2
参考書を読破して思ったこと。
それは、よくあるRPGのゲームととても似ているということだ。レベルがあって、職業を選んで、それに伴うスキルがある。魔法も習得できるし、魔物を倒せば経験値が手に入る。経験値を手に入れればレベルが上がり、ステータスが上昇して強くなる。
ゲームでよくある設定だろう。
しかし、既存のそれらと異なる、ユニークな点が2つだけあった。
1つ目。
次のレベルに上がるための経験値が集まった時、普通ならば自動的にレベルが上がるだろう。
しかし、この世界では[レベルを上げるかどうか]を選ぶ権利があるのである。
レベルを上げない場合、どれか1つのパラメータを選択して、そのパラメーターだけを上げる事ができる。例えば、攻撃力特化型を目指すのならば、[攻撃]だけを上げるということが可能なのである。
ただし、少し損することを覚悟する必要がある。
どういうことか説明しよう。
例えば、レベルを1つ上げると、それに伴ってほぼ全てのパラメーターが少しずつ上昇する。
仮に2だけ上がったとしても、パラメーターは7種類(SP、JPも含む)もあるので、全体としては2×7=14上昇していることになる。
逆にレベルを上げず、ひとつのパラメーターだけを上昇させると、せいぜいその半分程度だ。
つまり、ひとつのパラメーターだけを手早く上げるのには便利だが、将来的には確実に損である。
2つ目。
魔法を使う際には、精霊を媒介する。
つまり、MPさえ使えばすぐに魔法を自分で発動できるわけではなく、そのMPを与えられた精霊が、命令どおりの魔法を放ってくれる、という仕組みなのだ。
例えば、【ファイアーボール】を唱える。するとその瞬間、それに必要な分のMPが周囲にばら撒かれる。そこに精霊たちが集まって、ファイアーボールを放ってくれるのである。
だから、この世界では、[魔法を使う]という表現よりも、[魔法を使わせる]という表現が正しい。
そこで私は思った。
そんな風に精霊たちを奴隷みたいに扱うのではなく、むしろ仲良くなってしまえばいいのでは?
私は理系だ。こんな荒唐無稽な話をなんの根拠もなく言っているわけではない。
[精霊について]という項目を何度も読んだ。そこには精霊一匹一匹に個性や感情があること、精霊に共通する言語があること。様々なことがまとめて記載されていた。
精霊たちは、いろんな世界に貸し出され、酷使され、また移動。そんな風に、奴隷のように働かされているということも分かった。
だったら話は簡単だ。とにかく精霊と会話するためのスキルを手に入れて、コミュニケーションを図る。そして仲良くなって、優しく手厚く育て上げる。
これが私の作戦である。
この作戦で生き抜いて行くには、もちろんMPも大量に必要になるだろう。
だから選んだジョブは、MP補正が高くなる【魔法使い】!
とみせかけて、私が選んだのは
【情報管理者】である。
私はステータス画面のジョブをタップし、その中から【情報管理者】を選択した。
すると脳内にアナウンスが響いた。
「ジョブが選択されました。【情報管理者】になりました。
スキル、【観察】(レベル1)を獲得しました。
スキル、【言語理解】(レベル1)を獲得しました。
スキル、【マップ】(レベル1)を獲得しました。
あなたは世界で12番目にジョブ選択を行いました。100番以内報酬として【早熟】(レベル無し)を手に入れました。」
おおー。最後のボーナスはラッキーだった。
とはいえ、世界が変わってから即効でステータスを開き、すでに決めてあったジョブを選択したのに世界で12番目か。たしかに世界12位は誇れることだろうが、逆に言えば、私よりも早く行動した人物が11人もいるということである。もし出会うことになったら、要警戒である。
魔物?人間?そんなのほとんど敵でしょ。
さて、次だ。
【観察】と【言語理解】のスキルレベルを上げる必要がある。レベル1からレベル2に上げたい場合はSPが2ポイント必要。レベル2からレベル3に上げたい場合は3ポイント必要。
このようにレベルに合わせて必要なSPが増えていくのだ。
今SPは10あるので、【観察】と【言語理解】をそれぞれレベル3まで上げる。
現在のステータスはこんな感じ。
●種族 人間
●個体名 アヤ
●ジョブ 【情報管理者】
●レベル 1
●ステータス
HP 10
攻撃10
防御10
スピード10
MP10
SP0
JP10
●固有スキル
【早熟】
●スキル
【観察】(レベル3)、【言語理解】(レベル3) 、【マップ】(レベル1)
●魔法
なし
これから魔物たちがたくさん現れて、戦闘することになるのに、なんで【観察】と【言語理解】なんかのレベルを上げているのか説明しよう。
それはずばり、私の作戦の要である、精霊と会話するためである。
【観察】がレベル3になったためか、うっすらと見えてきた。なるほど、これが精霊か。例えは悪いが、サイズはハエくらい。綺麗な羽を生やし、いろんな色の精霊が周りにあふれていた。
しかしまだぼんやりとしか見えない。レベル3ならこの程度ということか。
この世界において、例えば魔法を使うとき、どんなメカニズムで処理されるのか。
まず、MP。これが多ければ多いほど、たくさんの精霊を呼び集められる。
通常の精霊は、一匹につき1MPと考えるので、MPが10あれば、一度に呼び寄せられる精霊の数も10である。
例えばMPを5消費する魔法を放つときには、五匹の精霊の力を借りることになる。一度力を借りると、その精霊はフラフラとその場を離れていき、自然回復を待つ。
ザックリいうとこんな感じである。ただし、あくまでこれは、ふつうの精霊の話。精霊たちも、MPを多く取り込んでいくことで、進化をする。進化した精霊たちは、取り込むMPの量も増えるし、使える魔法も多くなる。
これを読んだとき、私はこの精霊が重要な鍵を握っていると直感したのだ。だから私は精霊たちをしっかりと見て、しっかりと会話しようと思う。
【観察】と【言語理解】を獲得できるジョブは、【情報管理者】だけだった。
だから私が方針を決めた時点で選ぶジョブは自動的に決まっていたのだ。
例えば【HP強化】などのスキルは、とても強力である代わり、様々なジョブの人が得ることが出来てしまう。
私は、ユニークでレアなものを極フリしたい性格なのだ。〔多くの人が真似できないこと〕ってワクワクしない?実際、レアならばレアなほど、高価では無いだろうか。現実でも、ゲームでも。
だからこのように、すこしひねくれた?ような方針をとっている。
さて、前置きはもういいだろう。
わたしは早速精霊と、仲良くなるのだ!!