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転生者の憂鬱  作者: 八緒あいら(nns)
第二章 少女編
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第五十一話「ルガト1」

~前回までのあらすじ~


無事にアリシアを救出することに成功したルガト。

しかしアリシアとの間にある溝は未だ深い……(と、彼だけが思っている)

<ルガト視点>


 僕はルガト。

 ルガト・ストリゴイ・ヴリコラカス。


 ヴリコラカス……と聞けば、この王都内であれば誰もが知る程度には認知されている一族だ。

 今でこそ『二人目の王族』なんてあだ名で呼ばれたりするけれど、もともとは何の力も持たない弱小一族だった。


 そんなヴリコラカス家を変えたのが、僕の祖父に当たる人物だ。

 祖父は、初代王が残した言葉――「ヒトの数と力の大きさは比例する」を本当の意味で愚直に実行し、一族の絶対数を増やすことに重きを置いた。


 記録によると、祖父には十数人もの妻が居たらしい。

 祖父の言葉を受け継いだ父の代でも、数多く妻をめとり、たくさんの子供をもうけた。


 単純明快な策ではあったけれど、今日(こんにち)のヴリコラカス家の称賛の声、そして築き上げた地位を鑑みれば、祖父の行動は正しかったと言える。



 ヴリコラカス家は代々、純血派という派閥に所属している。

 一族の数が増えれば様々な思想を持つ者が出るのが当然だが、方向性を統一するための教育はしっかりと行われていた。


 ヴァンパイア種族とは『管理する側』であり、王国に住まう他の種族は『管理される側』である。


 牧場で牛や羊を飼うのと同じように、この国はヒト科動物を『飼って』いる。


 それは決して悪い事ではない。

 僕らヴァンパイアは魅了術と言う途方もない力を持っているけれど、繁殖力は弱い。

 力を持たない種族を庇護し、数を増やすことで国力を増大させ、ヴァンパイアはそれを管理し整備する。


 純血派とは、互いの欠点を補い合う理想の関係の体現に他ならない。

 当然のように施された純血派の教育の中で、僕はそれが当然であると信じて育ってきた。



 ◆  ◆  ◆



 その考えを改めるきっかけとなったのが、僕がちょうど十七になった時だ。

 僕の通う学園では、本格的な冬を迎える前になると、ある催し物が開かれる。


 模擬魔法大会。

 生徒たちの間では『大会』とか『試合』と呼ばれているものだ。

 簡単に言えば、勝ち上がり形式の武闘会だ。


 魔法の習熟度を競い合わせることでモチベーションの向上を云々……という(うた)い文句だが、実際は学生のうちから目ぼしい生徒を選別するという、御上(おかみ)の都合によるものだ。


