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剥がし屋  作者: パパス
2/10

ドリームキャッスルの拷問部屋②

「どうだった?」


梨花はドリームキャッスルの噂話を話終えると、ニヤニヤしながら私に感想を求めてきた。


「怖すぎるわっ!!」


私は思わず梨花につっこみをいれた。


「えへへっ!

朱里めっちゃ怖がってたね!!」


梨花が無邪気でかわいらしい笑顔を私にむける。


うっ・・・

  

こいつ・・・!!


かわいい!!


梨花は小柄で色白でおまけに小顔で笑顔がめちゃくちゃかわいい。

だから男にモテまくる。


「あんたの話し方が上手すぎて恐怖が倍増したの~!!」


梨花の顔を両手で圧迫してキス顔を無理矢理作ってやった!

男共よ~!!

うらやましいか!?

これが親友の特権じゃ~い!!


「あぱり~はなぴて~!!」


私が口を圧迫させてるからうまくしゃべれないようだ。

手を放してやった。


「も~!!」


梨花はムスッとして朱里を置いてスタスタと先を歩く。


「ごめんてば~!!

待ってよ~!」


私は梨花を追いかけるために小走りした。



ー PM 20:36分 滝澤家

 

朱里は入浴と着替えを済ませて脱衣場に設置してある体重計に乗っかってため息をついて脱衣場を後にした。

リビングには母と父と妹の七菜がテレビの前でかじりつくようにクイズ番組を見ていた。


またか・・・


朱里はソファに座ってスマホを開いた。


『問題です! 

入れると体が熱くなってくる『ボウ』は何でしょうか?』


暖房・・・


朱里はLINEをチェックしながらテレビから聞こえてくるクイズに心の中で答えた。


ーピロリーン!


梨花からLINEが来た。


「えっ・・・!!

いや・・・それは禁止用語なんじゃ・・・」


「・・・入れると体が熱くなるボウって・・・

あれしかないじゃん・・・」


「いやいやいや!!!

母さんはまぁあれとして・・・

何で七菜が棒を入れると体が熱くなることを知っているんだ!?」


母と莉奈が顔を赤らめ、父は顔が青ざめて七菜に詰め寄る。

一体どんな答えを想像しているんだろう?


『正解は『暖房』です!』


「そっちか~!!!」


3人の声が揃った。

おぞましい答えを想像していた3人は顔を赤らめながら恥ずかしがっていた。


「なんだ~・・・暖房ね~」


「ハハハハッ・・・

1本取られちゃったね!

私眠くなっちゃった~~!」


あくびをして七菜は立ち上がってそそくさと自分の部屋に向かった。


「父さんはちゃんと聞いていたぞー!!

お前いったい誰のボウで熱くなったんだ!!

例の彼氏か!?

怒らないから父さんに正直に言いなさい!!

大丈夫!!

男を亡き者にするだけだから!

七菜ーー!!!」


父が七菜を追いかけてリビングから出ていく。

朱里は気を取り直して梨花のLINEをチェックした。

どうやら明日ドリームキャッスルの拷問部屋を探しに行こうという内容だった。

スタンプはクマ。


「明日か~・・・

う~ん・・・

まぁいっか・・・

どうせ暇だし」


OKと梨花に返信した。

スタンプは酔っ払ってるおじさん。

それから再び梨花からLINEが入る。

内容は夕飯は梨花の家で食べようという内容だった。

スタンプはうさぎ。

私は再びOKと返信した。

スタンプはボディービルダー。


「お母さん!

私明日梨花の家に泊まってくるね!」


「明日ー!?

もう・・・そういう事は先に言ってよ~!

手ぶらじゃあ行けないから、何かお菓子でも買っておくからちゃんと持ってってね!」


は~い!!

と他人事のような返事をしながら私もリビングを後にした。

部屋に戻るなり、ベッドにダイブ!

明日はまぁ怖いけど、少し楽しみでもある。

朱里は足をバタバタさせながらスマホで恋愛小説を夜中まで楽しみ、結局夜中の2時過ぎに眠りについた。




ー翌朝


「おっはよ~!!」


父は仕事に行ったようだ。

さぞ私達がうらやましいんだろうな~・・・

母はどうやら出掛けたみたいだ。

朱里はあくびをしてイスに座った。

テーブルにはラップに包まれた皿が3枚あり、パンと目玉焼きとサラダがはいってる。

コップにはオレンジジュースだ。


「おっはよ~お姉ちゃん!!

今何時だと思う~!?

正解は~・・・

9時13分!!!

普段なら朝寝坊で学校遅刻だよ~!

夏休み最高だねっ!!」


七菜がスマホをいじりながら私に言った。


「ほんとほんと!!

夏休み最高だわ!」


パンを頬張りながら朱里は新聞のテレビ欄をチェックしていた。


「なんかお姉ちゃん

おっさんみたいだよ!!」


「うるっさいな~!

いいわね~JK1年生はフレッシュで~」


「お姉ちゃんだってJK3年生でしょ~!

