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今日は最悪だ。

初連載だあああああ!!よろしくお願いします!

※未成年が飲酒している場面がありますが、推奨するものではありません。この世界では体温維持のためにお酒を飲む習慣があるため、地球よりも飲酒可能年齢が若いです。


「やっぱりお酒はこのお店に限るわねぇ。」

ガヤガヤと騒がしい店内で、酔っ払っていてもどこか品が残っている彼女を眺める。

ローブを深く被っているせいで、顔がよく見えないが、ちらりと見える口元が嬉しそうに微笑んでいた。



「──ねえ、カルロ聞いてるの?」

「はいはい。聞いてるよ。」

「うそね。いま絶対私に見惚れてたもの。」

図星を突かれて、少し居心地が悪い。彼女はお酒を飲んでも、人をよく見る癖は発動するらしい。


「ったく。酔っ払いは、黙って酒でも飲んでろ。」

「あ!今話逸らした!!」

「うっさい。」

ひと思いにビールを喉に流し込む。胃に熱湯が注がれるようだ。


「てかお前、出会った頃と随分変わったよな。」

「前はもっと大人しかったくせに。」

どうやら、自分にも酔いが回ってきたようだ。いつもより饒舌になる。


「当たり前だよ。出会ったの9年も前よ?」

「もう、そんな経ってんのか。」


「そうそう。私たちが10歳の時だもの。」




騒がしい店内で、ふと彼女との出会いを思い出した。

─────





「くっそ」

母が出て行った。外に男を作ったらしい。そいつに着いていく形で俺と父さんは捨てられた。


唐突に始まった父親との二人三脚生活は大変だった。家事のできない父さんに代わって洗濯や食事の用意など、忙しくて仕方がない。

こんな時になって、母のありがたみを感じることにも腹が立つ。



「カルロ!お前の母ちゃん浮気して出て行ったんだろ?」

「詳しく聞かしてくれよ。なあ、」

にやにやと家庭の事情に突っ込んでくるコイツらを無視して通り過ぎる。最近まで一緒に遊んでいた友人だったくせに、今は俺のことを省いて遊んでくるクズになった。


「おい無視すんなよ!」

「うるせえ、黙れ」

「いだッ」

まずい。イラついて、相手の1人を殴ってしまった。

多勢に無勢。同年代の中では強いとはいえ、多数相手は勝てる見込みもない。


「あっ!まて!!」

逃げる事にした。


ぼけっと突っ立っているやつの横を素早く抜け、脇の小道へ走る。

裏路地に入り、右へ、左へと進む。

次第に、後ろから叫ぶ声は遠くなっていった。



「っ、はあ、」

狭く複雑な裏路地では、追いかけることも見つけることも難しい。アイツらも引き返したようだ。

ただ、安心もしてられない。路の出口で待ち伏せをしているはずだ。


(ここで時間を潰すか…)

治安も悪く薄暗い場所で過ごすのは些か不安だが、集団で殴られるよりはずっと良い。


通ったことのない道を適当に進む。帰る時が心配になるが、気にせずに歩き続けた。

見たこともない景色になったあたりで、人影を見つけた。


道を訪ねようと近づく。すると会話が聞こえた。

「や、やめて…こないで!」

「お嬢ちゃん、そう言わずにお兄さんたちと遊ぼう?」

ローブを深く被った小さい子供が、ナイフを持った男2人に詰め寄られていた。おそらく金銭目的の誘拐だろう。


(うげ、面倒なことに遭ったな…逃げるか。)

治安の悪い場所では犯罪行為は日常茶飯事だ。毎回助けに入っていたら、命がいくつあっても足りはしない。


ゆっくり、ゆっくりとその場を離れていく。幸い相手はまだ俺に気がついていなかった。

(よかった。このまま行けば逃げれそうだ…)



急に、子供がこっちに向かって叫んだ。

「あ!た、助けて!」

「「「は?」」」


誘拐犯と俺の声が重なる。


一斉に男たちが振り向いた。

(…まずい。バレた。)



慌てて逃げようとするが、相手の方が一足速かった。


「すまんな。見逃すわけにはいかないんだ。坊主、恨まないでくれよ。」

そう言ってジリジリと1人が近づいてくる。

相手は大人だ。10歳の自分では勝ちようがない。



遂に壁際まで追い詰められ、逃げ場もなくなった。



(何か、何かないか?)

ふと近くの壁が目に入る。子供1人分の穴あった。

少し距離はあるが、穴に入れば相手は追ってこれないだろう。

(…一か八かだ。)


横にさっきの子供(元凶)がいた。酷く怯えているようで身体が震えている。

(ああ、ったく!ふざけんな!!)




近くにあった石を掴み、男の顔目掛けて投げつける。


「はっ、いい加減諦めろ。」

「うるせえ!」



軽々と避けられる。

しかし、石を避けた際相手の視界から一瞬だけ俺が外れた。



その間に砂を掴み、投げる。


「い、っだ!あんのクソガキ!!」

「子供相手に何手こずってんだ!」


もろに目眩しを受け、目の前の男が痛みに悶える。もう1人もそちらに意識が行ったため、完全に俺たちから目が離れた。


「今のうちだ。いくぞ!!」


震えているローブの手を掴んだ。

穴のある壁に向かって全力で走る。後ろから追いかけてくる気配がするが、振り向いている余裕はなかった。

「待て!!」


(穴は小さい。入ったらこっちのもんだ…!)


「先入れ!早く!!」

壁につき、先にローブの子供を行かせた。

自分も後から穴に滑り込む。


しかし、男も逃がさんと手を伸ばした。



(間に合え、間に合え、間に合え!!)


ギリギリで男の手が届く前に穴を通り抜けた。





そこからは無我夢中で逃げた。怒号がしていたが、今はもう聞こえない。おそらく振り切れたのだろう。


「っ、いき、てるのか?」

「…っえ、ええ。」

2人で、ぜえぜえと地面に座り込む。どうやらあの子供の腕を掴んだ状態で走ったらしい。


「あり、がとう。助けて、くださって。」

息も絶え絶えてお礼を言われる。ローブがずり落ちて顔が見えた。


「……は、」

ローブで隠れていた部分がずれ、

しわひとつない服に日焼けのしていない白い肌が現れる。



(ああ、くっそ…今日は最悪だ。)


息をあげながらも、お淑やかに告げる。

「…申し、遅れました。私は、アナスタシア・ド・ルイゼンフォーグと申します。」




“お貴族様になんて関わるものではない。”

それは、俺たち平民が親から1番最初に教わることだ。

主人公:カルロ

貴族令嬢:アナスタシア・ド・ルイゼンフォーグ←New!!

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