 ただ、逆に考えれば将来、王城勤務を目指すものにとっては自分をアピールする最高の場となる。

 なので自然と、試合内容は魔法が主体となっている。


 試合形式は様々だが、毎年目玉となるのが在学生と卒業生による親善試合だ。

 在学生は成績上位者十名からランダムで決定され、卒業生はその年、王国内で最も活躍した者が召集されていた。

 何の因果か、その年は僕が在校生代表になっていた。


「キミが対戦相手だね。よろしく」


 気さくな笑顔で握手を求めてくる、さっぱりとしたショートヘアの女性。

 彼女こそ、王国内で最も目覚しい活躍を果たした人物――つまり、僕の試合の対戦相手だ。


「カーミラ・ヴァムピールヅィージャ・ジャラカカスだよ。お互い頑張ろうねー」


「ルガト・ストリゴイ・ヴリコラカスです。こちらこそ、今日は胸を借りさせていただきますので、ご指導よろしくお願いします」


 彼女についての噂は幾度となく聞いてきていた。

 曰く、卓越した魔法の使い手である。

 曰く、格闘成績にて史上初、女性で一位をもぎ取った。

 曰く、あらゆる分野の学問に精通している。


 有体に言うなら、天才と評される類の人物だ。


「……」


「……あの、僕の顔に何か?」


 握手したまま、じっと顔を見つめてくるカーミラ氏。


「ううん――()()二人の弟くんって聞いてたから、ちょっと怖かったんだけど……君は良いヒトみたいだね」


 そう言って彼女はほっと胸を撫で下ろした。


 ――あの二人、とは、僕の兄と姉のことだろう。

 姉は彼女のことを「いけ好かない奴」とか「年下の癖に生意気」とか、事あるごとに吐き捨てていた。

 姉にとってカーミラ氏は同学年で同性、さらに王位継承権も近い上に親和派という、まさに不倶戴天の敵だったんだろう。


 兄も姉も、親和派をとにかく嫌っていた。二人の性格をよく知る身としては、カーミラ氏との間に確執があったことは想像に難しくない。


「身内がご迷惑をおかけしました」


「いや、君が謝ることじゃないよ」


 試合開始の時間になり、会話はそこで途切れた。


「じゃあ、やろっか」


「はい!」


 胸を借りる……とは言っていたが、もちろん負けようと思って試合をする訳じゃない。

 全力で立ち向かって、できれば――できれば、勝ちたい。


 思考を切り替え、目の前の人物を『敵』と捉え、意識を集中させた。



 ◆  ◆  ◆



 結果から言うと、試合は僕の負けだった。

 会場が湧き上がるほどに攻めと守りが交互に目まぐるしく入れ替わる、良い試合のように()()()()()()


「それでは、接戦を繰り広げた二人に大きな拍手をお送りください!」


「……」


 司会者の言葉で、カーミラ氏は声援を送って来た観客に手を振っていた。

 僕は挨拶もそこそこに、すぐ自分の控室に戻った。



 記録の上では惜敗……ということになるだろうが、実際は惨敗もいいところだ。


 最初から最後まで、彼女に主導権を握られ続け、いいようにあしらわれていただけだ。

 それを彼女が『気を遣って』見栄えの良い試合に『演出』してくれていたに過ぎない。


 僕の全力は、彼女の足元にも及ばなかった。


 これが、天才と凡才の間にある壁なのか。



 経験の差と言ってしまえばそれだけだが、それ以上の何かを感じ取り、気が付けば僕はカーミラ氏の控室を訪ねていた。


「先程の試合、完敗しました」


「いやいや。私もけっこう危なかったよー」


「ご謙遜は止めてください。僕が惨めになってしまいます」


「いやホントだよ?君の魔法の組み合わせ方とか、タイミングとか、私だったら全然思いつかないもん。君こそ自分を卑下しすぎじゃない?」


 カーミラ氏は僕の動きを一つ一つ取り出しては良いところを見つけ、褒めて下さった。


 通説によると、天才と呼ばれる人物は総じて傲慢なことが多い。

 そういう人種は頭が良すぎるが故に、凡人が馬鹿に見えて仕方がないのだという。


 僕の兄がまさにそれなのだが……カーミラ氏は兄と同じ領域に立っていながら、兄とは全く違っていた。

 彼女はその才能を鼻にかけることもなく、僕ら凡才と同じ場所に立って物事を考えている。


 ……敵わないな。

 そんな感想が、思わずこぼれ出てしまう。

 逆説的に、これほどまでの才女とぶつかり続けてなお心が折れない姉を尊敬してしまうほどだ。


 ……少し思考が違う方向へ伸びてしまった。

 折角の機会なんだ。彼女の戦術を学ばせてもらおう。


「ところで、あの体術の連携は一体どこで習ったのですか?教本には乗っていなかったと思うのですが」


「んー、あれはねー、どっかの傭兵のおっちゃんから教えてもらったんだー」


「……ヴァンパイアが傭兵、ですか?それは珍しい」


 カーミラ氏の「ちがうよー」の後に続けて出てきた言葉に、僕は文字通り天地がひっくり返るほどの衝撃を受けた。


「人間種族のおっちゃんだよ。その道十年っていうからすごいよね。傭兵って死亡率高いのに」


 人間……種族?

