小皿に持ったアイスを二人分【キューブ】から取り出して彼等に渡した。


「これは?!」


「アイスクリームです。お二人で召し上がってください」


 匙も二つ渡し、そのままクリスタルを後にする。


「よし、先を急ぐか」


「「「はい!」」」


 そのままローランドの門を抜けて人気の無くなる所まで進んだ所で強化と迷彩をかけて全員でトロン村へと走る。


「そう言えばダリアはトロン村は初めてだっけ」


「ああ、初めてだぜ。セレーナの故郷がどんな所か楽しみだよ」


「魔力草栽培法の時にはお世話になりましたね!」


「ふむ、のんびりした所で良い場所だぞ」


「何もありませんが、みんな優しくて良い所ですよ!」


「セレーナ、この間スミレの力を借りてサンシーカーの祠を作って貰ったから見る所は出来たぞ」


「あ! そうでした! 私もサンシーカー様の祠を見るのは初めてなので楽しみです!」


「ワン!」


 そんな会話をしながら半日ほど走るとホルン村へと着いた。


「半日くらいか。意外と早く着いたな」

 【キューブ】から取り出した懐中時計を見ると既に21時を過ぎていた。


「とは言ってももうこんな時間か。連絡も無しにいきなり尋ねるのも迷惑だろうから、手前の森で野営するか」


「ワン! ワン!」


 俺の提案を聞く前にルーナがホルン村へと走って行った。 


「ルーナ様?!」

 セレーナが慌ててルーナを追いかけると、二人はそのままホルン村の入り口の守衛と話を始めていた。


「ソウイチロウ様! 入って大丈夫だそうでーす!」

「ワン!」


「しー! 二人共、声が大きい。静かに」


 遠くから二人を注意するが声を張っていないので多分二人には聞こえていない。全員小走りでホルン村の入り口へと近寄り守衛に挨拶する。


「「オトナシ伯爵様! お目に書かれて光栄です!」」


 守衛達の声もデカい。先程からの大声に気が付いた村人数人が門へと様子を見に来てルーナとセレーナを見つけると、そこから更に村人が集まり、最終的には全員が集まって出迎えてくれた。


「なんかスゲー騒ぎになったな。ここはトロン村じゃないのにめちゃくちゃ歓迎されてるし」


「この村はセレーナのお母さんの出身地なので、ここもセレーナの親戚が多いんですよ。しかも久々の帰還だから尚更ですね」


 彼女を連れて村を出た時も魔力草栽培法の時も長い時間滞在出来なかったから、この歓迎っぷりは必然だろう。こんな時間にもかかわらず笑顔で出迎えてくれた事に感謝しよう。


「こんな時間にすいません。もし良ければどこか一晩過ごせる場所をお貸し頂けますか?」


「何を仰いますか、オトナシ伯爵様! もちろんで御座います! すぐに村一番の良いお部屋をご用意いたしますので、どうぞ、ご用意が出来るまでこちらでお待ち下さいませ!」


 ホルン村の村長であるセレーナの大叔父フォーク・セレストがみんなを村長宅へと案内してくれる。

 大人も子供もみんなワラワラと列をなしてルーナとセレーナを囲みながら村長宅へと着いてくる。


「ふむ、まったく偉い騒ぎになったな。だが賑やかなのは良い」


「セレーナちゃんも皆さんもお互いに逢えて嬉しそう」


「ホルン村か。良い村だな」


 スミレ、メリッサ、ダリアが周りを見ながらつぶやいた。


「皆の者! 宴の準備じゃ! 酒はこちらで用意する! 簡単な物で良いから皆は何か料理を作って家まで持ってくるのじゃ!」


「村長さん!? もう21時過ぎてますよ!?」


 村長の鶴の一声でこの時間から宴会が始まり、真夜中まで続いた。部屋の準備が出来るまでとは一体。


 次の日、お酒を飲んだ俺は当然、昼まで起きられないが、お酒を飲まないセレーナやルーナ、お酒大好きスミレさんは朝から元気に村人達の相手をし、ダリアとメリッサは珍しく二日酔いでダウンしていた。


「サンシーカー様の石碑はスミレ様が見つけて下さったとお聞きしました。本当にありがとうございます!」

 村人が口々にスミレへのお礼の言葉を述べる。


「なに、我もまたサンシーカー様には色々とお力添えを頂いた事がある故、当然の事をしたまでだ」


 スミレは近寄って来たルーナの頭を撫でながら村人達にそう答えた。


「ワン!」

 ルーナはスミレの頬をペロリと舐める。


「ルーナ様もこんなにご立派になられて、サンシーカー様そっくりに・・・・・・本当に嬉しい限りで御座います」


 サンシーカーを良く知る老人達数人は涙を浮かべてルーナに手を合わせる。


「そう言えばフォーク大叔父様、少し前にホルンかトロンの村に女性のエルフの方がお見えにはなりませんでしたでしょうか? サンシーカー様の祠へ巡礼に向かったとお聞きしたのですが」


「おお! そうだった! キャロル様じゃな。来られたぞ! こちらにも数日お泊りして頂いた。その際にお城の話もお聞きしてな! 少しじゃが城でのお前の様子も聞く事が出来て安心したんじゃ。まさかこうして会えるとは夢にも思わなかったがな!」


「それは良かったです! キャロル様は今はトロン村へ?」


「ああ、数日前にはこの村を出立なされたからな。既にトロン村へは着いてると思うぞ」


「そうでしたか! ではトロン村へ行けば会えるかもしれませんね! スミレ様!」


「ああ、そうだな。その旨を惣一郎に伝えて来てやったらどうだ? 昼まで起きぬかもしれぬが」


「はい! 行ってまいります!」


「ワン!」


 ルーナもセレーナに着いて惣一郎へキャロルの行先を告げに行った。


「あの二人は本当に仲が良いな。何処へ行くにも一緒だ。姉妹の様だな」


「セレーナはいつもルーナ様とご一緒に行動をしているのですか?」


「ああ、いつも一緒だ。寝ても覚めても一緒にその辺を走り回っておるぞ」


「走り回って・・・・・・あの子は、セレーナは昔から走るのが好きでしたが、今も走っているのですね」


「セレーナはサンシーカー様とルーナ様の加護の両方を授かっている。幸多き子だ」


「おお!! なんと! それは・・・・・・。」


 フォーク村長は感極まって言葉を詰まらせる。

 それに加えて龍の加護も授かっているが、スミレが野暮を言う事は無かった。




いつもお読み頂き、ありがとうございます。


今年も残す所一ヶ月を切りましたが、12月も頑張って投稿したいと思います。


いつも読みに来て頂いてる方々、感想頂いた方、評価頂いた方々、誤字報告頂いた方々、ブックマーク登録頂いた方々、ありがとうございます!


少しずつ見てくれる方が増え、嬉しい限りです。

これからも頑張って続けて参りますので、応援よろしくお願い致します。


読み辛い所もあるかと思いますが、気に入って頂けたらブックマークや評価、感想を頂けると嬉しいです。


誤字報告なども頂ければ幸いです。


今月も頑張ります!

宜しくお願いします!

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