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第9話 近づいただけで泣かれる。(前半シア視点後半カルロ視点)

「っ、カルロ!エルネさん!!」



いやだ。

身体が震える。息が上手く吸えない。

(お願い、どこ。どこにいるの!!?)





「あ…」

力が抜け、膝から崩れ落ちた。

「よか、った…」

すぐ近くに手を縛られた2人がいた。身体に怪我は見当たらない。



震える手で胸に手を当てゆっくりと息を吸う。

(シア。落ち着いて、落ち着け。深呼吸よ。)


(もし、あの人達犯人なら2人はとっくに殺されている。)

私の両親なら、誘拐なんて手間をかけずに、その場で斬り殺す。こんな面倒なことはしない。




(違う。あの人達じゃない。)

冷静を取り戻し、改めて周りを見渡す。


他にも何人か子供がいることに気づいた。全員手が縛られている。

おそらく、子どもを狙った人身売買のたぐいだろう。運悪く、私たちもターゲットにされたようだ。

(…私のせい、ではないのね。)



「カルロ、エルネさん。起きて」

「ん?あ、ああ。」

「ううん…」


この誘拐の黒幕が私の親である可能性は低い。

そうでなければ、彼らは生きていないだろう。


ほっと肩の力が抜け、震えていた身体も治る。

(でも、今回は無事でも次は?)


脳裏に嫌な想像がチラつく。

もし、家族に2人のことがバレたら?もし、カルロやエルネに被害が出てたら?

私の我儘で優しい彼らが殺されてしまったのなら?


無惨な姿で血を流している2人が思い浮かぶ。

「っ、」


手を強く握りしめる。指が手のひらにギリギリと食い込む。


(私は危険に引き込んでしまったのね。自分の身勝手な考えのせいで。)

今までの行動がどれだけ浅はかだったかを、やっと自覚した。




「なあ、どうかしたか?シア」

「体調悪いのならまだ寝てたら?」

意識がはっきりしてきたのか、こちらを見られていたらしい。


腕の力を抜き、手を隠す。

「…なんでもないわ。ありがとう」

(ごめん、ごめんなさい。私は優しい貴方達を巻き込んでしまった。)



溢れそうな気持ちを無視して、笑顔を作る。

「っなんか、お腹減ったわね!」

「お前なぁ。今俺ら誘拐されてるんだぞ?」

「っくく…」

カルロは呆れ、エルミは笑い出す。いつもの姿だ。

(うん、良かった。みんな無事だ。)




「じゃあ、情報の共有といこうか」

「了解」

「ばっちりよ」


鈍い胸の痛みは押し殺した。




─────







親友でもあり、幼馴染でもある彼に詰め寄られていた。


「なんでカルロは俺の縄を後回しにした訳!?」

「わかーった。はいはい、すまんすまん」

「ごめんで済んだら、憲兵はいりませんー!」

「ガキかお前は」


(ったく、面倒だな。)

エルネが縄を切ることを後回しにされていることに気付いたらしい。ぶつぶつと文句を言ってくる。


そんな掛け合いをしながら最後の縄(エルネ)を解き、紐を渡す。簡単に解けるよう緩く結び直しておいた。完全に取ってしまうと、次に犯人が来たとき怪しまれてしまうからだ。



「はぁー…情報は集まったのか?」

「ん、もちろん」

にこにこと報告してくる。うざい。一回くらい殴っても許されるだろうか。

「じゃあ、シアも呼んで作戦会議するぞ」

「りょーかい」


シアを呼び、3人で集まった。

「よし!第一回脱出作戦会議ー!!」

「うっさい、空気読め」

「ふふっ」



「じゃあ、まずエルネ、シア。何か収穫はあったか?」

「俺からいくね」


「ここにいるのは6歳から12歳までの計14名。シアを除いて全員が平民の子供みたい。家は貧困層から富裕層まで様々だった。

おそらく、街を歩いている子供をランダムで攫ってってるみたい。


今の所判明してる犯人は4名。全員男。

1日に2回か1回食事を届けに来るらしい。内容は変わらず、パンとリンゴ、水差し。

暴力を振るったり、暴言を浴びせることはない。ひたすらに無関心。


大体こんなとこかな?」


「おお、お前すげえな」

「すごいわね…」


「じゃあ、次は私の番ね。


子供の話であることを聞いたわ。

1人、誘拐される時にうっすら意識があったらしいの。

その子は、捕まってすぐに縛られて荷馬車に乗せられ、数時間ほど揺られた後降ろされた。そのまま、しばらく階段を下ってここに運ばれた。


そう言っていたわ」



「ってことはここは地下か?」

「そうみたい」


「なら、ここは地下水道だね」

「地下水道?」

「うん。この街には至る所に水路を引いているんだ。そして、地下にも大きな非常用水路がある。もう使われてないけどね」


「あー、聞いたことあるな」

「俺らの中でも、あんまり知られてないけどね」

「へえ、そんな場所があったのね…」




「じゃあ、俺の番か」


「俺は部屋を見回ってたんだけど、武器になりそうな釘を見つけた。」


「で?」

「…」


「あれ?カルロくん??」

エルネがニヤニヤと顔を近づけてくる。


「俺は犯人の情報を、シアはこの場所の特定をしたよね」

「ああ。おかげで脱出が現実的になった。」


「で?君はなにしてたの?」

「…釘引っこ抜いてた」

「ぶはっ」

エルネが隣で腹を抱えて笑い出した。目から涙が出ている。


「悪かったな。人から情報を聞こうにも、近づいただけで泣かれるんでね」

「ひっ、」

床をばしばし叩きながら、もう笑わせないで、とかほざいている。


「あっひゃっひゃ、いだっ」

エルネが壊れはじめたところで、殴って正気に戻す。



「とりあえず、まとめると

ここは街の地下水道。

組織的犯行で犯人は最低でも4人以上。

おそらく平民の子供を狙った人身売買目的の誘拐、だな?」


「で、ふっ、武器として釘を持ってる。

ちょ、痛い痛い痛い!」

まだ正気に戻っていなかったようなので、ヘッドロックを掛けておいた。

エルネ「ぎゃー!!」

カルロ「はっ、抜けられないだろ。」

エルネ「ギブギブ!」

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