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第10話 優雅で気高い姿

ガチャ、

「おい、飯だ。」

4人の男達が大量の食料を持って、ぞろぞろと牢に入ってくる。



突然、エルネがこちらを睨みつけてきた。

「カルロ、お前いっつもいっつも!

うんざりなんだよ!!」

「は?エルネも俺のことよく嘲笑ってるだろ?!」


エルネが胸ぐらを掴んできた。

俺も負けじと掴み返す。



「カルロだって俺のことよく殴るだろ!!?」

「お前が、弱いのが悪いんじゃないか?」


ニヤリと笑ってエルネを挑発する。

「お前っ!!」






(よし、かかった。)



「「うおっ!?」」

派手に喧嘩をしていたおかげで、男達の注意がこっちに寄る。足元に張ってある縄に気づかず引っ掛かった。


(ッチ、2人だけか。流石にこんな罠で4人全員は無理か。)

前を歩いていた奴が転び、それに巻き込まれてもう1人倒れた。

後ろにいた人は急に転んだ2人に混乱しているようだ。



「かかれ!!」

あらかじめ牢屋の隅に隠れている人に合図をする。それを聞いた子供が一斉に飛びかかった。


「うわあー!!」

「誘拐の恨み!」

「ご飯もっと種類よこせぇー!!」

三者三様の掛け声と共に男達に襲いかかる。

(なんか、シアみたいなやついるな…)


「は!?なんだ!!」

「うわっやめろ!!」

相手が大人とはいえ、こちらは14人だ。数の利でゴリ押しする。


男の足にしがみつき、動きを封じる。

足の子供を外そうとジタバタしている間に、牢の鉄格子をよじ登っていた子供が、背後から飛び移る。

「ぎゃ、待て!まってくれ!!」

後ろから子供が突撃したとこで、完全に制圧した。

(あと、1人か)




(まずい。ここで逃すと…!)

最後の1人に目を向けるが、仲間を見捨て檻から逃げようとしていた。



突然、隅に隠れていたシアが前に出てきた。

一瞬でその場の雰囲気が変わる。足音が床に響くたび、空気が張りつめた。

男たちの呼吸が止まり、一瞬息を飲む音だけが聞こえる。


背筋をぴんと伸ばし、ゆったりと歩いてくる。見ろと言わんばかりの存在感に決して逆らえない威圧感が出ている。

「ねえ、お前」

相手を睨みつけながらも、軽く微笑む。


思わず、その所作に見惚れた。

普段の食いしん坊とは違う、彼女の本来の姿に傅いてしまいそうだった。


「この私を誘拐しておいて、無事で済むと思っているのかしら?」


彼女が被っていた帽子を外した。丸められていた髪が流れ落ち、キラキラと薄暗い部屋でも輝く。

平民ではあり得ない、長く美しい髪にその場の全員が釘付けになる。



「っ、今よ!!」


ハッと正気に戻る。

固まっている男の横を思いっきり、体当たりした。

「うぎゃ、」

壁に体が当たったところを、すぐに拘束する。


「はあ、いけた、か?」

「っ、ぽいね」

「ええ」




────




部屋の真ん中で2人に向き合う。

「とりあえず、

ここは街の地下水道で組織的犯行で犯人は最低でも4人以上。

おそらく平民の子供を狙った人身売買目的の誘拐、だな?」


「いたた…あ、あともう一つ」

エルネが首をさすりながら話す。

「俺たち、今あんまよくない状況なんだ」

「え?」


「犯人が、俺らが運んできた時に“これで最後だ”って溢したらしい」

エルネの言葉に頭が真っ白になる。

(子供が集め終わった、ってことだよな?)

もし本当にこの3人が最後だった場合、1分1秒でも早く脱出するべきだ。量が集まったのなら、監禁しておく必要はない。すぐに売り飛ばされるなり、実験道具にされる可能性がある。

シアも察したのか顔が真っ青になっている。


「俺は今すぐにでも脱出するべきだと思う」

「そうね…街の地下水道の道とかわかる?」

「いや、広すぎてまったくだな」

「俺もだなぁ。ましてや牢屋があるとか知らなかったし」

「八方塞がりね...」


「とりあえず、ここを出るとこから考えよう」

「だね。やっぱ配膳時?」

「しかないよな。あそこで制圧する?」

3人で脱出作戦について話し込んだ。




「よし、これで大体は決まったな」

「他の子にも手伝い頼んでみるよ」


「頼んだ。ああ、あとシアと一部の子供は隠れてろ」

「ごめんなさい。足手纏いになるものね」


「いや、違う。俺らは多少殴られても平気だが、お前は違うだろ?」

「え?」

(平民は成長すると普通に殴り合い(じゃれあい)とかするしなぁ。けど、貴族はそんなんしないだろうし。)


「だって痛いのは辛いだろ。お前は隠れてろ」

「そっ、か。ありがとう。」


「はぁ。俺は何を見せられてるんだ」

「は?何言ってんだよ」

なぜかエルネに呆れられた。


「いいや。じゃあ他の子に作戦共有してくる」

「?ああ」

(なんだったんだ。)



その後、2人のおかげで全員の協力を得ることができた。

時間をかけて入念にシミュレーションをし、準備を整える。



コツコツ、

「…来たぞ。」

「みんな配置に行って!」


「こっちは着いた!」

「同じく!」

「うちもよ!」



ガチャ、

目つきの悪い男4人が部屋に入ってきた。



(さて、茶番劇でも始めるか。)

「おい、カルロ!」





作戦通り、男達4人を全員拘束できた。

「いけた、か?」

「ぽいね」

「ええ」


縄でぐるぐる巻きにし、身動きの取れない犯人達を部屋の隅に寝かす。

「よし、エルネ任せた」

「任せて。」

「え?え?」


「シア、大丈夫だ。あの手のものはエルネの得意分野なんだ」

「あの手…?」

「まあ見てろ」




「まずは、ここから地上への道順と関係者の人数、見張の位置と数。

全部吐いてね」

エルネが鋭い釘を持ちながら、男達にニコニコと話す。

「はっ、言うわけないだろ」

「異変に気づいた仲間がすぐに来るぞ。早く縄を解くことだな」

10歳の子供に何を言われたところで問題ないと踏んだのだろう。こちらを舐めている態度が窺える。



「うーん、言うつもりはなさそうだね。」


グサ、

エルネが笑顔で男の太ももを釘で刺した。

「ぎゃあああああいだいいだいい!!」


「道順と組織の人数、見張りの位置と数。バックについてる貴族も教えて?」

痛みに叫んでいる大人に吐け、と笑顔で迫っている。

「い、いう!いうがらぁ!」


のほほんと優しそうな彼の本性に気がついたらしい。男達の顔が一気に青くなっている。




「…エ、エルネ、さん?」

シアが引き攣った顔で笑っている。


(えげつないよなぁ。俺もやられた事あるが、一生あいつを怒らせないと誓ったな…)

過去にカルロがエルネを怒らせた時。


エルネ「ねえ、いまなんつった?」

カルロ「は?お前がガキだって言ったんだよ。」

ヒュンッ

顔の横を何かがものすごいスピードで通り抜ける。振り向くと尖った小石があった。

(…まずい。本気で怒らせた。)

エルネ「で?誰がなんだって?」

カルロ「い、いや。すまん…」

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