表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/6

気が付かなければ問題はない。

まずい、ストックがなくなった。

主人公たちは、笑顔に。作者は、瀕死に。

「わああ…!」

「あんまキョロキョロしてると迷子になるぞ。」

裏路地から1時間半。途中途中で休憩を入れながらも、なんとか街が見えてきた。


(あ、そういえばアイツらに待ち伏せされてるんだったけ。もういないよな…?)

色々な出来事が起きすぎて、完全に忘れていた。時間も経っているので、諦めて帰っていることを願う。


「お貴族サマ、ちょっと遠回りしていいか?」

「?ええ、もちろん。」

少し心配なので、回り道をすることにした。


いつの間にか、お貴族様とも打ち解けてきた。意外にも根性があり、長距離歩いても、文句一つ言わなかった。辛そうではあったが。


「そういえば、あなたのお名前はなんと申しますの?」

「ああ。俺はカルロだ。」


お貴族様に名前を教えてもいいのか少し迷ったが、大丈夫だろう。こいつは理不尽に罰したりなどはしないと思った。


(というか、すぐ別れるのになんで仲良くなってんだ。俺)

今日遊んだら、もう一生会うことのない人間だ。たまに思い出して、数少ない友人に自慢するくらいだろう。

(まあ、いいか。考え込んでも仕方ない。)



街の入り口についた。

周りをよく見たが、アイツらはいなかった。


「よし、ついたな。」

「…ええ。」

感動しているのか、空返事が返ってきた。

「ここが俺たち、平民が暮らす街。『マルフィリア』だ。」

「この街は、ここらで1番大きい都市とも言える街だ。出店や劇場。飲食店や鍛冶屋なんかは大体揃ってる。」

「へええ、すごいわね!」

平民なら誰もが知っている事実だが、こうも喜ばれると気分がいい。


「ああ。そして遊ぶにはうってつけだ。」

「遊ぶ?」

「そうだ。」

ニヤリと笑い、彼女に言う。


「肉汁たっぷりの肉串、香りを嗅ぐだけ腹が減るパン。他にも甘い物から辛い物まで多種多様だ。」

「わあああ!!食べたいわ!私も食べたい!」

(…こう見ると、お貴族様もただの子供だな。いや、彼女が特殊なだけか…?)


「俺のおすすめは、肉串だ。隣の領から仕入れた肉質のいい物使っているらしい。あれは食べないと、人生10年分損するぞ。」

「食べるわ!どこにあるのかしら!!」

「まあ、そうがっつくなって。確か、この道を曲がってすぐだ。」


「じゃあ、いくか?」

「ええ!早くいきましょう。」

つい5分前まで疲労困憊のような顔をしていたのに、今は嘘のようにニコニコしている。

(単純だな…食べ物を餌にしたら簡単に誘拐されそうだ。)



早く早く、と急かされ、道を進む。

昼時という事もあってか、人が多かった。彼女が悪目立ちしないか、心配だったが、杞憂だったようだ。むしろ、食いしん坊の子供として馴染んでいるまである。


「あ、そういえばお貴族サマ。お金持ってんのか?」

「えっ?…あ、持っていませんわ……」

笑顔が一転して、この世の終わりの様な表情になっている。

(だろうなぁ。)

貴族はお金を持ち歩かず、後払いで家に付けると聞いたことがある。むしろお金の存在を知っていただけマシかなのかもしれない。


「ったく。今回は俺が払ってやるよ。」

「いいのですか!?」

「ああ。代わりにしっかり味わえよ。」

「もちろんですわ。」

今晩の食事が少し貧相になるが、構わない。どうせ、父は気づかないだろう。

(…まあ、俺も肉串食べたいし。)


そんな話をしていたら、店に着いたようだ。

「ほら、ここだ。この肉串が大好きなんだよ。」

「香ばしい香りで美味しそうですわ!」

「そうだろ、そうだろ。」


「おばちゃーん!肉串ふたつー!」

「あいよ!銅貨4枚だよ!」

「はーい。」

銅貨4枚を手渡し、焼きたての肉串を2本貰った。


「ほら、熱いからゆっくり食べろよ。」

そう言って彼女に手渡す。目をキラキラさせて喜んだ。

「ありがとうございますわ!」

始めはどうやって食べるのか悩んでいたが、周りを見て本人も理解したようだ。思い切ってかぶりついていた。

「んん〜〜!!」

同じように食べているはずなのに、どこか品があった。やはり、貴族なんだなぁと改めて思う。


(俺も食べるか。)

熱々の肉串をがぶりと齧った。うまい。

そこからは夢中で食べ進める。そこそこ大きい肉串ではあるが、ぺろりと平らげてしまった。



「はぁ〜!美味しかったわ…」

「だろ?あそこの肉串はめちゃくちゃ美味いんだよ。」

「ええ、最高だったわ。」

お互いにゆっくりと料理を堪能し、満足していた。


「あっ!おい、見つけたぞ!!」

同じ年代の子供が俺を指差して叫んだ。おそらくさっき殴った奴の仲間だろう。

(まずい、まだ諦めてなかったのか。)

肉の幸せに浸っていたところを、一気に現実に引き戻される。


「なあ、一旦逃げるぞ。」

「うん?」

彼女の手を取り、全速力で走る。状況がわかっていないのか、「え?」や「まって、まって!!」と聞こえるが、無視して進み続けた。




街を走り回り、振り切ったとこで建物の影に入った。

「はあ、はあ、」

「は、速いですわ……」

(ここまで来たら、流石に撒いたはず…)

今日だけで3度の逃走劇により、足が限界を迎えた。ドサッと、地面に座り込む。

ふと、彼女の顔を見上げた。

「っぷ、シア、顔が泥だらけだぞ。」

「っふふふ、カルロだって、髪に葉っぱが。」



2人でお互いのボロボロの姿を心ゆくまで笑い合った。

夕日が暖かく俺たちを照らしていた。


「なあ、またあそぼーぜ。」

「ええ。絶対よ。」

次の更新は本日の19:30です!!

そろそろ、アナスタシア(シア)にも焦点を当てなければ…!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