 庇護されるべき、僕らが守るべき種族が、あんな惚れ惚れするような連携を編み出したと?

 ありえない……絶対的弱者である人間が、僕らに思いつかないことを思いつけるなんて。


 胸中に渦巻いた疑問を表情だけで悟ったらしく、彼女は、にこりと微笑んで答えてくれた。


「確かに人間は私たちよりもある領域では劣った種族と言える。でもそれは私たちにも同じことが言えるんだよ?」


 ヴァンパイア種族が定める種族としての強弱の規定は、魔力適正の高さだけだ。

 カーミラ氏は、それのみを妄信する純血派の考えをむしろ危ぶんでいた。


「得意分野の違いってだけだよ。私たちヒトは、みんな同じなんだから」


「――」


 今日の彼女との試合が、のちの僕の運命を変えたと言っても過言ではないだろう。



 ◆  ◆  ◆



 カーミラ氏との試合以降、僕はヴァンパイア以外の種族に意識を傾けることが増えた。


 改めて注視していると、カーミラ氏の言っていた言葉に偽りはないことはすぐに知れた。

 彼らは僕らと同じように笑い、泣き、怒り、悲しむ。

『魔法に適性が無い』ということ以外は僕らと何ら変わりない。


 長らく意識の根底に根付いていた常識が、音を立てて崩れ落ちる。


 ヒトはすべからく平等。優劣を付けるなど、おこがましい行為でしかない。

 ヴァンパイア以外の種族は、管理される側でもなければ、飼われる側でもない。


 良き、隣人だ。



 しかし僕の意見に賛同する人物は、残念ながら家庭内には居なかった。

 純血派の考えを全て否定した訳ではない。親和派の考えの中でも、取り入れるべきものはある。

 そう意見しただけなのに、父に激怒され、兄に軽蔑され、姉に罵倒された。


 話を聞くどころか、精神に問題ありと判断され、しばらくの間は外出も禁じられ、純血派の教えを『再教育』された。


 僕は思い知る。

 この家に――純血派に、味方となる人物はいないと。



 ◆  ◆  ◆



 それから半年ほど過ぎ、一族に『精神の矯正に成功した』と思わせる程度に純血派を偽れるようになった。

 あの程度の罰で許されたのは、僕が父様の直系で、王位継承権が高かったから――利用価値があるから――に過ぎない。

 もしそうでなければ『忌まわしい名』を与えられ、殺されていただろう。

 ――もしくは、姉が死んだことで、これ以上ヴリコラカス家の者が継承者から減るのを恐れたのかもしれない。


 もう家の中で味方を探すのは止めよう。

 僕はあえて一族から孤立するような立地の屋敷へ、適当な理由を付けて移り住んだ。



 ちょうどその頃、学園では専属使用人制度というものが人気になりはじめていた。


 兄は制度とは別口で執事を雇っていた――戦場で拾ってきた、とか言っていた――ようだけど、僕はそれまで実家に居たせいで必要性を感じていなかった。


 しかし、独りで暮らすようになってから、使用人のありがたみを思い知った。

 僕一人では炊事も洗濯もできないのだから。


 申し込んでから三日ほど経ち、選抜されたメイドが派遣されてきた。


「は、はじめまして!アリシアと申します」


 それが、彼女――アリシアとの出会いだった。



 僕にとっては、初めて身近に接することのできる人間と言うことになる。

