第8話:【罠】
ある日、高槻から招集がかかる。
「2人とも揃ったね。以前から警察で追ってた、武器密造犯のリーダーの潜伏先が判明した。どうやらM市にいるようだ」
見つけ次第、確保。工場を突き止めたいとの事だった。
「これがリーダーの写真だ、中国人らしい。凶悪な爆弾魔も一緒だとの情報だから気をつけてな」
「女か…気が乗らないな」
初任務の苦い思い出が蘇ったが振り切って出動する。
◇
輸送車でM市へ到着した裕とアンナ。
「……自由度が高すぎて、何から手をつけていいか分からんな」
戸惑う俺を余所に、アンナは目を輝かせている。
「M市と言ったらたこ焼きだよ!露店多いんだって!」
「遊びじゃないんだぞ……。ま、いっか。少しだけね」
◇
ゲーセン
「裕!次あれやろ!」
「UFOキャッチャー?あーだめだめ、あんまやった事ない」
「私、得意だよ!見てて!」
「おお!すげー!上手いもんだな!」
俺たちはゲーセンでUFOキャッチャーに興じる。アンナが鮮やかに景品をゲットする。
◇
「すいませーん、これ位置変えてくださーい」
声をかけた店員は、
「チョト、マテください。」
たどたどしい日本語を話していた。
「……中国の人?この写真の女を知ってる?」
写真を見せると、店員は一瞬固まり、
視線がおよいだ。
「知りまセン。」
声も震えてる。怪しい。
「警察だ。」
と身分証をみせると店員は顔色を変えて逃げ出した。
「アンナ、手がかりだ!あの店員!」
「おっけー!」
アンナが発砲。店員のベルトを弾き飛ばし、ズボンが脱げた店員は無様に転倒した。
ゲーセンの客が騒ぎ出す。
「やめてくれ! 私は何も知らない!(中国語)」
「素直に話した方がいいよ。このお兄さん、怒ると怖いの(中国語)」
アンナが流暢な中国語で詰め寄る。
「え?アンナ、中国語も話せるの?」
「うん!この人、北京訛りだよ。」
すぐに高槻に連絡を入れた。
「高槻博士、女リーダーって北京出身?」
『ああ、そうだが、何故わかった?』
「有力な手がかりを見つけました。アンナ、リーダーも北京出身だってよ!」
『念のため、そいつを確保してくれ』
アンナは銃口を店員の股間に向け、さらに畳みかける。
「おやおやおや、この女と同郷? 怪しくなってきたね。次はベルトじゃなくて、ここを吹っ飛ばすよ(中国語)」
「……何て言ってるか分からんが、怖いこと言ってるのは分かる!」
◇
判明した雑居ビルの地下。
「こんちわー! カチコミでーす!」
ドアを蹴破り、ライトを構えて突入する。
暗い。人の気配がない。機械音すら聞こえない。
――静かすぎる。
「アンナ、入り口で見張ってて。罠があるかもしれない」
アンナは俺より再生力弱いから爆弾があったら危ないな
「え? う、うん、気をつけてね」
◇
湿ったコンクリートの通路を歩く。足元に何かが引っかかった。
(ん? コードか?)
思った瞬間、けたたましい警報音が鳴り響き、脇腹に鋭い痛みが走った。
「……っ!」
壁に仕込まれたボウガンだ。毒でも塗ってあるのか、熱い。
すぐに矢を引き抜き奥へ急ぐ。足元のコードを警戒して視線を落とした、その瞬間。今度は頭の高さに何かが触れた。
視線誘導――。
咄嗟に後ろへ飛ぶ。だが、そこにはさらに別の仕掛けがあった。
――ドンッ!!
激しい爆発。威力自体は殺傷用ではない。だが、詰め込まれていた釘や金属片が、礫となって俺の全身を切り裂いた。
「いっっってぇぇッ!!」
すぐに肉が盛り上がり、体内のナノマシンが傷口から破片を押し出していく。
罠だらけだ。
『裕! 今の音は何!? 大丈夫!?』
無線からアンナの悲鳴のような声が飛ぶ。
「大丈夫だ、罠にかかった。アンナはそこを――」
通信を返し終える間もなかった。
背後の闇から伸びてきた腕が俺の口を塞ぎ、鋭利な刃物がその首を深々と切り裂いた。




