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最弱者として生きるモノ  作者: 白月楓
3/4

もふもふはもふもふしていた

それから更に五ヶ月後。


凛歩は鍛えながらも屍喰鬼や他の魔物も狩っていた。それはもう数え切れないほど。日に当たっても大丈夫な魔物でさえその数は1000を超える屍となり彼のそばに転がっていた。


「……っし!これで終わりかな。さて、ここが亡者との失楽園ってことは分かってるから……東に泳げば着くな!よし!」


「ねぇ、あんたってつよ……い、ね。ごめん、その光らせてる手を下ろしてくれないかな?」


声が聞こえると同時に後ろに回る。少しだけ自分の反応速度に感心した。


「いや、ほら、俺っちもここから出して欲しいなーって思って……。」


え?なに?担いでおよげと?みたいな目線を目の前の……目の前の……狐?に向ける。


「狐と狼みたいなものだよ俺っち。あ、そうそう、船はあるんだ。ただこの海域にサメの魔物がでるから安易に抜け出せなくて……」


「ほう、船とな。」


俺の言い方完全に悪役っぽくなかったか?後もふりたい、すごくこの狐と狼みたいなものもふりたい。


「どうかなぁ?俺っちも一緒に連れてってもらえない?」


「もふらせてくれるなら……オッケーさ。」


も、もふ?と少し困惑した声があがるが悩んだあと別にいいぞ?とオッケーをもらったので一緒に脱出する仲間も増えた。


「……こいつかな……。」


それは誰にも聞こえないように呟いた言葉。無意識につぶやく程度の言葉。


「ん?何が俺なんだ?」


しかし俺は聞き逃さない。なぜならコイツは怪しすぎるからだ。なぜならコイツには体にまとっている魔力(気配)が綺麗に消えている。なぜならコイツがでてくるまで俺はコイツに気がつかなかった。


「……時期にわかるさ。しばらく俺っちと一緒にいたら、だけどな!」


俺には自信がある。気配が消せる程度じゃ俺は殺せない。だが、やはり気配を断たれると殺される確率は上がる。だから警戒するに越したことはない。


「ふぅーん、そっか、なら船に乗ってさっさと脱出するぞ?」


だからこそ軽く流した。いくらもふもふが強かろうが俺には到底及ばないだろうという満身を抱いていたから。


そして、それを冷たい目で見るもふもふにも俺は気づいていた。


「あ、そこの砂浜を越えたところに繋いであるぞー!」


先に行く俺を追いかけてくるもふもふ。その目はやはりどこか俺の中を見てるようにしか見えなかった。


そして船に乗りしばらく経った頃。


「……なぁ、こんなでかいサメいるのか?食えないくらい固いし……。」


俺たちは船(意外に高クオリティな木製の船)に乗りながらサメの魔物とやらを狩っていた。完全に見た目はただのサメです。


「……いやぁ、そこまでとは思わなかったなぁ。俺っちたぶん5匹くらいまとめて襲ってきたらお前さんも死にかけると思っていたんだがなぁ。」


と、ここで謎のカミングアウトが入るもふもふ。


「あぁ、俺は殺気とか威圧とかそんなもの出せる程度に憎いとか思ったことはないからさー、よく実力間違えられるんだよね。……で、一向に島が見えないのはお前さんのせいだろ?」


ここぞというタイミングで責めいることを忘れてはならない。俺らは、随分前に島を出て島が見えなくなってからも時間が経っている。少しくらい別の風景が見えてもおかしくない筈なのだ。


「まぁねー、あんたがそこまでやるとは思わなかったよ。名前聞いてもいい?よければ俺っちの名前も聞いてくれると嬉しいぜ!」


「……普通そこはさらりと認めるところじゃねぇだろ……はぁ、名前は鹿羽凛歩、凛歩って呼んでくれ。もふもふの名前は?」


「いいじゃんいいじゃん、細かいことは気にしちゃダメだぜ!俺っちの、俺っちの名前はメルク。久々にマスター以外に名前を聞かれたぜ……!まぁ、名前を教えることを許さなかったんだけどな!」


「……で、どうやって出ろと?この結界壊そうと思うなら因子使えば余裕だしなによりもふもふを殺した方が早いだろ?殺っていい?」


俺は別に会話に興ずることに集中してるのではなくこの数奇な現象を打破する方法に集中しています。


「おいおい、洒落になってねぇぞ!……もう少し待ってな。お前の行きたい場所ジャパルに着くぞ!」


あれ?俺の行きたい場所がなんでバレてるんだ?


「あぁ、東に行きたいって言ってたからな。きっとそうかなー、なんて俺っち思って。」


どうやら俺は結構顔に出るらしい。思ったことも答えられた。


さて、しばし話しているとこれは高速で海自体をこのもふもふが動かしているらしい。だから背景も変わらなかったんだと、島が見えないように動かすことは結構疲れるらしい、なぜそんなことをしたのか聞くとまた「俺っちと一緒にいたらわかる」の一点張りだった。安心した俺はこのもふもふをもふり倒すことを決意した。


「……」モフモフモフモフ


「ちょ、まって、そこは……あっ!」


「……」モフモフモフモフモフモフ


「だめっ、おね……がっ……はぅ……!」


「……」モフモフモフモフモフモフモフモフ


「んんっ……はぁ、はぁ……もう、お嫁に行けない…。」


ってことでもふりました。そしたらしばらくもふることを禁止されました。解せぬ。


そしてまたまた時間は飛び、時は三時間後。


ーーーAM12:01


「暗いな……。ま、それでも着いたな、帰ってきたぞ我が故郷!」


夜中に帰ってきて少しがっかりしているがそれでも普通に漕いだら一週間近く、もしくはそれ以上かかるみたいだったからよしっちゃよしだな。


「……さて、ここらで俺っちは少し用事があるんでここで少しお別れさ!ま、どうせすぐあとで会うことになるんだけどな!」


ふふふっと笑いながらもふもふは意味深なことを言って離れていきました。


「あー、もふもふが離れていくー」


少しだけ残念そうにもふもふを見送る。


「……あのさ、俺っち名前教えたよね?なんでいつまでもふもふなの?もう俺っちにもふもふでいろと?」


「はよいけもふもふ。答えはイエスだ、じゃあな!」


見送ったら後はどうでもいいので対応はひどくなります。そしたら少し泣きながら「べ、べつにもふもふでもいいし」とか言いながらさって言った。


「さて、俺は……もう貞操とかどうでもいいしなぁ……。」



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