 しかも、それほど歳の離れていない女の子だ。


 彼女と接することで、僕はより親和派への理解を深めることができるかもしれない。

 そうすれば――もしかしたら、一族のみんなを説得できるほどの『何か』が分かるかもしれない。


 この時の僕は、そんな風に軽く考えていた。



 ◆  ◆  ◆



 事前に受け取った書類によると、アリシアは使用人養成学校で優秀な成績を修めていた。

 問題点があるとすれば、力仕事が苦手だということ、そして自分の能力を過小評価していること――と、記されている。

 客観的に優秀であると評価を受けている能力に疑問を抱くなんて、随分と謙虚な子だな――というのが、最初に抱いた印象だ。


 事実、アリシアは何の問題もなく実にスムーズに仕事をこなしてくれていた。


 ――変化があったのは、二週間ほど経ってからだ。


「おはようございます、ルガト様」


「おはよう、アリシア」


 その日の朝も、彼女はいつも通り朝食を用意してくれていた。

 彼女の料理は、実家でシェフの用意された品ばかりを食べていた僕からすれば……味という面ではやや劣る。


 しかし彼女の料理には、シェフには無かった、どこか素朴で懐かしいぬくもりが込められていた。

 家庭的、とでも言えばいいのだろうか。

 堅苦しい形式に縛られた食事ばかりを食べていた僕からすれば、それは今までに味わったことのないものだ。


 食事を楽しいと思えたのは初めての経験だ。


「それでは、紅茶を淹れて参ります」


「ああ。頼むよ」


 あまり仰々しく接されることを僕は好まない。

 最終目標は気軽に接することができる仲になることだ。

 今はまだ無理だが、このまま行けば案外あっさり目標達成できるかもしれない。


 食後の余韻に浸りながら、アリシアの淹れてくれる紅茶を待っていると――短い悲鳴と共に、がしゃん、と何かが砕ける音がした。


 急いで厨房へ回ると、地面にへたりこんだままのアリシアが、泣きそうな表情でこちらを見ていた。


「アリシア?何かあったのかい?」


「も……申し訳ありません!紅茶のカップを割ってしまいました!」


「――ああ」


 なんだ、そんなことか。

 本家に行けばいくらでも予備はあるんだし、それほど気にするようなことじゃない。


 大丈夫だよ、と。


 それより君に怪我はなかったかい?と。


 語りかけようとして一歩、彼女に近付き、手を、伸ばした。


「ひっ」


















 え?


 彼女は後ろに後ずさりし、恐ろしいものを見たように目に涙を浮かべていた。

 大きく開いた瞳には――僕が映っていた。


「本当に申し訳ありませんでした!カップは弁償します!何でもします!だから――だから――」


 何度も何度も土下座と謝罪を繰り返したアリシアは、最後に、ひと際大きな声で叫んだ。


「命だけはお助け下さい!」



 ◆  ◆  ◆



 僕が人間種族で、ヴァンパイア種族の屋敷に勤め始めたとしよう。

 主人のカップを壊したとして、平然としていられるだろうか?


 一言呟くだけで簡単にヒトを殺せるような力を持っている相手と、本当に仲良くなれるだろうか?

