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出会いの日




 「そもそも、なんで他の惑星の王様が地球人に超能力を与えようとしてるの?」


 ヴァイスと握手をした方の手を眺めた後にそう問いかけると、ヴァイスは神妙な声色で答えた。


 「ロートって言う、別の惑星のものたちがが地球を侵略しようと目論んでいるんです。」

 「はぁ?また他の惑星?」

 「うん!そう!ロートは僕らの惑星のお隣にあるんだよ!さっき僕が言ったビビッドカラーの惑星!」

 「ビビッドカラーの惑星はなんで地球に標準を当ててるの?選考基準がよくわかんないんだけど。」


 「……地球は、恵まれた惑星なんです。

 僕たちは今まで、たくさんの惑星を見てきましたが、ここまで環境が優れていて、色も充実しており、尚且つ安全な惑星は地球がはじめてです。

 あるところは、毎日隕石が雨のように降り注ぎ、日々削れていく自分の星や、死んでいく友を無力に眺めていることしか出来ません。

 あるところは、その星の生物の肉しか体が受け付けずに、身内同士で殺し合い、その体を貪り食らうことしか出来ません。

 そしてあるところは、白と黒に囲まれており、どれだけ綺麗な色のものを他の惑星から持ち帰っても、その星のもつ力で醜く濁ってしまい、その色をこの2つの空洞に写すことが出来ません。

 

 それに比べて、ここは美しく、素晴らしい。

 僕は地球をはじめて見たとき、胸を打つものがありました。」


 そう言っているヴァイスの顔は、わずかながら興奮しているように見えた。

 そう見えただけであって、実際は無機質な2つの空洞と三角にあいたへの字口が並んでいるだけだったが、そう見えるほどに、ヴァイスは熱を込めて私に語りかけていた。



 「ロートたちは、そんな美しい地球に住まう地球人を皆殺しにして、地球に移住しようと考えています。

 彼らは地球が、地球人が羨ましいのです。

 なので、地球を侵略する理由に憎らしさ、というものもあることでしょう。」

 「それで、ロートから地球を守るために地球人に超能力を与えてるってこと?どう?正解?」

 「だーいせーいかーい!あこちゃんすごい!あったまいー!」

 「ありがとう、でもなんでグラウがそこに介入してくるの?なんか関係あるの?」


 「僕らグラウはロートと敵対しているんです。

 惑星間が近いといろいろな問題が生じてしまって。

 ………奴等は自由過ぎるのです。こちらがわが被害を被ることだって少なくありません。

 だから、彼らが地球を侵略することは、僕らにとって心地良いものではないのです。

 なので、僕らグラウは地球側に味方する、と言うことです。

 しかし、僕らがあからさまに動いてしまうと、ロートの反感を強く買い、戦争になってしまう可能が有ります。

 それを阻止するために、ロートへの直接的な防衛は地球人にやっていただきたいのです。

 どうですか、あこさん。ご理解いただけましたでしょうか。」


 ヴァイスの空洞と、目が合う。

 ぶっ飛んだ話で、常人だったらすぐにはうんと頷けないようなこの状況に、私は高揚していた。

 超能力、超能力だ。

 アニメや漫画みたいなことが今、私の目前で繰り広げられているんだ。つまらない日常が、今日から、この瞬間から、ヒーロー物語へ改革するんだ!


 「理解した、大丈夫。つまりは地球を守るスーパースターになればいいんだよね、おもしろそうだし、私に任せて」

 「あこちゃん頼んだよ!地球の未来は君にかかっているぅ!」


 地球外生命体であるシュヴァルツが幼稚園児のように可愛く見えている私の頭は、今は相当ぶっ飛んでいるらしい。

 言うなれば、最高にhightってやつだ。

 少し笑みを浮かべている(ように見える)ヴァイスに視線をまた戻した。

 

 「それで、戦わなくちゃいけないロートっていうのは、どういう姿をしてるの?君らみたいな感じ?」

 「まぁ、大体似たような風貌だとは思いますが、色が違います。」

 「モノクロか、ビビッドカラーか?」

 「はい、そうです。白と黒で構成されているのが、僕らグラウです。また、目もあやな風貌なのがロートです。

 ロートは悪目立ちするのですぐにわかるかと。

 あと、超能力経験者からは少し離れていて見えなくても、そこに"いる"というのがわかるそうです。

 ロートの出しているオーラに超能力が反応するのでしょう。」


 そう言うと、ヴァイスはグラウ語だと思われる言葉を静かに唱えあげた。

 すると、黒いカーテンのようなものが、風に揺らめきながら私の身体を包んだ。

 カーテンに次々と黄色や赤色の光の線が入っていく。

 子どもが壁に線を引いているような、散りばめられている線を何を話すでもなく、ただ静かに眺めていた。

 すると黒だった色がすべて青色に塗り替えられていき、強い光を放った後に、弾けた。



 「あこさんに僕らが王のご加護を…………。」



 そこで私の意識は途絶えた。








 


 

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