14.孤独の夏休み
この夏休み期間は、1人で机に向かってもノートに書いた文字が頭に入らず、不安やしんどさを相談する相手も存在しなかった。孤独感が強かったものの、夏休みも終わりに近づいた。
私は再び精神科の診察を受けることになった。
緊張の中で診察室に入ると、医師は前回同様穏やかに話しかけてくる。
「こんにちは、天宮さん。前回の診察以降、どう感じていますか?」
私は少し息をつき、心の中で次々に言葉を整理しようとする。
「最近は、少し.....やっぱり疲れてます。母からのプレッシャーが強くて、勉強に集中できなくて.....」
医師はうなずきながら、ノートを取り出し、ペンで軽くメモを取る。軽くメモを取る。
「プレッシャーが大きいのですね。それは大変ですね。でも、今のところ病気の兆候は見当たりません。天宮さんは精神的には元気です」
その言葉が、私の胸に冷たい衝撃を走らせた。
ーー「病気じゃない」ーー
その瞬間、全身に力が抜けたような気がした。自分が弱いだけだったのだと、何かが崩れた。
「でも.......」
私は声を震わせながら言った。
「でも、どうしてこんなにしんどいんですか?私は
頑張っているのに......」
山口は穏やかに答える。
「そのしんどさは、受験のプレッシャーが大きいからです。病気ではありませんが、心身の疲れが溜まっている可能性はあります」
その言葉が私には響かなかった。
病気じゃない。だから、自分が弱いだけだということに気づいてしまった。
自己否定の気持ちが、胸の奥でどんどん大きくな
る。
「もっと頑張らなきゃ.......」
模試の結果の返却日。
私は試験の点数を見て心が重くなった。
期待通りにできなかった自分を、さらに自分で責める気持ちが強くなる。
母の言葉も頭の中で響く。
「あなた、もっと頑張りなさい。もっとできるはずよ」
その言葉が、耳の中で反響する。胸が苦しくなる。
目の前に広がる問題集に目を落とし、何度も繰り返し問題を解くが、頭は回らない。
自分が、全然足りていないと痛感するだけだった。
「勉強しなきゃ。もっと頑張らなきゃ......」手が震えて、視界がぼやける。けれど、心の中で何度も繰り返す言葉が浮かぶ。
ーーでも、これ以上頑張れないーー