 僕は……とんでもない思い違いをしていた。


 何が……仲良くなれている、だ。

 何が……すぐに目標達成できる、だ。


 ヴァンパイア(ぼく)人間かのじょの間にあった溝は大きく、深く、簡単には飛び越えられないものだった。

 それに気づかないまま、悪戯に溝を大きくしてしまった。


 弁解をしようにも、一度心の中に芽生えた恐怖心は、そう簡単に消えるものではない。

 その一件を境に、アリシアはどこかぎこちなく接してくるようになった。

 自然と、僕もぎこちない対応を取ってしまう。


 そして、アリシアは成績表で懸念されていた自らの自信の無さを肯定するように、失敗を繰り返すようになっていった。

 命を取られるかも、という恐怖を前にすれば、どんなに優秀な人物だろうと本来の能力は発揮できない。


 どうにか以前の関係に戻そうと試行錯誤したけれど、修復することはできなかった。

 今では完全に嫌われ、恐れられてしまっている。



 このことを相談しようにも、家族に味方はいない。

「人間種族と仲良くなりたいけど、どうすればいい?」なんて言ったところで、また『再教育』されてしまうだけだ。


 唯一相談できそうなのはカーミラ氏だけだが、彼女と連絡を取ることはできない。

 純血派の僕が、親和派筆頭であるカーミラ氏と連絡を取りたがっている――字面だけ見れば、立派な背徳行為だ。

 いくら僕がヴリコラカス本家の直系でも、『忌まわしい名』を付けられることは避けられないだろう。


 八方塞がりだ。



 ◆  ◆  ◆



 その日は珍しく、アリシアが上機嫌だった。

 いつもと違う環境で親睦を深めようと応募した討伐訓練――当日、急な仕事を兄に頼まれ、僕は行くことはできなかった――は、良い息抜きになったんだろうか。


 彼女の機嫌を損ねないようにさりげなく理由を聞いてみると、友達ができた、と言う。


 新たな友人は古風なメイド服に身を包み、料理だけでなくテントの設営や罠の設置など、普通のメイドが学ばないことまでそつなくこなすという。

 そして彼女の琴線を大きく震わせたのが、小柄で愛らしい外見に反した言葉遣いだという。

 その落差が、たまらなく、悶えるほどかわいいらしい。


 こんなに饒舌な彼女は初めて見るな――なんて、少し嬉しくなりながら話を聞いていると、そのメイドは()()イワンの専属使用人だという。


 イワン・ヴァムピールヅィージャ・ジャラカカス。


 カーミラ氏の、弟だ。

 ヴァンパイア種族なのに魔法を捨て、剣のみを鍛え続けているという変わり者で、姉とは違った意味で学園内では割と有名人だ。

 その専属使用人――エミリア、というらしい――と面識ができれば、カーミラ氏と連絡を取ることも可能になるかもしれない。

 僕がカーミラ氏と直接連絡を取ることはできなくても、『アリシアとエミリアが茶会を開く』という(てい)にすればカモフラージュにはなるだろう。


 その時、伝言を頼めばいい。

 もしくは、エミリアが間に入ることで僕とアリシアの間に横たわる溝に掛かる橋を作ってくれるかもしれない。

 あるいは、イワンとエミリアはとても仲が良いらしいので、何かいいアドバイスを聞けるかもしれない。


 一時は諦めかけていたが、一縷の希望の光が見えてきた。




 そう思っていた矢先――アリシアが、行方不明になった。

NG集


『血筋』


 兄も姉も、親和派をとにかく嫌っていた。二人の性格をよく知る身としては、カーミラ氏との間に確執があったことは想像に難しくない。


「身内がご迷惑をおかけしました」


「いや、君が謝ることじゃないよ」


「じゃあいちいち言ってくるなよ」


「うわーん!やっぱりあの二人の弟だー!」



『変化』


――変化があったのは、二週間ほど経ってからだ。


「おはようございます、アリシア様」


「おはよう、ルガト」


その日の朝も、彼女はいつも通り僕の用意した朝食を食べてくれた。

僕の料理は、どうやらアリシア様の好みに合っているようだ。


料理を楽しいと思えたのは初めての経験だ。


「それでは、紅茶を淹れて参ります」


「ええ。頼むわ」




「変化ってレベルじゃねーぞ」



『後付け』


……少し思考が違う方向へ伸びてしまった。

折角の機会なんだ。前から疑問に思っていたことを聞いてみよう。


「そういえばカーミラ氏。十九話や三十五話であなたは魔法大学に通っていると仰られておりましたが、今の物語の舞台は学園と呼称され、大学とは一言も明言されていません。何故あなたが卒業生として試合に出たんですか?」


「…………………………」


 驚くほどたっぷりと時間を掛けた後、彼女は苦しそうに、一言漏らした。


「と、統廃合で、大学から学園に名称が変わったんだよ。たぶん……」


「……」


 誰が、とは言わないけど。

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