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カルマと不等号  作者: あじゅまりん
Episode1 成れの果て
4/11

Episode1 恋。故意。乞い?

こんにちは。

今回題名を決めるに当たって無駄に悩みました。

恋愛系といいますかそちらの方の話があるかなと思ったのですが題名出ず。

なのでただ普通にこいって打ってみたんですよ!そしたら予測変換凄い出てきたのでそのまま使いました(笑)

#

びっくりした。私の記憶は一瞬にして浮き上がってきたのだ。

「うわっ...うわああああっ」

柊哉だと思った。身長は高くて焦げ茶の髪。優しい目に、少し崩した自分と同じ学校の制服。

範疇していた柊哉では収まりきらないくらい格好良くて思わず絨毯を濡らしてしまった。


向こうも同じようだった。まるで鏡のように同じ反応をしていて笑いが止まらなくなっていた程だ。

知らぬ間に朔はいなくなっていて、部屋に二人きり。


「柊哉...」

後悔と虚栄心で心はズタボロだった筈なのに

今は何故か恥ずかしいほど単純な感情で表せる。

「柊哉が大好き。」

これからの戦いだってもう怖くないように感じた。


久しぶりに向き合うのに、懐かしくて仕様がない。


「私は.....私....ごめんなさい!殴ってください...」


自分でも何言ってるかよくわかんなくなったが

自分が言いたいこと、『ごめんなさい』

と言えてよかった。私はこのことで後悔したくなかった。


柊哉は手を振りかざすようにして私を殴ろうとした。だが殴らなかった。


「何言ってんの。可笑しくなっちゃった?」

「響歌は何も悪くないよ。会いたかった」



その声で私は天国に来たと実感した。



#

あっという間に時間は過ぎた。

柊哉と話している間は、生きている心地がしていた。ただ......セナさん、ルノア、里蘭が帰ってきたのだ。見るからに違う姿で。


「あれ、里蘭ちゃんは...?」



セナさんもルノアも表情を曇らせていて私は悟ってしまったのだ。

隣にいた柊哉は何のこっちゃ、周りを見渡している。朔さんも俯いた。


私はこの場にいるのが怖くなっていた。

「も、もしかして」

逃げる様に部屋を出ると「響歌!」と柊哉もついてきた。


「おい朔...アイツら知り合いだったのか?」

と小さい声が聞こえた気がした。


「響歌!響歌!どうしたの!?」

柊哉は鈍感だった。里蘭の事を知らないにしてもだ。


「ほ、ほっといて」

まだ会って二日目だからといっても身近な人がこうなるのは初めてで涙を堪えていた。


やっと悟ったのだろうか、はっと息を呑んで私の手を握ったのだった。


「ごめん」


怖かった。自分が死ぬことではなくみんなが死ぬことが。



「菊....」



#

故意にも僕は響歌が好きだった。

何もできなかったくせに、手なんか繋いで。

抱きしめた時には動脈も静脈も1つになったようにこんなにも自分を知れた。



「慣れねえな...このふかふか絨毯」


3mも幅のある廊下はどこか不気味で優雅だった。


「...響歌のヤツ。」

この前里蘭さんという人が死んだらしい。

この集団の中でも仲良くしていたそうだ。2日だけだが。


「あっ...こんなとこあったんだ」

硝子張りの天井、天窓だった。

星が己を主張するように輝いていた。

そんな中に僕は1つの星を見つけた。消えそうで、でも消えれない、控えめで掠れた星だった。

まるで死ぬ前の響歌だった。


知らぬ間に僕は星に向かって手を伸ばしていた。

「届かねえもんな....」

僕は本当に響歌なのではないかと思うくらいにその星が印象に残った。



「何してんの?」

響歌だった。恥じらいから手をすっと引き込めた。


「ああ、ここ見てた。知ってた?この場所」

「....」


「え、あっ...」

響歌は微笑んだのだった。

「私みたいな星がある」

響歌の指を指した先はさっき僕が強烈に惹かれた星だった。

「.. 強いくせに弱そうにして意外とまともなのに人と違う所気にしてんの ね」

響歌は辛そうだった。


「馬鹿みたいじゃんね、私。別に特別苦しんだわけじゃないのに。」


鼻を啜る音が反響すると、響歌はじゃねといって部屋に戻った。何が起こったのかもわからない。

「また...何も出来なかった」

柊哉は劣等感に襲われた。


#

部屋に戻りふっと目に飛び込んできたのはハサミだった。


「ぁ....ハサミ?」

知らぬ間に手を伸ばし、手首に当てていた。

我に返った。

自分に嫌気がさして笑うしかなかった。


この部屋がまた落ち着かなかった。

ハサミを強く押しあてすぎて、軽く跡が残った。


「自分で自分嫌いになってどっかの歌詞みたい」


柊哉と会うのが億劫になった。でもやりきれなくてどうしようもなくて、朔の部屋に行っていた。

もう、人に迷惑かけてばっかり...ただ、耐えられないの。


「朔さん...」

「宇佐美、またどうかしたのか?」

「わたし...」



怖いぐらいに自分で自分を嫌いなことを自覚した。

死んでいるのに死にたくなった。



「どうしたら...いいでしょうか」


「自分で自分を傷付ける、なんてことだけはやめとけよ」




#

少し開き直れた。自分に自信をもったことによってこんなにも楽になるとは。まだ二日目、こんなんで過ごしていたら途方も無い。


朝食はエッグベネディクトだった。

想像以上に豪華だったが味はしなかった。

そう感じる、というわけではなく本当に。


遂に私も戦闘に出るのだから、覚悟は決めなけれぱいけない。けれども心がついていかなかった。

私に与えられた武器は大型スタンガン。人を殺すことはできない。

でも響歌はそこが引っかかる所であった。

周りの仲間、柊哉ですら銃を使う。銃で頭を撃ち抜けば即死、辛いのは一瞬だった。

スタンガンは人を苦しめ、痙攣させ、動けなくする。

今の私と反対に体がついていかないのだ。


故意にも当ててしまったら...

前の世界では犯罪者だ。

勿論の事、銃の方が刑は重いにしても。

唯唯それが怖くて奉公できずにいたのだ。



#

「今日対戦するのは東の方のグループだ。」


ルノアが口重そうに説明していた。いつもはもっと淡々としていた。辺りを見渡してみてもどよめいている。


「.....手強いから頑張れ」


ルノアが言うには私たちのチーム、グロリアスと正反対の東のチームと今日は戦うらしい。

そして最強。

初陣で最強とかついてないな。

ちゃんと役に立てれば嬉しいけれど。

...それにしても。

私と柊哉以外のメンバーの顔からはあからさまな動揺が見えるのだ。

「あの、どうされたんですか?」

勇気を振り絞って聞いてはみたものの、返事は来なかった。

「聞く覚悟は?」とセナが尋ねてきたのでそこまでなのかと思い億劫になった。が、折角なので聞くことにした。

「....今回戦うチームは里蘭より前にいた仲間を殺した奴らだ。」

「簡単に言えば惨殺。...じっくりと嬲り殺す。」


一瞬皆の顔が青ざめた。


「柚蘭。里蘭の姉貴。明るくていい奴だったよ」

「最後まで戦い抜いて死ぬときも優しい顔して...」



「悲劇の姉妹だったな」


その言葉に酷く反応していたのは柊哉だった。








初陣....妊婦か。

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