第75話:【邪魔者】
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「……アンナ、何やってるの?」
俺の問いかけに、アンナは作業の手を止めずに答えた。
「レールガンのレールの交換。二発で焼き付いちゃうみたいで……。使うかもしれないでしょ?」
「もう有坂はいないんだ。あれ以上の化け物なんて、そうそういないだろ」
「念のためだよ!」
アンナの言葉には焦燥が滲んでいた。ここを逃したら、二度とリンに会えない気がする。その予感は、俺も同じだった。
車を走らせている最中、アンナが唐突に動いた。
走行中の車窓から対物ライフルを突き出し、前方の車のタイヤを正確に撃ち抜く。凄まじい衝撃音と共に、標的の車が横転した。
「どうした!? リンか!?」
「うん、多分あれだよ!」
俺はすぐさま地元警察に応援を呼び、車を降りて横転した車両へと駆け寄る。だが、車内にリンたちの姿はなかった。
「あそこだ!」
アンナが指差す先、脇道へと滑り込む影が見えた。
「待て!」
俺たちは全力で後を追った。しかし、路地に入った瞬間――
――バァン!
鋭い破裂音が響く。フラッシュバンだ。
まともに喰らい、視界と聴覚を強引に奪われる。
感覚が戻り始めた時、目の前にゆらりと細身の男が現れた。その手には一振りのナイフが握られている。
「裕、気をつけて! あいつ、ナイフ使いの『高品』だよ!」
「有名なやつか?」
問い返すと同時に拳銃を構えたが、高品の動きの方が速かった。彼は壁を蹴って跳躍すると、空中から俺の顔を切りつけ、そのままの勢いでアンナを蹴り飛ばした。
「アンナ! 大丈夫か?」
「いたた……。うん、裕こそ大丈夫?」
「ああ、すぐ治る」
高品は薄ら笑いを浮かべ、こちらを値踏みするように見た。
「ここは通さないよ。君はナノマシン兵だよね? ――なら、何回死ねるかな?」
不敵な言葉を残し、奴は再び壁を蹴りながら、弾丸のような速さで襲いかかってきた。




