16.セカンドオピニオン
何回か通った精神科のクリニックとは別の精神科のクリニックに行った。
セカンドオピニオンの精神科医は、主治医とは少し雰囲気が異なる。
担当医の松竹先生が穏やかな表情で話し始めた。
「天宮さん、お話しいただいた内容をよく聞かせてもらいました。結果として、現時点で気分変調症や適応障害の可能性が考えられます。これらの症状は、心身に強いストレスがかかることで現れやすいものです」
「気分変調症.....適応障害?松竹先生、それは何ですか?」
私は言葉を繰り返し、頭の中でそれらの言葉を反芻し、疑問を口にした。
「はい、気分変調症は長期間にわたり気分が落ち込みやすく、エネルギーがなくなったり、日常的なことに対して興味を失うことが特徴です。適応障害は、特定のストレスに対する過剰な反応で、感情的に安定しにくくなることがあります」
私はその言葉に驚きながらも、心の中で何かが少しずつ整理されていくのを感じていた。
「でも、私ってそんな風に思っていなかった......」
私はそう心の中でつぶやくが、松竹は静かに頷く。
「多くの人が自分の状態を理解するのが遅れることがあります。あなたは今、無理をしすぎている状態だと思います。長期間にわたるプレッシャーや過度のストレスが、あなたの心に、脳に影響を与えているのでしょう」
私は胸の奥で何かが解けたような気がした。
自分だけが弱いのではなく、何かが影響を与えていたんだと、ようやく気づけた瞬間だった。
診察が終わり、私は病院の外に出た。
日差しが少し強く、汗ばむ陽気だったが、心の中はどこかスッキリしていた。
「気分変調症と適応障害......」
自分が名前を聞いたことのない病名を目にしたとき、ただの疲れや気持ちの落ち込みではないことに気づかされた。
その言葉が何度も頭をよぎる。
「これって、私が感じていたことそのものだ」
その日、私は帰り道にふと立ち寄った本屋で、精神科や心理学に関する本を手に取った。
何気なく目にしたタイトルが気になり、興味本位でページをめくってみる。
「心の健康について知ることは、自分をもっと理解
するための第一歩だって言われてるんだな」
本の中で、心理的な問題がどのようにして生じるのか、どのように向き合っていくのかが書かれていた。
読んでいくうちに、私は自分の症状や気持ちが少しずつ理解できるような気がしてきた。
その瞬間、私は心の中で決意を固めた。
「もっと勉強してみよう。自分のことを、もっと知
りたい」
松竹が言った言葉が、少しずつ心の中で響いていた。
私は家に帰ると、スマートフォンで「気分変調症」や「適応障害」について調べ始めた。
記事を読み進めるうちに、これまで自分が感じてきた気持ちがひとつひとつ解明されていくような感覚を覚えた。
この病気を理解することで、少しでも自分を大切にできるかもしれない、そんな気持ちが芽生えてきた。
※気分変調症は、持続性抑うつ障害と呼ばれることが多いです。




