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理子の名案で作戦第二弾が始動していた。それはただ、誠一を生徒会長に推薦するというものだったりするが。
教室では誠一がいて作戦を聞かれてしまう可能性がある為、私たちは屋上前の階段に座り、会議していた。
「でも、3年生とかで立候補してる人がいるとやっぱり選挙では不利になると思うの」
「ふむふむ…」
理子はすっかり私に協力してくれている。頭のいい理子と行動派の私が手を組めば怖いものナシ!!(ちなみに私たちは2年生)
「まさか生徒会長に立候補する人が誰もいない、なんてことないだろうし…」
「そうだよね~……」
「そうでもないみてぇだけど?」
「ッ!?」
私たちは背後から聞こえた声に、心臓が飛び出るくらい驚いてしまった。
振り向くとそこには見覚えのある顔が…
「雄斗!!もぉビックリさせないでよ~…昨日といい今日といい…」
「わりぃわりぃ♪」
そう言って雄斗はなにも悪びれた様子もなく笑った。
それにしても、この階段の上から来たってことは、雄斗はまた屋上に行ってたんだな。立ち入り禁止なのに。
「それより雄斗。そうでもないってどういうこと?」
「それがよ、今年の3年生ってもうだいたいが進路決まってんだって。だからわざわざ生徒会長やって評価あげることねぇし、2年生も1年生も今のところ推薦のみ」
「へ~…そうなんだ!じゃあいけるかな、理子」
「え、あ…うん。いいんじゃないかな」
理子は私の顔を見ないで答えた。その様子は明らかに変だ。目が泳いでるというか、気まずそうな顔をしていた。
そして私の視界には雄斗が入ってきて、なんとなくだが予想がついた。
「それよりさぁ彩音。それって誰を生徒会長にしたいわけ?」
「え?誠一だよ。雄斗も応援して~!」
「げ…フツーに嫌だろ。あんなのが生徒会長になったら俺、登校拒否する」
「えー!?」
「アイツの支配下で俺は生活できねぇ…」
支配下って……
呆れる私をよそに、ツーンといった顔をしてそっぽを向く雄斗。…よっぽど誠一がキライらしい。
「それに、俺も推薦されてっから。生徒会長の座に」
「え!?うそっ!?なんで!?」
「なんか俺のファンだっていう女達が勝手に。まぁ当選しちゃったらごめんってことで」
雄斗は私たちにヒラヒラと手を振って去っていく。その姿に私たちは立ち尽くすしかない。しかし私はこみ上げてくるものを抑えきれなかった。
「な…なん……なんですとーー!!」