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剥がし屋  作者: パパス
4/10

ドリームキャッスルの拷問部屋④

階段を懐中電灯で照らしながらゆっくり慎重に降りて行く、確か梨花の話だと通路は一本道のはずだったが、通路の先を懐中電灯で照らすと十字路になっていた。


「道が別れてる!!」


「えっ!!

うそ・・・

だって掲示板には一本道だったって・・・」


「・・・とりあえず真っ直ぐ進んでみよう

それから!

ここを無事に出たらもう胆試しは二度と行かないからね!!」


「う~・・・

朱里~本当にごめん・・・」


梨花は泣きそうな顔をして私に謝った。


「別に梨花が謝ることはないよ。

私だって自分の意志で来たんだから自業自得だよ!」


私は梨花にそう言って笑顔をむけた。

梨花も私に笑い返した。


「ありがとう!」


二人はどんどん奥へ進む。

そして二つ目の十字路にさしかかった時


ーカラカラカラ


前方から台車のようなものを押して歩いてくるような音が聞こえる。


「前から来るよ!!

こっち!!」


朱里は梨花の手を引き十字路を左に進んだ。

まだ音が聞こえてくる。

どうやら私達の後を追ってきているみたいだ。

梨花の腕を掴んで走り出した。

二人はとにかく走った。

一刻も早くここを離れたい!


「音が聞こえなくなった・・・

ハァ・・・ハァ・・・

よかった・・・」


朱里は梨花の方を振り返った。


「えっ・・・!?

梨花・・・じゃ・・・ない・・・!!」


朱里の目の前にいたのは長い髪の女だった。

その女の顔は、真っ白で、まるで死人のような顔色だった。

しかし、もっと恐ろしかったのは女の目だ。

目が左右非対称で恐ろしくどす黒い悪意に満ちたおぞましい瞳の色で、白目がほとんど黒目で埋め尽くされていた。

口はまるで笑っているようにつり上がっていた。

それらのパーツが集まった女の面長の顔はまるで恐ろしい化け物のようで、とても人間には見えなかった。


「み・・・ぃ・・・つ・・・け・・・た」


朱里の耳元に女が口を近づけて呟いた。


「いやああああああああああ!!!!」


朱里は悲鳴をあげて逃げようとしたが女に手を掴まれてしまい振りほどけない。

すごい力だ

女はケタケタと笑い声をあげている。


(助けて!助けて!助けて!!)


朱里は恐怖のあまり声が出なかった。

心の中で必死に何度も助けを呼んだ。


「朱里ーーーーーー!!!!」


その時、梨花が大声を出して助けに来てくれた。


「早く逃げるよ!!!」


梨花が私の手を強く引くと私を掴んでいた女の手がパッと離れた。

女はまだ狂ったようにケタケタと立ったまま笑っている。


「も~う!!!

梨花~・・・!!!

なんでいなくなるのよ~!!!」


私は泣きながら梨花にたずねた。


「違うよ!!

あのカラカラした音が聞こえてきたとき、朱里が急にあの女の手を引っ張って走っていったんじゃ~ん!」


「うそ~~・・・

全然気づかなかった!!」


「そんなことより朱里!!

あの女の顔見た!?」


「至近距離でみたよ・・・」


朱里はあの女の顔が頭に焼き付いて離れなかった。

あのどす黒い目、つり上がった口、ものすごい低い気味の悪い声

思い出したくもなかった。

私はあの女の顔をまじまじと至近距離で見てしまったのだから・・・


ーアハハはハハハはハハハはハハハ


女の笑い声が再び前方から聞こえてくる。


「また来たーーーーーー!!!!」


二人は来た道を急いで引き返す。

それからまた十字路に出ると今度は女がすごい勢いで台車を押して笑いながら走ってくるので、私達は「十」の右側の通路に逃げ込んだ。


「絶対に・・・ハァ・・・

私達・・・ハァ・・・追い込まれてるよね・・・!?」


ーアハハはハハハはハハハはハハハ!!


「またあいつの笑い声だ!!

もう聞きたくない!!」


耳を塞ぎながら朱里は走る。

どれくらい走っただろうか、やがて朱里達は扉の前にやってきた。


「これって・・・」


「たぶん例の拷問部屋のだよね・・・

でも入るしかない」


二人は顔を見合せて軽く頷き、二人でドアノブに手をかけて扉を開けて中に入った。


ーバタン!


ーガチャッ!


扉を閉めて部屋を見渡す。


ーパッ


「何ッ!?」


急に二人の懐中電灯が消えてしまった。


ーあっハハハッはッはッは!!


部屋中にあの女の笑い声が響き渡った。

二人は大きな叫び声をあげて耳を塞ぐ。

だが、女の声はどんどん大きくなり耳を塞いでもまったく意味がない。


ーパッ


懐中電灯が急についた。

二人の懐中電灯は地面に向けられていた。

恐怖で目を瞑る朱里だったが目を開け、勇気を出して懐中電灯を部屋の中央部に向ける。

しかし、部屋の中央にはイスが一台あるだけだ。


おかしい・・・!?

