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スーパーに行くと、そこには五人組のグループがいた。人相が悪い男たちである。
「あれまぁ、こんなところに可愛らしい女の子が一人で来ちゃったよぉ〜。」
「先輩、ここスーパーっすよ!普通じゃないすかー。」
「へへっ、まあな。でもこんなめちゃくちゃな世界だからなぁ。それこそ、〔何したって〕捕まったりしないからねぇ。」
男たちは、ギラギラとした目でこちらを見てくる。全身を舐め回すように。
あー、はいはい。このパターンね。
アニメやゲームとかでよくあるやつ。まあ今は現実なんだけど。
紅「なぁ、やっちまおうぜ、アヤ。」
「ふふ、そのつもりよ。でも私の個人的な主義として、正当防衛じゃなきゃ嫌なの。」
紅「なんだそりゃ。でもま、おもしろいな。普通人間って同族殺しを嫌がるんじゃないのか?そう思っておれは半分冗談で言ったんだがな。」
「べつにこんな世界になったんだから普通の考えよ。むしろこっちから手を出さないだけ私は優しいと思うわ。あと、正義側の意見としては、ここであいつらを見逃したら、その数倍の被害がこれから出ると思わない?だったら多少の罪悪感を私が背負ってあげるだけで、世の中のためになるじゃん?」
紅「短い時間だけど、アヤがおれの好みの性格だってことは分かったぜ。世の中のため、なんて思ってないくせによく言うな。」
「ふふ、そういうのがちゃんと分かっちゃう紅ステキ。」
「なんだなんだブツブツと。電波ちゃんか??」
お、来た来た。ありがちな煽り。さてと、じゃあ演技タイム開始。こんな感じかな。
「えっと、、、すみません。食べ物を探しに来ました。少しだけでいいんです。分けていただけませんか?」
悲壮感たっぷりで、圧倒的下の立場からお願いする、か弱い少女。完璧だ。
「えーーー、どうしよっかなぁ。ここの食料は俺たちのものなんだよなぁ、お嬢ちゃん。」
「どうしても、、、ダメですか、、、?」
「うーん、しょうがないなぁ、分かった!あげるよ。」
内心私は、えっ?と思った。予定とちがう。まあ、くれるならくれるでいいけど。
「身体で払ってくれるんだろ?」
「ぐへへ。」
「あー、うまそう。」
「なぁ、リーダー、2番目は俺な。」
「おれが次だわボケ。」
あ、うん。やっぱ思った通りだったわ。
リーダーと呼ばれた男が、素早くこちらに迫ってきて、そして思いっきり蹴ってきた。
「紅、もういいわよ。」
紅「はいよっ!ファーストウィンド」
その瞬間、その男は吹き飛ばされていた。
男は、何が起きたのか分からないという顔をしている。
「えっと、もう手出ししないなら、私は何もしません。約束します。でも、次に何かされたら、本気で抵抗しちゃいます。」
「なんだと?女のくせに調子乗ってんじゃねーよ。おいお前ら、やるぞ。まずは痛めつける。油断はするな。こいつはスキルを持っている。」
私は思った。
キタァー正当防衛!♪
「紅、もう大丈夫よ!思いっきりGO!」
紅「やっぱアヤって最高におもしれぇ。ファイヤーウィンド二連発いっとくか!」
、、、。
こうして、男たちの張り裂けるような断末魔を背後に、せっせと食料を詰めるのであった。
そして、途中で脳内にアナウンスが響いた。
「人間を倒しました。人間を倒しました。人間を倒しました。人間を倒しました。人間を倒しました。
経験値が一定に達しました。
経験値が一定に達しました。
経験値が一定に達しました。
称号【殺人者】を獲得しました。
ステータス画面を開きます。」
あー、やっぱりねぇ。人間の方が経験値効率がいいと。ゲームあるあるだわ。
はぁ、これが知られたら殺人が横行しちゃうな。時間の問題だと思うけど。それまでに強くなることが最低条件ね。あと信用出来る仲間を探すこと。
とりあえず、レベルアップ3回分の経験値は、SPとMPに使っちゃおう。で、【アイテムボックス】と【マップ】をそれぞれレベル5に。
現在のステータスはこんな感じ。
●種族 人間
●個体名 アヤ
●称号 【殺人者】
●ジョブ 【情報管理者】
●レベル 1
●ステータス
HP 10
攻撃10
防御10
スピード10
MP17/34
SP0
JP10
●固有スキル
【早熟】、【MP自動回復(固有)】(レベル無し)
●スキル
【観察】(レベル3)、【言語理解】(レベル3) 、【マップ】(レベル5)、【アイテムボックス】(レベル5)
●魔法
なし
称号はちょっと困りものだけど、高レベルの【鑑定】じゃないと分からないはずだから大丈夫ね。
さてと、あらかた欲しいものはもらったし、上の階も見てみよう。