6.担任との対話
放課後。新田は私に声をかける。
「少しだけ時間、もらっていいか」
私は一瞬、肩をこわばらせる。
やはり知られた。怒られる。説教かもしれない。
窓際の席。夕方の光。
新田はすぐに本題に入らない。
私の背中に嫌な汗が流れる。
新田は口を開く
「最近、保健室に行くことがあると聞いた。
体調が悪いのか?」
責める口調ではない。純粋な確認のようだ。
しかし、授業は出ている。迷惑はかけていない。
だから言う必要はないのでは。
けれど、楊先生の言葉がよぎる。
「……授業は大丈夫です。
でも、自習がうまくできなくて」
楊は続ける。
「困っているなら、成績や出席とは別に考える。
それは約束する」
「私は…」
私は言い淀んだ。怖いけど、全部は話せないけど…
「……少しだけ、朝が重いです」
楊は深く追わない。
「分かった。
保健室に行くことがあっても、私は問題にしない」
翌日、昼休み前。保健室。
養護教諭は記録をまとめている。
「木下先生、少しご相談があって」
新田の声は、昨日より慎重だ。
「うちのクラスの天宮のことなんですが。体調不良で何度か来ていると聞きました」
木下は保健室の利用ノートを見て自分の記憶を振り返る。
「頭痛と倦怠感が多いですね。検温ではほとんど異常はありませんが」
新田は少し迷ってから言う。
「学業面に問題はありません。ただ……本人が少ししんどそうで」
木下は少し考え、静かに言う。
「スクールカウンセラーの面談、提案してみますか?」




