Episode1 なくしたもの
こんにちは。
「悲劇の姉妹」
と言う言葉に酷く反応していたのは柊哉だった。震えながら目を見開いて、動悸がする身体を必死でなだめようとしている。
「う... あ....」
涙を堪えて嗚咽に呑まれないよう口を開けている。 目を閉じて苦しさから逃れようとしているものの....。
皆が柊哉の元に駆け寄り必死に介抱しようとするが、柊哉は介抱されるのを拒否していた。
手を振り払い、頭を横に振りながら。
「私がやります!」
#
あの長い長い廊下はいつにも増して長い。
というのも。
柊哉を肩に抱き抱えながら足を引き摺る。
柊哉は完全に意識をなくしているようで重い。
人間は意識をなくすと力が入らなくなるようで、まあ重くなるらしい。
それは、柊哉が生きているという証拠でもある。
自分の未熟な足首がガクガクと震えていて痛い、というよりかは疲れた。
やっと柊哉の部屋に着いた時には肩もガクガクだった。
「よっこいしょ...っと」
柊哉をベッドの上に寝かせて氷を入れたビニル袋を額に乗せた。カイロのような熱さが手に染み込んだ。熱なのかどうかは正直わからないのだけれど。
刹那、柊哉が目を覚ました。
薄らと開いた目は、私を確認した途端大きく見開かれた。
「響歌!?」
「横になってて!!」
「よかった、夢か....死んでなかった....」
そう言うと柊哉はいけない事を口走ったように動揺しながら口を抑えた。でも私なんかに遠慮してほしくなかった。
「言って」
笑顔を見せながらも心の中では苦しかった。
「響歌がまた...死んじゃう夢を見たんだ」
柊哉は本当に息が詰まったように苦しそうだ。
私は柊哉の背中をさすりながら、全て自分が悪かった事を思い出した。
私が死にさえしなければ、柊哉は死ななかった。私がいなければ、柊哉は苦しまなかった。
.....後悔しかなくて。
柊哉の前で泣いて、吹っ切れた。
戦いの前、柊哉にちゃんと謝ることができた。
自分に自信がついた。
それは悪い自信だった。
私響歌みたいなやつは嫌です..泣きすぎ...メンヘラ..
次はepisode2にいく予定です。
今後とも宜しくお願い致します。