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最弱者として生きるモノ  作者: 白月楓
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予期せぬ衝動

その頃のお偉いさんがたは


ーーーーー

【鹿羽上陸前】


「いったいなんだというのかね不動くん。あのモルモットは消えたのだろう?…いや、どこか遠いところに封印してきた、そうなのだろう?」


「ええ。それは間違いありませんが……ただ、鹿羽は死にません。むしろ死を凌駕しています。私らに測れるものではないのでそう簡単に消えたと断言することは致しかねます。」


不動、と呼ばれた男は硬い口調で目の前の男に話す。


「しかし、type-00との接触だけは自信を持って否定できます。そこだけはご安心ください。」


「……不動くん、君には何度も何度も助けられてきたが…………type-00、つまりレイとの接触は完全にない。これを言い切るに当たり私は一抹の不安を覚えるよ。君はあらゆる可能性を考えて判断してきた、だからこそ心配するぞ。」


不動と話すその男性は絶対的自信がある不動に対して嫌な予感がする、そう遠まわしに伝えているのだ。


「ええ、type-00は鹿羽が来るであろう日数よりその前に完成します。そもそも船も何もない場所からの泳ぎでは……。」


ですので、と続けて残りのその自信の根拠たる部分を説明していく。


それが、その予測が、自分の人生史上最大の過ちだとも気付かずに。


「………以上です。私はそろそろtype-00の学園に戻らなければならないので。それでは失礼します。」


ガチャリと扉を閉めて去っていく不動。その後不動と会話していた男は不安げに溜め息をこぼしこれでいいのだ、これで…。と誰に聞かれるわけでもなく呟いた。


ーーーーー


AM4:30


「ふむ、ジャパルで間違いないそうだな。ラッキーラッキー、短い期間で着けたのもそうだが、うむうむ!」


しばらく探索して思ったことがこれだ、取り敢えず家の作り方やらちらほら起き出している人物の顔つきはジャパル特有のもので間違いない。


「………さて、ついたはいいがこっからどうすっかねー、『奴らに負けない』なんてもう当たり前だし………平和なんて望まないし………。しょうがない、殴り込みに行くか!」


思い立ったが吉日、俺はルンルン気分で鼻歌交じりに歩き出そうとした。


ところがその俺の肩を誰かが掴む。


「………あんた、なんで生きてんの?」


そこには偶然にもほどがあるだろと突っ込みたくなるくらい運命を疑う人物………シエルがいた。


「あ、おねーさん久しぶりー!元気だったー?なんか雰囲気変わったねー、元の仕事辞めちゃったのかい?」


あたかも自然そうに振舞う俺だが実は少し驚いていた。それは向こうも同じっぽかったがこちらよりも動揺している。


「え、えと、あんた確か失楽園に落とされて………ん、あ、まあ、元気だったけど………え、あ、ん、教師になった。」


混乱しながらも俺が聞いた質問には答えてくれるらしい、なんて親切なんだ。


「ほうほう、それはそれは。俺があげたアーティ…お守りはつけてる?」


「…!!そ、そうだ、その件なんだが私が教師になったあとこのお守りとやらを持って事故にあったんだよ!事故にあったんだが私が無傷で車がペシャンこになって…どういうことだ!?私の持ってるものではお前さんからもらったモノ以外では要因が考えられないんだよ!」


「おぉう…早速事故に遭うとか目を付けられてるのかねぇ。そうだ、教師ってどこの教師?」


いろいろ言われたが取り敢えず話をそらす努力をしてみた。


「こ、ここから少し歩いた場所にある都立の高校だが…ではなく私の質問に答えてくれ!」


ふと、名案が浮かぶ俺。


「……………あっ!そうだ!お姉さん、あの約束じゃなくて俺をそこに入れてくれない?入れてくれたら今のことも含めて全部説明するからさ!」


「う、うむむ…別に私は約束などは……だがまぁ、うーむ………まぁ、色々聞きたいこともあるからとりあえず私の家に来るといい。」


少年&お姉さん移動中


「そ!れ!で!はい!説明してくれるんだよな!」


何故かすごい気迫で説明要求されました。まぁ、説明しても困るものではないから答えるのだが。


「かくかくしかじか四角いム〇ブラジルです。」


「古いわ!しかもブラジルって何!?それと意味わかんない!いまどきそれで伝わると思ってるの!?」


キレのあるツッコミ三連発に俺は少し驚く。まさかここまでだとは…俺は彼女の力を甘く見ていたのかもしれない。


「何驚いた顔してるの!?当たり前だよ!?ねぇ、これ当たり前だよ!?」


「……え、えっと、どこから説明すれば?」


「……はぁ……。まずなぜこの国にいるのか、その次にこのお守りのこと。その次に良かったら凛歩、だったか?…まぁ、つまりお前さんのことが知りたい。」


丁寧な対応にやはりこの人には抜け目がないなと思ってしまう自分がいる。自分が相手をイラつかせるタイプの人間だからそう感じるんだろうか?それはないと思いたい。


「まず、そうだなぁ……。」


それから俺は今まであった事を話す。屍喰鬼を倒してここまで来たこと。小さな獣が俺を助けるような事をしてくれたこと。その後にアーティファクトの説明、その都度に彼女は絶句していたが俺は気にしないように淡々と事実を述べていく。そして俺自身のことも喋った、嘘偽りもなく。


「俺は、誰かが存在している限り最強でいられるし強過ぎる存在であられる。だけど、それでも誰かがいないのならば俺は最弱、それが俺の能力の進化、侵食、因子の欠点さ。」


この世界には『固有技能(ユニークスキル)』というものが存在するそれは魔法、魔術という概念とは別に存在しているものだ。そのスキルが三つもあることに彼女は驚きを隠せないのか口を開閉していた。


「さて、じゃあ、俺を学校に入れて欲しいかな?ダメ?ダメでも無理やり入るけどねー!」


「…………………………と、まて。整理させてくれ、つまり、無敵になって帰ってきた、と?あと学校に入れるかどうかは私の一存じゃ決められない、学校長に聞かなければ………。」


「そ。あながち間違いじゃないよねー、一瞬で消滅するエネルギー弾をくらっても息ができない空間に放り込まれても、俺は死ねないからねー。殺せないなら負けはないし。無敵っちゃ無敵?……そっかー、ならその人にあって話さなければいけないのか。」


なんともまぁ、飲み込みが早いこと。おじちゃん驚いちゃったわ。っと、じゃなくてどうするかなー、このあと。

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