さっきの声は確かにこの部屋から・・・


こ・・・こ・・・


女のボソボソとした声が私達の後ろから聞こえる・・・

梨花は恐怖で手が震えている。


み・・・ぃ・・・つけたーーーーーー!!!!


二人が後ろを振り向くと同時に女がものすごい形相で顔を近づけてきた。

目の白目の部分が真っ赤に充血していて、しかし黒目の部分はドス黒くこのような黒い色はみたことがないほど濁った黒色だった。

ムンクの叫びのような顔だちと口はこの恐ろしい目を更に狂喜立たせた。

私達はその女のすさまじい形相を間近でみてしまい、恐怖のあまり気を失った。


どれくらいの時間気を失っていたのだろう?

私が目を覚ますと、拷問部屋の隅っこにいた。

立ち上がり懐中電灯をつけて部屋の中央まで進んで行く。


「梨花ーーーーーーー!!!!」


部屋の中央のイスに梨花が縛りつけられていた。

梨花はまだ目が覚めていない。


「起きて!!

ねぇ!!!

梨花ーーーーーーー!!!」


梨花の顔をおもいっきり叩いたり、耳元で大声を出して梨花を起こす。


「・・・ん・・・朱里・・・?

・・・・えっ!?

嫌だ!!!

何これ!?

動けない!!」


梨花は目を覚ますと、自分の今おかれている状況を一瞬で把握した。

そして、恐怖した。


「朱里ーーーーーーー!!!

助けてーーーーーー!!!!」


梨花は泣きながら私に助けを求めた。


ーガチャン!!!!


奥から扉が乱暴に開く音が聞こえた。


えっ・・・!?

扉は2つあるの・・・!?


暗くて部屋の全容が解らなかったが、どうやら懐中電灯で奥を照らしてみると、この部屋には扉が2つあるらしい。


ーカラカラカラカラ!!


女が来た!!


早く梨花を助けないと!!


梨花の手足には革のベルトのようなものでガチガチに固定されていて私の力じゃ取れない。


ーびゃーハハハ!!はははがが・・・がか!!


ーカラカラカラカラ!!


女の狂った笑い声と台車の音が聞こえる。

梨花は震える声で朱里に言った。


「・・・朱里

逃げて・・・・

今なら逃げれる」


「何いってんの!?

梨花を置いて行けない!!」


ザクザクザクザク・・・血がでる・・・


女が男のような声で歌うように呟いている。


「早く逃げないと朱里まで・・・」


「絶対にあんたを見捨てない!!!」


朱里は梨花の腕のベルトを引きちぎろうと乱暴に引っ張る。


足をもいで・・・・腹裂いて・・・


女はあと数メートルで梨花が拘束されているイスに到達する。


「外れろ!!!外れろーー!!!!外れろーーーーーー!!!!」


梨花が声を震わせて泣いている。


「もういいよーーー!!!!

・・・朱里~!!!

早く逃げてーーーーーー!!!!」


朱里は泣きながら首を横に振る。


次はお前!! 次はお前!! 次はお前!! 次はお前!! 次はおまえええぇぇぇ!!


女は何か鋭利な刃物のようなもので女の腹部を刺した。

何度も、何度も、何度も

自分の腹部を刺すたびに狂ったように大声で笑う。

私はその光景に腰を抜かしてしまい、その場に倒れこんだ。


「立つの!!!!朱里ーーーーーー!!!!

立って逃げてーーーーーー!!!!」


梨花は必死に叫んだ。

しかし、朱里は恐怖で失禁してしまい、足も手も動かない。


女は梨花が拘束されているイスの横にピタリとくっついて、梨花の顔が見えるように屈んだ。

気味の悪いニタ~とした笑みを浮かべて手に持っていた刃物を梨花の顔めがけて突き刺す!


ードーン!!


女が吹き飛んだ。


梨花は何が起きたのか理解できなかった。

確かに自分の顔めがけて刃物が迫っていたはずだ。

しかし、刃は梨花の顔に刺さることは無かった。

梨花は自分の手足の違和感に気づいた。

拘束具が外れていた。

拘束具から焦げた匂いがする。

そして、梨花の後ろ側から誰かが歩いてくる。

朱里もその人物に目が釘付けになった。

どうやら女性のようだ。

白いニットの服を着て、青いジーンズをはいている女性。

どことなく梨花に似ている。

その女性は朱里に微笑みかけてゆっくり朱里の手を引っ張って立ち上がらせてくれた。

そして女性は梨花の元へと歩いて行き、梨花の頭を優しく撫でた。


「うそ・・・」


梨花は体を震わせて泣いている。

どうやら恐怖の涙では無いようだ。


最後に会ったのは4歳の時・・・

もっともっと一緒に居たかったのに・・・

もっともっと話をしたかったのに・・・

普通の家族のように・・・


「おがあさん・・・!!」


梨花は女性に抱きついて大声で泣いた。

私達の前に現れて、梨花のピンチを救ったのは死んだはずの梨花のお母さんだった。






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