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剥がし屋  作者: パパス
6/10

ドリームキャッスルの拷問部屋⑥

「うっし!!

準備OK~!!

じゃあさっそく行くぞーーーー!!!」


準備が終わり颯爽とクズさんが部屋に入ってきた。


「えっ・・・!?

クズさん・・・!!

その格好・・・!?」


クズさんの格好は黒の甚平を着て、腰にうちわというまるでこれから花火大会に行くような格好だった。


「いやいやいや!!!

えっ・・・!?

まさかその格好でこれから悪霊退治するんですかー!?」


私がクズさんにそう言うと同時に今度は田中さんが入ってきた。


「準備OK~!!

いつでも行けますぞ~!!」


田中さんは頭にカラフルな青いバンダナを巻いてアニメの女の子がプリントされた白のTシャツを着てリュックを背負っていた。


「あんたもその格好で行くの~!?」


「ちょっと朱里~・・・

別にどんな格好でもいいよ・・・

あんまり文句言わない方が・・・」


梨花が朱里をなだめるように言った。


「お待たせ~!!」


最後に真理亜さんが入ってきた。

真理亜さんは胸元を強調するような全身黒のボディースーツで現れた。


「えっろーー!!」


真理亜さんに関してはその感想しかなかった。


「よしっ!!

みんな準備完了だな!!

あとはお前らの番だ!!」


「えっ・・・!?

私達も着替えるんですか!?」


「いやいや!!違う違う!!

そういや~お前らの名前まだ聞いてなかったからさ!

出発前に自己紹介してもらおうかなって思ってよ!」


「本当だよまったく!!

普通最初に名前名乗るべきだよ!!」


田中さんがブーブー文句を言った。

そう言えば名前を名乗るのを忘れていることに気付いた。


「自己紹介が遅れました!

瀧澤朱里です!

今日はよろしくお願いします!」


私は軽く頭を下げた。


「美月梨花です・・・

よろしくお願いします・・・」


梨花も同じように頭を下げた。


「朱里ちゃんに梨花ちゃん!!

よろしく~!!」


真理亜さんが笑顔で私達と握手してくれた。


「朱里に梨花!!

お前らにいいこと教えてやる!!

言葉にはな、言霊っていって力があるんだよ!

特に自分の名前は特別だ!

他人と早く打ち解けるコツはな、何度も繰り返し名前で呼ぶことだ!!

初対面なのに図々しい奴だって最初は思うやつもいるかもしれんが一時間もすればきっと仲良くなれるはずだ!

今度やってみな!!」


「なるほど・・・言霊か・・・

じゃあ私も信濃さん、一二三さんって呼んだ方がいいですか?」


「いや・・・!!

俺はクズさんって呼ばれた方がいいわ!!」


「僕も田中でいい!!

僕のことひふみんって呼んでいいのわえりりんだけだからね~!!

ドゥフフフフフ・・・」


田中さんは女の子の人形に話しかけながら幸せそうな顔をしていた。


「え~・・・!!

言霊は・・・!!??」


「ニックネームがある場合はニックネームでもいい!!

むしろそっちで呼んだ方がいいかもな!!

ない場合は絶対名字で呼ぶより名前で呼べよ!!」


「そんなことより早く車とってきてよ~!!!

あと1時間7分しか時間がないよ~!!!」


田中さんがスマホを見ながらクズさんを急かした。

クズさんは車をとりに外に出ていった。


あと1時間7分しかない?


いったいなんのことだろう?


私と梨花は顔を見合わせて首をかしげた。


「車が来たみたいよ!

行きましょう!」


外に出ると、クズさん家の前に8人乗りの黒いミニバンが止まっていた。

私達は車に乗り込んだ。


「ねぇねぇ!!

田中さん!」


「何?」


「さっき言ってたあと1時間7分しかないってやつ。

あれどう言うことなの?」


田中さんに聞いてみた。

一瞬田中さんは真理亜さんの方をチラッとむいて、なにやら目と目で会話をしているようだった。

それから私達の方を向いて説明した。


「ドリームキャッスルの地下なんだけどね、あれはもともと存在しない場所なんだよ!

霊場(れいじょう)って言ってさ

あの怨霊の怨念が形を成してあの地下の拷問部屋をこの世に具現化させたんだ」

 

田中さんが言い終わると今度はクズさんが説明を始めた。


「しかも霊場は怨霊の力を何倍にも増幅させるドーピング機能付きときたもんだ!

いくら無敵の俺でも奴の霊場内で戦えばかなり危険なんだ」


次は真理亜さん。


「そんな強力な霊場でもね、その力が弱まる時間帯があるの。

それが午後12時~13時の間だけ!

だから私達はその時間帯に霊場で怨霊と戦わなければならないの!」


「質問いいですか?」


梨花が手を上げた。


「どうぞ!!」


「あの悪霊はほっといたら私達を殺しにやってくるんですよね?

じゃあ霊場から離して戦えばいいんじゃないですか?

例えばそこの道路で私達が囮になって、怨霊が出たらクズさんが私達を助けにくるとか!」


真理亜さんは首を横にふった。


「それはダメなの・・・

霊場はね、どこにいてもどの場所からでもレールのように霊場を繋げることができるの

だから、例えば梨花ちゃんの家に怨霊がやってきたとしたら、怨霊は梨花ちゃんの家と霊場を繋げて梨花ちゃんと梨花ちゃんの家族を引きずりこむ・・・

そこの道路も一緒・・・

一瞬で道路と霊場を繋げて梨花ちゃんと朱里ちゃんを霊場に引きずりこんで私達の手が届かない所でゆっくり殺されて終わり・・・

対処方は直接怨霊の住みかに行ってこちらから先制攻撃するのが最も効果的なの」


私達は納得した。

そして同時に不安になった。


「まぁ心配すんなよ!

俺がいる!

お前らには指一本触れさせない!」


「剥がし屋はね、日本に6人しかいない神様から怨霊を祓う力を与えられた最強の霊能力者!

クズさんはその6人のうちの1人よ!

きっとあなた達を助けてくれる!

だから大丈夫!」


「ありがとうございます!

そうですよね!

すみません・・・少し弱気になってました・・・

クズさんと田中さんと真理亜さんのこと信じてますから!!」


「私も信じてます!

だからお願いします!!

お母さんの仇をとってください・・・!!」

 

梨花は3人に深々と頭を下げた。

時刻は12時11分。

私達はドリームランドの駐車場に到着した。


霊場の弱体化終了まで後49分




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