Episode1 カルマに後悔
キャラクターの名前を決めるとき、大体友達の名前を勝手に使っています。
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一人でこの長い廊下を歩くのは気味が悪い。
天鵞絨は無駄にふわふわしている。
部屋のデスクの一角に貼ってあった部屋割を見ながら、私は朔さんの部屋に向かった。
ルノアにも聞いたあの質問をするためだった。
胸の重りを取り除くためだ。
ノックを三度し、どうぞという声を聞いて中に入った。
「どうした?」
朔さんはベッドの上であぐらをかいていた。
部屋はモノトーンで統一されている、何とも朔さんらしいものだった。
「少しお話したいなって」
私もベッドの上に座らせてもらった。
「...柊哉って人を知りませんか?」
柊哉に逢いたいけどそれは同時に柊哉に死(まあ、死んでないかも)を求めることになる。まあ、可能性は0に近いけれど。
期待と不安が降り混ざっていた。
「鼎の事か?」
鼎。聞いたことのない言葉。柊哉の苗字は確か...漢字二文字だった気がする。んだけれど。
「鼎柊哉...。17歳でこれから新メンバーとして加わる奴だけど知ってんのか?」
鼎っていう苗字は聞いたことないけれど、17歳でこのタイミングって...。少し寒気がした。
もしあの柊哉だとしたら、私に次いで自殺した可能性もある。
「私の大好きだった人です」
急に手首がぴきっと痛んだ。
自殺という言葉は忘れたつもりだったけど、いざ私がそんな事をしたと考えると辛かった。
「痛い.....」
柊哉は。本当にあの柊哉なんだろうか。
顔も性格も曖昧だけど、柊哉が好きなのは覚えているから。ずっと私を支えてくれた柊哉は自殺しかねないと思った。あまりに自意識過剰なのはわかっている。
もし柊哉だったら真っ先に謝りたい。死んですいませんでした。死なせてすいませんでしたって。
そうはならないで欲しいけれど。
死ななきゃよかったなあ。
涙が溢れた。
死ぬ事は誰に対してもメリットがないって。今更気付いても遅いのに。
「おい宇佐美、考え過ぎんなよ」
朔は笑顔を見せた。
朔は多分察したのだろう。何事もないように接してくれた。
ふと、朔の元に電話がかかってきた。
「ごめん」
「 はい、...。早いですね.....。わかりました。」
改まった態度に私もまた、それを察した。
「柊哉の事...ですよね」
「 もう来る。多分な。」
えっ───
あまりに唐突でこちらも準備が出来ていない。
私の頭は真っ白になり涙はすっと引っ込んだ。
空気を満たしていたのは私と朔の香水の匂いだけだった。
「どうしよう.....」
「もう城まで来たそうだ。その格好やめた方がいいんじゃないか?」
縣って、かっこいい!←