2つしか変わんないじゃん!」


朱里と七菜はクスクス笑いあった。

オレンジジュースを少し飲んで目玉焼きにかぶりつく。


「ちょっと出掛けてくるね!

お昼は帰ってこないから!」


「はいは~い!

「ボウ」で体が熱くならないようにね~!」


七菜は一瞬体をビクッとさせて玄関に歩いていった。


あいつ・・・ヤる気だな・・・





ーPM15時05分


梨花からLINEが来た。どうやらそろそろ梨花の自宅に遊びに来ないかという内容だった。

今からだと、15時43分T駅着の電車に乗れる。

これから向かうという旨のLINEを梨花に送った。

母が買ってくれた梨花の家族へのおみやげのお菓子を持って家を出た。

それから電車に乗ってT駅へ降りた。

T駅から梨花の家までは10分もかからない。

相変わらず外は地獄の暑さだ。

朱里の格好は腰までかかる長さの黒髪を1つにまとめて、服装は大好きなバンド「JACK B」の白Tシャツに、黒色の小さいリュックを担ぎ、ホットパンツというラフな格好だ。

朱里は女の子にしては長身で、このラフな格好がまた似合う。


「暑っつ~い・・・

今日もひどい暑さだ~・・・

太陽も夏休み取ればいいのにな~・・・」


朱里はギラギラ照りつける太陽に文句を言いながら梨花の家を目指す。

暑さのせいで普段なら10分で着くのに、ダラダラと歩いていたせいで15分と、5分も余計にかかった。

朱里は梨花の家の呼び鈴を押した。

ツインテールの梨花がドアを開けて朱里を中に入れてくれた。

梨花の今日の格好は水色のTシャツに、涼しそうな白のスカートをはいていた。


「今日も暑っついね~!」


「暑っつ~い・・・

あっ!

これ今日お世話になりま~す!

みんなで食べて!」


朱里は梨花に持ってきたお菓子を渡して梨花の部屋に向かった。

梨花の家は、梨花と、2つ下の弟の花くん、それから梨花のお父さんの3人暮らしの父子家庭だ。

梨花のお母さんは梨花が4歳の時に病気で亡くなってしまっていた。


「朱里~!!

はい!!

どう~ぞ~!!」


梨花は飲み物とカップアイスを朱里に渡した。


朱里と梨花はアイスを食べながら女子トークを楽しんでいた。

今日のお昼のバラエティー番組のことや、世間を騒がしている大物芸能人の不倫問題、学校で起きたおもしろい事件などを梨花と楽しくしゃべった。

やっぱり梨花と一緒にいると楽しい。

あっという間に時間が経ち、梨花がスマホで時間を確かめると時刻は19時になっていた。


「お~い!!

梨花~!!朱里ちゃ~ん!!

メシ出来たぞーー!!」


仕事から帰ってきた梨花のお父さんが私達をよんだ。


「もうこんな時間!

朱里とおしゃべりしてるとあっという間~!」


「ほんとだよね~!」


二人は梨花の部屋を出てリビングに向かった。


「おじゃましてま~す!」


リビングには梨花のお父さんと弟の花くんが先にごはんを食べていた。


「ほいっ!

今日はスーパーのお寿司で~す!

朱里ちゃん!

こっち来て食べな!!

梨花もほらこっちこっち!!」


私と梨花はお父さんと向かい合う形で敷いてあった座布団に座った。

私達はお腹がペコペコだったから、お寿司のパックを開けて小皿に醤油をいれた。


「ほいっ!

朱里さん!」


花くんが冷たい緑茶を入れてくれた。

ありがとう!とお礼を言うと、花くんはどういたしまして!とはにかんだ笑顔を私に向けた。


か・・・

かわいい!!!


花くんも姉に似て、笑顔がかわいい美少年だった。

というか、梨花のお父さんも40代後半だったがイケメンで笑顔が素敵な人だった。


「ごちそうさまでしたー!!」


私も梨花もぺろっと平らげた。

お寿司最高!!

それからみんなで雑談したりして、梨花の部屋に戻ったのは20時40分過ぎだった。


「朱里~!

いよいよだね!!」


梨花が部屋の時計をみながら私に言った。

忘れていた・・・

梨花の家に来た理由を思い出した。


「21時になったら出発だよっ!!」


梨花の声は弾んでいた。ワクワクしているらしい。


「ねぇねぇ・・・

本当に行くの~・・・?」


私は目をうるうるさせながらかわいく梨花に聞いてみた。


「行くの~!!!」


梨花は親指を立てて当たり前じゃんのポーズをした。

朱里はため息をついて、覚悟を決めた。

まぁ、きっといい夏の思い出になるな!

私はそんなことを思いながら時間になったので、梨花と一緒に部屋を出て玄関に向かった。

お父さんも花くんもどうやら自分の部屋にいるらしく、リビングは電気が消えていた。

梨花のお父さんと花くんにバレないようにゆっくり玄関の扉を開けて私達は裏野ドリームランドに向けて梨花の家をあとにした。




私達の恐怖の夏休みが始まりを告げた。


























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