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食事
狭い路地の奥でアヤは両手を頭の上でまとめて握られていた。口元と目元にはそれぞれ白色の布を巻かれている。アヤの白い首筋に真っ赤な舌が這う。声を出せないアヤが息を飲み込んだ。それに気を良くしたように舌は何度も何度もアヤの首筋をなぞる。口元に巻いた布を下に下げ現れた唇を塞ぐ。ぐちゅりと耳障りな音が聞こえる。角度を変えて何度も口を塞がれたアヤの口元から唾液が流れ落ちる。空気を吸うことを放棄してアヤは震えた声で呟いた。
「助けて、氷室君。」
僕はアヤの近くに居たアヤ以外を口に銜えた。顎に力を入れるとブツリと嫌な音がして、二つに分かれた。大きな塊から沢山水分が出てアヤに降り注ぐ。アヤ以外を僕は入念に口に入れていき咀嚼した。アヤに付着したアヤ以外を丁寧に舐めとった。全てを飲み込んだ後、僕はアヤの目元を隠していた真っ赤な布を外した。
「ありがとう氷室君。」
アヤは僕を見て笑ってくれた。僕は久しぶりにお腹一杯に食べたのにちっとも美味しくなかった。
「はやくケーキ食べに行こう。」
黒豹としての食事よりアヤと一緒に食べる甘い物の方が僕は好きだ。




