第70話:【雷鳴の戦場】
アキラの端末に高槻からの緊急通信が入る。
『すまんが、今から全員で日本軍の援軍に向かってくれ。レールガンの使用も許可する』
「……ということは、相手はオリジナルですか?」
『リベレーターだ。S区で日本軍が苦戦している。有坂も潜んでいるかもしれん。装備を整えて直ちに向かいたまえ』
「了解」
◇
現場のS区に到着すると、そこはすでに地獄と化していた。先行していたヒロシと劉が日本軍を援護しているが、リベレーターは他のテロ組織や多数のオリジナルを傘下に引き入れ、その勢力は予想を遥かに超えていた。
近代兵器の銃弾と、オリジナルの超能力が縦横無尽に飛び交う、異色かつ混沌とした戦場。
劉は流れるような剣筋でテロリストの首を次々と跳ね、ヒロシは荒々しく拳銃とククリナイフを振り回してオリジナルたちを蹂躙している。
ざっと見渡した限り、あの「有坂」の姿はない。だが、一部の戦線を除いて日本軍は圧倒的に劣勢だった。
「アキラ! 俺たちは被害の大きい地点に加勢してくる! リンを見つけるか、状況が変わったら教えてくれ!」
『分かった! 気をつけろよ。リンの居場所は今、葵が能力を使って探してる!』
俺とアンナは、特に壊滅状態にある部隊の元へ駆けつけた。そこで劣勢の理由を目の当たりにする。
一人のオリジナルが空中に浮遊し、手から極太の雷を乱射していたのだ。
俺は即座に重機関銃を掃射したが、弾丸は奴の体を霧のようにすり抜けていく。
「あいつ、電気そのものになりやがったのか……!?」
「あんなの、どうやって倒せばいいの!?」
アンナが叫ぶ。俺は目を凝らして観察した。
奴の足元から伸びる不自然に太いケーブルが、近くの施設に繋がっている。
「分かった! 供給元を断てばいいんだ! アンナ、あのケーブルの根元にある発電設備を壊せるか? もしくはケーブルを直接ぶち切れ!」
「おっけー!」
アンナは対物ライフルを構え、呼吸を整える。
ズドォォン!!
放たれた一撃が、電気を供給していたケーブルを正確に断ち切った。
途端に供給源を失ったオリジナルの発光が弱まり、その「実体」が露わになる。
「今だ! アンナ、本体を撃て!」
ドォン!!
再びアンナの対物ライフルが火を吹き、電気のオリジナルの頭部が粉々に消し飛んだ。
空中の光が消え、ようやくこの戦線の兵士たちに安堵の色が広がる。
「よし、この戦線は大丈夫だ。次へ行くぞ!」
俺たちは息つく間もなく、硝煙渦巻く次の激戦地へと走り出した。




