第55話:【協力要請】
リンたちは現在三人組。風花を仕留めたとはいえ、残りのメンバーも怪物揃い。一人ずつならまだしも、連携されたら今の俺たちでも勝ち目はない。
リンの能力も未だに不明。そして陽平。あの視線を合わせるだけで発火させる能力の攻略法が、どうしても思いつかなかった。
「アンナ」
「ん? どーしたの?」
「ヒロシに、助っ人を頼めないかな?」
「絶対無理! 頼んで快く来てくれるイメージが全然湧かないもん。あのおじさん、怖すぎるよ」
「俺一人でも、もう一回頼んでくるよ。どうしても必要なんだ」
「……わかったよぉ、ついていくよ。多分無理だろうけど……装備だけはしっかりしていこうね」
◇
C区。あの陰気な裏通りの酒場に、再び足を踏み入れた。
薄暗い店内のカウンター席。背中だけで圧倒的な威圧感を放つ男に、俺は声をかけた。
「ヒロシ……! 協力してくれ!」
返事は言葉ではなかった。
――ガシャアアアン!!
俺の頭を掴み、カウンターに叩きつけられていた。目の前にあったコップごと。砕けたガラス片が目や顔に食い込む。
「……うぉお……っ!」
顔を押さえて床を転がる。言葉の代わりに暴力…!
「呼び捨てか。……クソガキ」
「ゆ、裕!ヒロシ……さん、そこまでしなくてもいいでしょ!」
アンナが割って入るが、ヒロシは表情一つ変えない。
「治るだろ」
「治る……けども! 痛いんだよ!」
肉が盛り上がり、刺さったガラス片を外へと押し出していく。
「根性がねぇな。……さっさと帰れ、坊や」
「か、帰らない! なあ、敵は『オリジナル』なんだ! どうしてもあんたの……」
――ガシャン!!
今度はウイスキーのボトルで頭を殴られた。ボトルの角で。瓶と一緒に額が割れた。
「い、いてぇ……ッ!」
「敬語も使えねぇのか、クソガキ。……オリジナルだと?」
殴る前に話を聞いてくれよ!
「そう……テロリストなんだ」
説明しようとカウンターに置いた俺の手を、ヒロシは躊躇なくフォークで突き刺し、固定した。
「ぐぉぉぉ!! 悪魔かあんたは!」
あまりの痛みに悪態をつく。フォークの先がカウンターの木材にまで達している。
「……知り合いかもしれん。その中に女はいるか?」
「……女が一人、男が二人だ」
「写真はあるか」
ヒロシがフォークを引き抜いた。
「いッ! ……ああ、ある。こいつだ」
俺は血まみれの手で、ポケットからリンの写真を取り出した。
写真を見た瞬間、ヒロシの目つきが変わった。
「……リン……?」




