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3.初めてのhelp

私には、受験のために朝早く学校に行って19時、21時と居残りで勉強するのが高校2年生の時からのルーティンがあった。そのルーティンが少しずつできなくなった。

その度に私の中の「○えたい」「○にたい」

増えているのを感じた。

元々両親の不仲や小5の父の身体的虐待などが問題であったときから薄っすらと常に存在していた希死念慮。

今回ばかりは大きく大きく私の中に入ってきている気がする。


最初は、「最近、受験勉強忙しいしちょっと疲れてるだけ」と流していた。

それは、あまり良くなかったのかもしれない。

日に日に私の心の中で膨れ上がってるのを感じた。


もう限界だと夜1人で何度も何度も泣いて泣いてーー

「心が苦しくって仕方ない」

「誰かに助けてほしい」

そんな気持ちが芽生えた。

誰に相談すべきか分からないけど、自分1人きりで抱え込むにはもう不可能となっていた。


高校の職員室ーー

誰もが出入り自由で仲良い生徒と先生の談話会がよく開催されている。

私は迷わず、高1のときからずっとお世話になっている数学の先生の机のところに行った。

「すみません、楊先生」

楊先生は顔をあげた。

「はーい」

「楊先生、少し相談したいことがあって、いつお時間よろしいでしょうか?」

「明日の昼休みなら大丈夫だよ。天宮さんの相談って進路のこと?」

「いえ、ちょっと最近色々と勉強に疲れてて…」

「そっか、明日話聞くね」


翌日の昼休みーー

昼休み前の授業が終わるとすぐに職員室に向かった。

「楊先生…」

「相談の件だね」

楊先生は、手招きして近くの椅子を持ってきてくれた。楊先生はいつものおちゃらけた空気感を少し減らしていた。

「進路以外の件で相談だったよね」

「はい、最近勉強しなきゃと頭で分かってても中々進まなくて、あんまり眠れないんです。」

楊先生はさらに真剣味を感じさせる佇まいになった。

「そっか、受験生だもんね。受験勉強が大変?」

私はそこで初めて本音を溢した気がした。

「はい、誰にも言えなくて。親に心配かけたくないし…」

楊先生は黙ってうなずいていた。

「そうだよね、受験ってなるとそこで人生が決まってしまうような感覚になるよね。私も昔に第1志望に落ちて、親に頼み込んで私大の滑り止めに行かせてもらったことあったんだ。自分で学費返しますからお願いします〜って。それでも今は自分のなりたかった高校教員の夢叶ったから良いんだけど」

私は楊先生の話を聞くことに集中していた。

「はい、そうなんですね」

「この場合、僕、自分のこと話し過ぎだよね?ごめんごめん、天宮さんは最近体の調子はどう?」

私は楊先生のその優しさ、軽さに調子を狂わされて、自分の状況をツラツラと話すことができた。

「あんまり食欲なくて眠れない日が続いてます。

体だるくて勉強に集中できない日があります」

楊先生はうなずく。

「そっか、それは相当しんどいね。休み休みで勉強はしていけば良いよと言いたいけど受験生だしね…心の方はどんな感じ?」

「昔からたまに○にたくなるのが最近、大きく多くなってる気がします」

楊先生の表情にはおちゃらけモードが0になった。

「そんなにしんどいのか…○ぬのは僕悲しいからやめてほしいな。このことを担任の先生には?」

私は横に首を振った。

「それじゃ、担任も天宮さんがしんどいの気づいてないね。私の方から担任に少し話してみても良い?」

私はこれまで無遅刻無欠席無早退で評定平均も4.9というある程度優等生な方だと自負している。

ここでそんな心配とかご迷惑とかかけたくない。

そう思って黙ってると…

「天宮さんはやるべきことちゃんと分かって率先してやってくれる良い生徒だよ。そんな生徒がしんどいときに助けなかったら僕が教師として名折れになっちゃうよ(笑)。それにしんどいことを分かってもらって配慮してもらった方が勉強に集中しやすくなると思うよ」

私は楊先生の言葉に反論の余地がなく見えた。

むしろ、このままではストレスに押しつぶされてしまうという思いの方が強かったのかもしれない。

そのまま私は返事をした。

「はい、お願いします」 


放課後ーー

曇天の空模様に雲の隙間から西日が射す。

少し心の重さが軽くなった気がした。

明日の天気予報は、梅雨の時期で雨の合間の束の間の曇り時々晴れである。


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